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いとおしさを教えてくれたタコ足ケーブル

祖父の家に行った時のこと。

祖父の家には年季の入ったタコ足ケーブルがある。オレンジ色と茶色のカバーのそれは、レトロ可愛いのだけれど、ケーブル部分の絶縁体が破れて、銅の導線が剥き出しになっていた。

私と父が、「危ないし、もう捨てようか〜」と声をかけると、祖父は「直したらええやん」と一言。


もちろん祖父は動かない。笑


どうやって直したらいいのか分からない私を横目に、父はニッパーとプラスドライバーをもってきた。


レトロ可愛いカバーを外し、絶縁体をニッパーで剥くように整える。

私も父に教えてもらいながらやってみると、小学生の図工の時間を思い出すような手の感覚になぜか嬉しくなった。


導線を綺麗に巻き付けて、カバーを取り付けてお直し完成。とっても簡単だった。


さっきまで捨てようとしていたタコ足ケーブルが、急に愛おしく見えてくる。




祖父はこうやって生きてきたんだなぁ。
父(祖父の実の息子)も、そうやって育ってきたんだなぁ。


私もその血を引いていると思うと嬉しくなった。


「危ないから捨てようか」と言った私はもういない。おじいちゃん、お父さん、ありがとう。

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