花の宰相
職業訓練校からの帰り道を上機嫌で歩く。
今日はとてもいい日だった。授業は再開するし、予習をしていたので内容についていけた。休校前より理解が深まった手ごたえがある。
思えば、休校前は短期間で詰め込もうと必死だった。私の脳は膨大な量を処理しようと常にオーバーヒート。休校中はどうしても鬱々していたが、案外いい冷却時間だったのかもしれない。
心地よい疲労に包まれながら電車に乗る。雨が降っているが明るい。濡れた若葉に水量を増した川、庭に咲く薔薇、早苗が揺れる田畑、マスク越しに会話する学生、営業再開を伝える張り紙をした店が流れていく。
ぼんやりと、授業内容と周囲との会話を振り返った。人と関わり、勉強し、たわいもない会話を交わす楽しい時間。明日が早く来ればいい。
まるで元の生活に戻った気がして、すぐに錯覚だと自分を戒めた。まだまだ警戒し備えなければ。私は倒れる訳にはいかない。入院などもってのほかだ。
何せ推し小説「異世界居酒屋のぶ」が高クオリティで実写化したばかりなのだから。(いずれこの作品について語りたいが、WOWOWで放送開始した実写ドラマのネタバレになるし、別の機会にする。ちなみに1話はYouTubeで配信中である。空腹時をさけて観て頂きたい)
とはいえ、全くはしゃがないのもコビックなんとかに負けたようで腹ただしい。授業再開の祝いも兼ね、行きつけの花屋に立ち寄った。
少し前まで花を愛でても買わなかったのに、最近では飾らないと落ち着かない。人は変わるものだとしみじみする。
芍薬を三輪買った。開きかけが二輪、八分咲きが一輪だ。雨に烟る店の中、一際鮮やかで目を引く紅色。部屋の机の上に飾れば眩しいほどだ。上の写真は今日の17時半頃に撮影した。この時点でかなりご満悦だったのだが。
なんと、9時過ぎには全ての花が開いていた。花屋の中に比べて気温が高いからか、はたまた照明の光の具合か。
なんにせよ、今日という日を祝われたようで嬉しい。出来るだけ長く飾っておこうと思う。
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