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あえて基本から外れてみる!冷酒と組み合わせる温かい料理とは?

前回のおさらい

日本酒とお料理の素敵な組み合わせ(マリアージュ)の中でも、前回は、「4つのマリアージュの基本の考え方」のなかの3つ目、「料理と日本酒の温度を合わせる」について、冷たいお料理と冷たい日本酒の組み合わせについてお伝えしました。
今回は、「料理と日本酒の温度を合わせる」という考え方をあえて外した、冷たい日本酒に組み合わせたい温かいお料理についてお伝えします。

龍水泉と八寸

冷たいお酒に合わせる冷たいお料理は王道

前回お伝えした通り、特に日本料理の中でもお造りや前菜などの冷たいお料理にはしっかりと冷やした冷酒がよく合います。
今回は、長野県大町市の市野屋さんが造られている『龍水泉 不動 プルミエクリュ』を、冷たいお料理と合わせた王道の組み合わせと、それに対比する形であえて温かいお料理に合わせた組み合わせをご紹介します。

まず、王道の組み合わせは、賛否両論恵比寿本店さんの八寸。
「ホタルイカ木の芽味噌」「イチゴと春菊の白和え」「車エビとふきの煮びたし」「肉じゃが風玉子焼き」

なかでも、とくに木の芽味噌の香りと龍水泉の香りが良く似ていて、草のようなニュアンスが同調していて抜群の相性でした。マリアージュの考え方の基本2の、「同じような味わいを持つものを合わせるとき」がばっちり表現できました。
一方で、ふきの煮びたしの苦みや繊維質なところには、龍水泉の持つ甘みや透明感のある柔らかさが補い合って、「それぞれが持っていない味わいの要素を合わせるとき」が存分に体験してもらえたと思います。

那覇の「小料理たにもと」

冷たい日本酒(龍水泉)に合わせた温かいお料理

では本題です。龍水泉に合わせた温かいお料理は、揚げ物でした。
半年に一度、那覇の「小料理たにもと」さんで開催している日本酒マリアージュ会ですが、2024年5月に開催した第4回の一品目に組み合わせました。

この会は他のイベントと違って、まず私が日本酒を10種類お選びし、それに合わせるお料理のイメージを伝えて、それぞれに合わせる10種類の料理の献立を組み立ててもらうというやり方。
リクエストしたのは、「ふきのとうや木の芽味噌のような土や草のえぐみや
苦みを感じるようなニュアンス。海の幸よりも山の幸で。野菜系。ミネラリーなもの。」

これだけを見ると、さっき王道の組み合わせで紹介したものと似ていますよね。
でも、あえて今回は温かい揚物に仕上げてもらいました。

「百合根とふきのとうのまんじゅう/ あまどころ(山菜で、アスパラみたいな味わいのもの)のすりながし」

揚げたまんじゅうのほくほくとした旨味に、ふきのとうの苦みやあまどころの山菜の草の香りが加わっています。
冷たい龍水泉で、ずばっと油を切りながら、ふきのとうの苦みを甘みで包みつつ、木の芽のような龍水泉の香りで後味を引き締めるような感じ。
揚物に、レモンやすだちを搾ったりする、あの感覚ですね。
温めた日本酒を合わせると、この爽快感は味わえないので、特に那覇の気候を考えたときには、冷酒でキリっと合わせると本当に幸せです。

沖縄でなくても、蒸し暑い日には揚物に合わせてビールが飲みたくなるように、揚げ物と冷酒(とくにシュワっと微発泡感のあるもの)を合わせてみてくださいね!

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