見出し画像

目標を立てずに仕事する

○月までに〇〇をする。

今期中に〇〇円達成。

こうした目標を仕事で立てたり立てられたりして、
しんどくなることってありませんか?



こんにちは、働き方をほぐすnoteのsakiです。

私たち「働き方をほぐす」チームは最近、せっかく目標を立てて仕事をしていたのに、知らず知らずのうちに、それに首を絞められてました。

そこでチームで話して「目標を立てるのをやめよう」と決意。

目標の代わりに、「やりたいこと」とそのための「ルーティン」を話し合って決めることにしました。

…目標なしに、仕事なんてできるのかな?上手くいくのか?

そういう不安は実際、私たちにもあります。

が、新しいことに取り組むにあたっては、目標がない方がうまくいくのではというこれまでのチームの経験と、直観がある。

目標やビジネスの一般論ではなく、今回はそうした自分たちの経験と直感を、頼りにしていくことにしました。

目標を立ててるのに、なんかうまくいかない…。

メンバーが、目標に縛られててしんどそう…。

新しいことを始めるために目標を立てたけれど、すぐに目標と現実がずれてくる。

そんな、目標を立てることにもやもやを感じている方やチーム、会社の参考になると嬉しいです。

仕事には目標が必要だと思い込んでいた

ここ数ヶ月のあいだ私たちのチームは、これまでの事業から転換し、新しい働き方をつくるというテーマで、スタートアップとして再出発することになりました。

これまでやったことのない新しいこと、そして「(働く)場を整える、場をつくる」という、うまくカテゴライズされていない新しい領域でやっていこうとしています。

となると、何を具体的にしたいのか、どう進めればいいのか、何もかも未知数。

締切や納期めいたものも、自分たちで決めなくてはいけません。

ただ、進めないといつまでも、事業としてお金が発生しないという厳然たる事実…。

そこで、仕事がずるずる先延ばしにならないようにしたり、ある程度の「やった感」も持ちたくて、月1くらいで目標を立ててやっていきませんか?と提案しました。

そうすれば、ずるずる遅れずに目的意識も持ててなんか良い感じ(笑)で仕事が進むと思ってました。

いつのまにか、やりたいことが「やらなきゃいけないこと」に変わってた

目標を立てると、達成のためにやることを細分化して、さらに細かい目標を立てて…
こういう逆算思考は、一般的に良いこととされていますよね。

が。

先日、同じチームのメンバーさん(このnoteも一緒に運営しているしゅうともさん)から、「なんか、気が乗りません」という正直な声が!

新しい働き方を実践する場として、まずは社内/社外関係なしに仕事ができる、プロジェクト的な場をdiscordでつくろうとしています。

その一歩として、まずはプロジェクトを決めて、2月中に募集文を書き、3月中に関わってくれる方を募集し、3月半ばからスタートしよう。その募集文や企画書を、しゅうともさんが書くことになっていました。

が。

やりたかったことのはずなのに、

しゅうとも: 「下書き書くの、なんか気が乗らなくて…」

saki : 「…あー…。正直、下書き読みながら、気乗りしていないんだろうなって、感じてました。笑」

ミーティングより

やりたいことを進めてたはずなのに、どうしてそうなったのか?

