シェア
佐藤咲生
2023年2月15日 20:03
生きると死ぬのあいだにいつだって暮らしがあり生きてさえいればなんて、とても嘘だった。「じゃあ元気でね」それからの日々を数えるためにわたしは指を水に浸し、鼻をすんと伸ばし、かかとを真っすぐ地面に降ろす。華やいだテレビを消し冷え切った布団にからだを潜り込ませる。眠りたいのに浮ついた気分が目の裏から剥がれずに眠れず、さっきまで見ていた世界の色が暗闇でくりかえす。「寂しい」と口