マガジンのカバー画像

つむぎ

37
詩人・佐藤咲生。
運営しているクリエイター

2023年2月の記事一覧

詩「祝祭の日を待ちわびて。」

詩「祝祭の日を待ちわびて。」

生きると死ぬのあいだに
いつだって暮らしがあり
生きてさえいればなんて、とても嘘だった。
「じゃあ元気でね」
それからの日々を数えるために
わたしは指を水に浸し、鼻をすんと伸ばし、
かかとを真っすぐ地面に降ろす。

華やいだテレビを消し
冷え切った布団にからだを潜り込ませる。
眠りたいのに浮ついた気分が
目の裏から剥がれずに眠れず、
さっきまで見ていた世界の色が
暗闇でくりかえす。
「寂しい」と口

もっとみる