下書きとかプロジェクトとかの話そっちのけで、ミーティングで深掘りすることに。

そこで出てきたのが、この「○月中に〇〇する」という目標ではないか、という仮説でした。

目標を立てることで、仕事をつまらないものにしていた

3月に募集する。2月に募集文を書く。3月半ばにプロジェクトをスタートする。4月までにプロジェクトを完遂させる。

こうした目標を立てたことにより、逆算思考が発生してました。

しゅうとも: 「いついつまでにやらないと、って責任感が発生して。やりたかったことが、やらなきゃに変わってて。

気がついたら、気が乗らない感じで、つい忙しいからと後回しにしてました」

ミーティング

目標を立てると自然と、目標を達成するためのさらに小さな目標を立てて…という逆算思考が始まります。

そういう逆算思考は、仕事においては必要不可欠、と私は、特に深く考えることもせずに思い込んでました。

でもいったん目標を立てると、それを達成するまではずーーーっと、「失敗している」という感覚になるそう。

…たしかに。

それだとやりたいことも、そりゃ楽しくなくなっちゃうわ。

失敗している、という感覚、達成しないと、という責任感。

目標によって、わたしたちは知らず知らずのうちに、自分たちで仕事を「しんどくてつまらない」ものに変身させてしまっていました。

目標を達成するころには目標が意味ないものになっていた

もうひとつ出た仮説として、時間経過(に伴う変化)を考慮していない、ということ。

目標はその性質上、目標を達成するための状況(目標を遂行するメンバーや、メンバーの心理状況、自社の環境、社会の環境)を固定して考えます。

というより、固定して考えないと複雑すぎて目標なんて立てられない、というのが私たちの脳。

たとえば、半年間で五キロ痩せる、という目標をわたしが立てるとしましょう。

このとき、わたしは無意識に「今と半年後の自分がそんなに変わっていない」というのを前提としています。

ここでもし「いやでももし第二子を授かったら?」とか、「大病を患って長期入院したら?」とか、「小児癌のチャリティイベントのためにホノルルマラソンに出ることになったら?」とか、「仕事やプライベートで極度のストレス状況にさらされたら?」とか、そんなあり得るかもしれないけど(起こってほしくないですが)、ありえないかもしれないようなことは、考えていません。

考えてたらキリないし、そんなんじゃ目標なんて立てられないからです。

って、書いててあまり良い例えじゃないなーと思いましたが(笑)、企業とかチームの目標となるとさらに状況が複雑です。

また緊急事態宣言が出たら?メンバーが4月に続々退社して欠員が一気に発生したら?競合が新商品を発売してめっちゃヒットしたら?取引先のY社がいきなり倒産したら?

等々。これもまたあまり良いたらればじゃない気がしますが、何が言いたいかというと、特に今はテクノロジーの発展もはやいので、時代の変化もはやく、目標を立てたとしても、状況が変わっていることが多くて、達成するころには意味のない目標になっていることがある。

そして、あらゆる状況をシミュレーションして、目標を立てることは、原理的には不可能。

さて、「AIによるシミュレーションやデータ分析を用いて、人間の脳がカバーしきれない量の情報を考慮に入れて目標をたて、変え続ける」というのは、こうした状況に対して取るべきメジャーな戦略です。

ただ、今あまりこうしたシミュレーションで考慮されていないのが、目標を遂行するための「メンバーの心理状況」、つまり、先ほどの私たちの話でいくと「やりたい」「気が乗らない」という、仕事に対する正直な気持ち。

でも、実は最も、目標が達成されるかされないかのファクターで、大きな要因を占めるもの。

そして最も変化がはやくて、変化のタイミングも予測できないもの。

こうした「メンバーの心理状況」を考慮したシミュレーションを行うのは、ディープラーニング等の研究もしているので興味自体はありますが、

いや、シンプルに、目標を立てずにやった方がより簡単にうまくいくのでは?

という仮説もあります。

今の私たちのチームは、目標を立てない方向で、進んでいくことにしました。

新しいことは学びながらやるので、目標がじゃまになることも

時間が経つにつれ、状況が変わり(メンバーの心理状況を含む)、目標が意味ないものになり、でも目標に縛られてしまう…。

それは特に「これまでにやったことのないこと」「社会的に事例がないこと」という、新しいことをやるときに発生しがちです。

私たちも過去に新しいサービスに対する初めてのLPづくりをしましたが、数ヶ月や半年ほどかけてつくる中で、せっかくできたときには「当初のやりたいことや想いとずれて」おり、結局すぐに公開をやめるということがありました。

これも「LPを公開する」という目標に縛られてしまったことが一因にあります。また、目標があるために「まだ達成できていない」「すぐにやめて失敗に終わった」という、失敗の感情を抱きやすかったのでした。

新しいことは学びながらやるので、やっていくうちに、メンバーのやりたいことが変わったり、やりたいことに対する気持ちが変わったりします。

それはとても、自然なこと

学びとは「自分が変わっていくこと」そのものだからです。

目標は、そんな私たちを前に進めてくれるどころか縛ってしまうケースが、過去にけっこうあったのでした。

やりたいこと/やることの粒度を調整する

前置きが長くなりましたが、目標を立てずに、じゃあどうやってやっていく?

というところを、メンバーのしゅうともさんと話し合うことに。
結論としては、

  • 「やりたいこと」はふわふわレベルの粒度にとどめる。(例: 社内/社外問わず働ける場をつくりたい)

  • 具体的な行動を起こすために、ルーティンの粒度で目標を立てる(例: 週1でインスタライブをする)

目標ややりたいことの粒度を調整することで、自分たちの首を絞めずにやりたいことを進めていけるのでは、と仮説を立てました。

ここで大切なのが、「やりたいこと」と、そのために「やること」の粒度です。

やりたいことを「○月までに○○円達成する」等、数字を伴う目標、期日を伴う目標にすると、目標に縛られがちになります。

また、やりたいことに対して、やることを「1週間以上の単位の行動にする」、そしてルーティンじゃないもの(繰り返し行わない、達成したっきりのもの = 目標)にすると、これもまた縛られるのでは、と。

つまり、「やりたいこと」は粒度を細かくしない。
「やること」は粒度を大きくしない。

そうすることで、目標に縛られずに進めやすいのでは、といったん仮説を立てました。

目標型と探索型

やりたいこと、そのためにやること。

このふたつに対して、それぞれ探索型と目標型というアプローチを取ります。

「やりたいこと」には「探索型」を。

「やりたいこと」をやるための具体的な一歩に対しては、ルーティンレベルの「目標型」を。

やりたいことは変わっていく前提で、広い海を探索していくようなイメージ。

探索していくこと自体が目的なので、変わっても、やりたいことをやらなくても、やめてもOK!

