Wasoujin Saki

初めましてWasoujin Sakiです。数年前に「うつ病」を発症、ずっと忘れていた「…

Wasoujin Saki

初めましてWasoujin Sakiです。数年前に「うつ病」を発症、ずっと忘れていた「書くこと」をボチボチ始めてから快方に向かい始めました「物書き」をしているアラカンです。 日々の暮らしの中で気づいたことや、フッと思いついたストーリーを綴っていきたいと思います。

最近の記事

Six Wood・・・⑤一つの区切り

前編をお読みでない方はこちらからどうぞ 「痛(いて)っ!」大翔は傷がうずく左側の口元に手を当てた。昨日、綾乃に報復を受けて、できた傷だ。 あの雨の日、大翔は自分の心と向き合い仁実を慕っていることに気付いた。それが、きっかけとなって長い間閉ざしていた感情が解放されて、数日は感情の交通整理に自室に籠っていたが、それを過ぎると身体中の強張(こわば)りがとれて自由になったようにさえ感じた。 この数日の間に、このまま何もなかったかのように香穂子と付き合い続けていることは香穂子に対

    • Six Woods・・・気づいた思い④

      前編をお読みでない方はこちらからどうぞ バイト先に着いた大翔は、いつものように事務所に入り支度をする。 エプロンをしてキャップをかぶりマスクをしたら準備完了! ロッカーのドアを閉じて事務所を出てオーナーの席を横切りながら、いつもと違う感覚を覚えた。 そうだ、オーナーの仁実がいない。 「おはようございます」と厨房に入る時の決まり文句をいいながら入り周りを見回す、マスターがランチの下準備をしている手を止めて顔をあげて「やぁ!今日も宜しく~」といつもの調子で声をかける。いつも

      • Six Woods・・・③仁実の涙

        前編をお読みでない方はこちらからどうぞ、 仁実は、あの出来事があった日から感情を上手くコントロールができない、自分を持て余している日々を送っていた。 あれだけ好きだった韓流のドラマを見ても上の空、仕事中でもふとした瞬間にあの時の情景が浮かび、それに関連して自分の人生、特に恋愛について振り返って考えることが多くなった。これまでの恋愛の経験を振り返ると、学生時代も今でも、男女問わず友人が多く、特定の男子とデートするというより皆でワイワイと騒いでいるような感じだった。 「恋愛

        • Six Woods・・・②大翔の悩み

          前編はこちら 「ねぇ!聞いてるの?ハル君!!!」テーブルを挟んで香穂子(かほこ)が、少し怒った声で大翔(はると)の両頬を挟むようにして視線を合わせる。今日は大翔(はると)の部屋に香穂子(かほこ)が来ていて、一緒行く会社説明会を選んでいる最中の事だった。 大翔(はると)は、完全に意識がどこに飛んでいてハッとした。あの一瞬唇が触れ合った事件(詳細は「Six Woods・・・①」参照)の日から、どことなくこんな調子になっていることが多くなっていた。「ん?何だっけ?ゴメン」と大翔

        Six Wood・・・⑤一つの区切り

          Six Woods・・・①オーナーの動揺

          午後10時過ぎ営業時間終了後、仁実(ひとみ)は取引先との長い電話を切り、店内接客ブースの椅子に身体を投げ出すように座り長い溜息をもらす。このところスッキリとしない日々が続いているせいなのか身体も重く感じる。 仁実(ひとみ)が、この家具とカフェを併設した店をオープンしてから数年が過ぎた。 昨年から続いているコロナ禍の影響で何もかもが今まで通りに進まない。 家具部門の方の工場は、外国調達の資材到着に大幅な遅れがずっと続いているので納品にも遅れが出ている。 お客様に事情を説明し

          Six Woods・・・①オーナーの動揺

          全てをリセットしよう!

          もういいんじゃないかしら?何もかもリセットしても 一体何にこだわっていたのかしら? 一度手に入れた生活水準・世間体・友人関係・見栄その諸々など、それを守ることが人生において最優先事項になっていたようです。どうりで鏡に映る自分の顔が、どこか他人のように思えて仕方ない違和感を感じていました。 つまり、実態のない「幸せそうな雰囲気」に拘りすぎていただけなのです。 それを手放すことが、とても怖くて力の限りに握りしめていたものをよく見れは、そんなに重要なものではないと分かった時

          全てをリセットしよう!

          何気ない日常・・・宿り木③

          前編をお読みでない方は、こちらからどうぞ 「Six woods」を後にして軽く酔った孝四郎と佐知子は「Bar 宿り木」に繋がる螺旋階段を静かに上がっていった。 「Bar 宿り木」は、この居住地では老舗のBarであるが、10年ほど前に、先代のオーナーが引退する際、ここでバーテンダーとして修業していた若手だが熱意がある青年に、そっくりそのまま引き継いだ店で、その当時は「そんなに続くかね?」と周囲の人々は口にしていたが、若いマスターの仕事ぶりとカクテルの美味しさで、次第に昔の常

          何気ない日常・・・宿り木③

          5月爽やかな初夏のはず・・・2年前まではこの季節が訪れるのが嬉しくて仕方がなかったのに、今の状況下では、嬉しさよりも先行きの不安が大きくて心がカサカサになっています。一日も早い終息のニュースを祈っています。

          5月爽やかな初夏のはず・・・2年前まではこの季節が訪れるのが嬉しくて仕方がなかったのに、今の状況下では、嬉しさよりも先行きの不安が大きくて心がカサカサになっています。一日も早い終息のニュースを祈っています。

          何気ない日常・・・「Six woods」②

          前編をお読みでない方はこちらから 「何気ない日常・・・とある休日①」 孝四郎が「いつものところ」と言ったカフェ「Six woods」に待ち合わせ時間よりも早く着いた佐知子は店の前で待とうとしたが、レストランのマスターが「いらっしゃい!今日はお一人ですか?」と出迎えてくれたので、佐知子は「後から、孝四郎さんが来るから二人です」と伝えると、いつもの席に案内された。 いつもの席・・・この店は木を基調としたインテリアを扱う店の一部分に併設されているカフェで、椅子もテーブルも他の

          何気ない日常・・・「Six woods」②

          何気ない日常・・・とある休日①

          佐知子は、ベッドの中でう~んと伸びをしてベッドサイドの時計を見ると午前11時45分。 カーテンの隙間から入る光が、飾り物のストーンに反射して、天井に不思議な模様を描く、それをボーっと見ながら名残惜しそうに身体を起こす。 なにをするでもなしに、スマホを確認すると孝四郎から連絡が入っていた。「おはようー。お昼です。起きてますか?」 クスっと笑って「おはようー、起きてますよ」と返信をする。 孝四郎は、実直真面目そうな風貌通り、仕事もプライベートも自分のペースを守って暮らして

          何気ない日常・・・とある休日①

          この花のお名前は?

          この花のお名前は?