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2021年度 恵喜どうこが選ぶおすすめ本ベスト10【後編 5位~1位】

昨年の12月26日にTwitterのスペースで語らせていただいたおすすめ本ベスト10。前回、6位までを掲載しました。今回は後編といたしまして残りの5位から1位までを発表したいと思います。順位はどうあれ、ご紹介する作品はどれも面白いものばかり! 『これをきっかけに読書してみたくなった!』と言ってもらえるようにガンガン推していきますので、気になった作品はぜひお手に取っていただければと思います! では、さっそく参りましょう!

5位 カラスの親指 道尾秀介

2008年に講談社から刊行されています。直木賞候補作ともなりました。第62回日本推理作家協会賞を受賞しているこの作品。最後の最後まで目が離せません!

~概要~

人生に敗れ、詐欺師で生計を立てる中年二人組はある日、一人の少女と出会う。行先のない少女と同居する予定がなぜかその姉や恋人までもがくっついてくる。「他人同士」の奇妙な生活。しかし残酷な過去は彼らを離さない。各々の人生を懸け、一発逆転を狙った計画の結末とは――!?

【どうこのおすすめポイント】

道尾先生の『向日葵の咲かない夏』を読んだあとに手にした作品でしたが、今度は騙されないぞと意気込んで読んだわりに思いっきりやられた作品。とにかく最後の最後まで気を抜いたらいかん小説です。このタイトルやちりばめられた伏線を見逃さないでほしい。ただ見逃しても最後まで楽しめる作品です。私はこの作品で道尾先生がすごく好きになりました。ちなみに映画もあって阿部寛さん主演です。その脇に村上ショージさんがいますが、これがいい味出してます。よかったら映画も一緒に楽しんでみてください。原作のほうが面白いのはたしかですが。


4位 姉飼 遠藤徹

2003年刊行。日本ホラー大賞受賞作品。遠藤徹デビュー作です。

~概要~

さぞ、いい声で鳴くんだろうねぇ、君の姉は——。村の繁栄を祝う祭りの夜。小学生の僕は縁日で、からだを串刺しにされ、凶暴にうめき叫ぶ「姉」を見る。どうにかして「姉」を手に入れたい。僕は烈しい執着にとりつかれてゆく。これは「姉」に人生を捧げた男の物語。

【どうこのおすすめポイント】

はっきり言ってぶっ飛んでますベクトルの違うホラーで、自分の中の固定観念とか概念とか、全部吹っ飛ばしてくる作品です。ゆえに意味がわからない。物語に登場する「姉」ってなんやねん。いや、「姉」は「姉」であって「姉」以上でも「姉」以下でもないんですって言われても、わけわかんないでしょ? そういう世界観ですが、これを知っているか知らないかってホラー好きには大きなアドバンテージじゃないかと思うんですよね。遠藤先生、実は東大卒で同志社大で教鞭をとられているんですけど、天才は考えていることがわかりませんを具現化された作品です。とにかくおかしい。けど、どうにも目が離せない! どうやら絶版中で、中古でしか紙の本は手に入らない模様。電子で読めますから、ぜひぜひ読んでみてください!


3位 獄門島 横溝正史

1971年刊行。日本最高峰のミステリ小説。

~概要~

『三人の妹たちが殺される……おれの代わりに獄門島へ行ってくれ……』死んだ戦友、鬼頭千万太に遺言を託された金田一耕助は獄門島と言われる瀬戸内海に浮かぶ小島へ向かう。そこで網元として君臨する鬼頭家を訪ねた金田一は歪な美しさを持つ三姉妹に会った。だが、その後、遺言通り悪夢のような連続殺人事件が起きてしまう。果たして犯人は? その手段は? 動機は?

【どうこのおすすめポイント】

横溝正史作品の中でも有名すぎる物語。金田一耕助の活躍を読みたい人向けの金田一作品です。徹頭徹尾、金田一です(笑) 本陣殺人事件(短編集)を読んで金田一、まあまあだねくらいにしか思っていなかった私が、この作品でどハマりしました。ラストの五行がとにかく痺れます。横溝先生の描写は本当に目の前で起きているかのような勢いと、命が吹き込まれています。さらに人間を描いている――ここですね! 映画だとおどろおどろしいイメージですが、原作はもっとスッキリとしていて、読みやすい。怖いのが苦手な人でも面白くてのめり込む作品ではないかと思います。とにかく一度手に取ってみてほしい。そのあと映画を見るとかなりイメージが変わると思います!


2位 ドグラ・マグラ 夢野久作

1935年刊行。小栗虫太郎『黒死館殺人事件』、中井英夫『虚無への供物』と並んで、日本探偵小説三大奇書に数えられている。

~概要~

1926年(大正15年)ごろ、九州帝国大学医学部精神病科の独房に閉じ込められた記憶喪失中の若き精神病患者の物語。彼は過去に発生した複数の事件と何らかの関わりを有しているようだが、本当のことはいまだわからない。果たして真実は明かされるのか――

【どうこのおすすめポイント】

奇書と言われるだけある作品で、上巻はなにを読まされているのかわからなくなるのが普通です。ただし、ここを越えて下巻を読むとグッとミステリー色が強くなります。どれが真実で、この物語はいったいなんなんだと思ってしまい、最後までなにがなんだかわからなくなるのですが、正解がないので、読者が勝手に想像していい余地がたくさん残されています。そんな私も、これに関してはいろんな感想を持ちましたし、久作以後のミステリ作家に多大な影響を与えたのも納得です。船酔いするような感覚。まるで催眠術にかけられたようにふわふわして、まとまらない思考。そんな世界へぜひおいでください!


1位 屍鬼 小野不由美

1998年新潮社より刊行。2008年藤崎竜により漫画化、2010年にはアニメ化した作品。アニメは全22話に未放送分の2話がある。

~概要~

人口わずか千三百。未だ古い因習をかたくなに守り続け、三方を尾根に囲まれた外場村。猛暑の夏、悲劇は唐突に幕を開けた。山深い集落で発見された三体の腐乱死体から始まって、連続して村人が死んでいく。夜に越して来た謎の家族は連続する不審死とどう関わっているのか。殺人か、未知の疫病か、それとも……

【どうこのおすすめポイント】

文庫だと1巻~5巻まであるため、1巻の冒頭の200ページくらいまではとにかく話が進まなくて読むのが難儀。ただ、ここの部分をしっかり読んでおくと後々効いてくる。ホラーミステリーというジャンルではあるけれど、濃密な人間の物語であります。とにかく多重構造のおもしろさ。スティーブン・キングの『呪われた町』をオマージュして作られたものですが、日本人にはこちらの作品のほうがしっくりくるでしょう。とにかく読んでほしい。そして正義とはなにか。人間とは何か。生きること、死ぬこと。そういうものをじっくり考えてほしい。

いかがだったでしょうか? 私自身、まだまだ読書歴が浅いので、ご紹介できる本が少ないのですが、これがまた誰かの読書のきっかけになれたら幸いです。

今後も素敵な本を紹介できるように私も精進せねば!  

恵喜どうこでした!

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