それは「失敗」ではありません。

やりたいことは、雲のようなイメージで、あえてふわふわさせておくのが大切です。

一方、特に新しく始めたいことは、初めてのことなので、始めるのに多くのエネルギーが必要になります。

なので、最初の一歩を始めやすいように、今日から始められるようなルーティンとしての目標を設定します。

今の私たちは、「社内/社外問わずに働ける場をつくる」というやりたいことに対して、まずはSNSを強化して関心を持ってくれる方と出会いたい、というレベルのふわふわした「やりたいこと」がありました。

そのため、「まずは週1でインスタライブをする」「毎日朝10時までに、インスタを開く」という、今すぐできるような、習慣化できる目標を立てることに。

最初の一歩をつくると、「やりたいことはあるけどどう進めればいいかわからない」に対して足場ができます。

なのでそこをとっかかりにして、やりたいことが具体化したり、進む方向が見えてきたりと、自然に広がっていくので、これはかなりおすすめです。

やりたいこととルーティンは定期的に振り返る

やりたいことは、探索型。
変わっていくことが前提。

なので、逆に言えば、定期的に振り返ることが必要です。

私たちのチームは、1週間に働いてる時間がそんなに長くないので、3ヶ月ごとに振り返るのがいいかもね、と話しています。

どう変わったのかを踏まえ、それに応じて、設定していたルーティンを洗い出し、必要に応じてやめ、新たなルーティンをつくる。

週5フルで働いているようなチームだと、もっと短いスパン、1ヶ月に一回とかでもいいかもしれません。

登山に例えると

今回の、

  • 目標を立てない

  • やりたいことは探索する。変化するのが前提。

  • やりたいことをやってくために、ルーティンを設定する

というのは、登山に例えられるんじゃないか、と話しました。

「目標を立てない」というのは、登りたい山があったときに、「この道から行くからね」と最初にルートを決めてしまわないこと。

最適なルートは他にもあるかもしれないから、まずはルートを探してくことが大切です。


「やりたいことの探索」というのは、登山のルートを探って、ちょっとずつ登っているうちに景色が変わるじゃないですか。それ見ながら「あれ、これって自分が登りたい山とか、見たい景色じゃなかったかも」って気づいて、他に登りたい山ができるイメージ。

そして「やりたいことをやっていくためにルーティンを設定する」のは、「この入り口から登ってみよう」と、入り口を見つけ、準備し、登り始める。最初の一歩、どこから登るか設定するイメージです。

余談ですが、ミーティングとかで話すときは、こうした「イメージの共有」がとても大事なんじゃないかな、と思っています。

下手くそな絵(上記)でも、ピッタリした例えじゃなくても(上記)、なんでもいいから、例え話と視覚化されたイメージに置き換える作業は、チームにおいてはとても重要だと思っています。またうまく言語化できたらシェアしますね。

インスタライブでプロセスをシェア

さて、思ってた数倍長くなりましたが、こうした目標自体に対する話し合いを、メンバーのしゅうともさんとインスタライブで行いました。

社内社外問わず、働ける場、どうやってつくる?という話、それ自体からオープンに話していった方がよくない?ってことで、始めることにしたインスタライブ。

その、初回のテーマとして取り上げました。

そうした新しい働く場には目標はいらないんじゃないか、という仮説のもと、進めていく予定です。

実際に話た様子はインスタのアーカイブに残してるので、ラジオ感覚でぜひぜひ〜

私たちも試行錯誤中なので、この試行錯誤自体が参考になると嬉しいです。
それではまた、次回のnoteでお会いしましょう!

saki


おまけ: 関連して読みたい/話題に出た本



働き方をほぐすは、月に3回、同じ会社で働くsaki,しゅうとも,あやか自身の働く・生きる経験をベースに、読んでくださる方と一緒にこれからの働き方を考えたくてnoteを書いています。

働き方をほぐすメディアのInstagramができました。一緒に、おのおのの働き方を考えていきませんか? コメント待っています〜

働き方をほぐす(@media_hogusu) • Instagram写真と動画


次回の定期更新は3月10日の予定です。
それではまた、次のnoteでお会いしましょう〜!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?