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日本酒を楽しむ「酒に笑う人生」に必要なのは「知識」よりも「知恵」だということを、noteで心から伝えたい。

住吉酒販の始まりと自己紹介

初めまして。住吉酒販の庄島です。大正3年に福岡県西部 糸島という地にて卸問屋 庄島酒販として創業。その小売部門として昭和48年に住吉酒販がスタートし、今に至ります。酒販業としては5代目となります。

酒屋に戻ったのが約11年前の28歳の時、38歳で代表取締役に就任し現在39歳。酒屋に戻る前は東京にて高級鮮魚店や飲食店で働いていたのですが、実はそもそも音楽活動として上京していたという…。

しかし、その時の経験が大きく今に生きています。酒屋から仕入れる飲食店、そして同じように飲食店に出入りする業者としての魚屋。違う角度から酒屋、そして酒業界を見て感じてきた「違和感」のようなものを剥がしてきたここ10年の酒屋経営でした。(音楽はそこまで連れて行ってくれる船のような存在だったな、と)

現在の住吉酒販

酒屋を福岡3軒・東京1軒、あと、僕の最も好きなシェフにお任せしているフレンチレストランが福岡に1軒あります。

酒屋はそれぞれの店舗にコンセプトがあり、「博多本店→プロ御用達専門店」「博多駅店→九州の玄関口として」「六本松421店(蔦屋書店内)→地域の為のライフスタイル酒屋」、「東京ミッドタウン日比谷店→次世代型ハイクオリティ酒屋」と、それぞれのお客様に合わせて店を運営しています。

店舗を展開した理由

酒屋に戻る際に感じていた一つ目の違和感。それは「酒屋の個性」の不足です。

日本中の小さな蔵の酒が全国各地で流通されるようになり、地酒専門店はこぞって新たな銘柄を仕入れ棚に並べました。今現在はさらに顕著になっていますが、冷蔵庫の写真を見ただけでは、東京の酒屋も大阪の酒屋も福岡の酒屋もわからないような状況でした。なぜそうなってしまったのか、それは商品主導でありすぎたからです。

「酒屋の個性」とは何か。商品ラインナップでは創れない自分たちのアイデンティティとは何か。考え抜いた先にあった一つの答えが「お客様とスタッフとの親和性」でした。

酒の種類も多く一升瓶メインの従来の地酒専門店では、事務方以外で女性に働いてもらうのが難しく、どうしても男性社会それもおじさんだらけの社風になってしまいます。お客様と店頭スタッフとの親和性を考えた時に、もっと女性が働ける酒屋をつくらないとまずいぞ、と。

服を買いに行くときには自分と同じ感性の人がいる洋服屋へ行くものですし、見渡してみるとジャンル関係なく、繁盛店や成長店は「スタッフ」と「お客様」のタイプが近いことに気づきました。

本店のみで商売を続けていても、新たなタイプのお客様との出会いを広げて行くのは難しいなぁと考えている時に、博多駅からの出店依頼がありライトユーザー向けの酒屋として「九州の酒と食 住吉酒販」をオープンさせることが出来ました。

一升瓶を排除し九州の酒のみにすることで、半分観光、半分地元、のお客様の需要にピタリと合った店舗をつくることができ、スタッフの労働負担も軽くなり女性スタッフ中心での運営を可能にしました。

その後の、東京ミッドタウン日比谷店や蔦屋書店内の店舗も同じように、そこのお客様に合わせた店舗つくり、酒の選択、スタッフの配置を行っています。

日本酒における「知識」と「知恵」の違いとは

各店舗でお客様にお届けしているのは「商品と情報」。そしてその「情報」がお一人お一人のお客様にとって有益な「知恵」であることを一番に心がけています。

日本酒において「知識」とは原料や製法のことが主とした情報であり、「知恵」とはそのお酒をどう味わうか(味覚だけでなく感性含め)と捉えており、「つくり手主体の知識」「飲み手主体の知恵」とも言えるかも知れません。

もちろん、詳しい製法や酒米の特性などが知りたいお客様には積極的にお伝えします。「知恵」の奥に「知識」があることで、懐の深い日本酒の楽しみ方を提案できるのではないかと考えています。

ここ十年、日本酒に注目が集まることが多くなり沢山の雑誌や書籍が発売されましたが、その多くは「カタログ」か「教科書」であるように感じました。

「買う」という行為直結の情報と、このくらい知らなくちゃだめだよと言わんばかりの「知識」の提示。それでは、一部のマニアの方々に支えて頂いている現状を打破することはできません。

一般の方も飲食店スタッフの方も、せっかく日本酒に関心をもたれる方が増えたのにも関わらず、その酒が何かよくわからないまま口にする、もしくは提供する、という方が多くいらっしゃるという現状を、とにかく1mmでもいいので改善したい!という思いの日々であります。

noteで伝えたい「酒に笑う人生」

皆さまに「酒に笑う人生」を過ごすためのきっかけになるような、生活に日本酒を取り入れることで気持ちよくなるような情報をお伝えしていきたいと考えています。

自分を辿ると途切れぬ祖先がいるように、一杯の日本酒を辿れば3000年前の稲作まで一瞬で到達できます。

深い深い日本酒の歴史と文化があるからこそ、自分たちの受け入れ方一つで人生を本質的に豊かにしてくれる。深く難しいからこそ「知識」ではなく「知恵」から始めましょう!

最後に「知恵」にスポットを当てたYouTubeチャンネル「教えて!酒大将 #1」にて、初投稿を締めさせていただきます。

今後とも何卒よろしくお願いいたします。


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