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1+1が5になる日本酒と料理の話

はじめに

みなさん、数学は得意ですか?私は文系だったのですが、数学が好きで得意でした(笑)。このタイトルを読んで、どうして?と思った方も多いと思いますが、計算ミスではありません。今日は、日本酒とお料理の組み合わせが生み出す素敵な関係(私はマリアージュと呼んでいます)について、お伝えしようと思います。みなさんが、料理をより美味しく、日本酒もより美味しく楽しめるように、マリアージュについて分かりやすく書いていきますので、読み終わるころにはきっと試してみたくなると思います。

フランス料理と日本酒

マリアージュとペアリングの違いって何?

そもそも、マリアージュって何?って思われている方も多いかと思います。フランス語で「結婚」を意味する言葉で、ソムリエたちが料理とワインを組み合わせて生まれる素敵な関係のことを言うようになりました。同じような言葉に、ペアリング、というものがあります。実際に使われてる場面において大きな差はないのですが、簡単に言えば、マリアージュは「組み合わせによって新しい味わいや感動が生まれるような素敵な関係のこと」を指し、ペアリングは「料理と飲み物を組み合わせること」を指します。

日本料理と日本酒

私が思う「マリアージュの考え方の基本」項目

マリアージュが料理と飲み物の組み合わせによって生み出される素敵な関係、とはいうものの、難しくてよく分からない、という方のために、私が思っているマリアージュの考え方の基本を簡単にお伝えします。

  1. 料理と日本酒の味わいの強弱が同程度であること

  2. 同じような味わいを持つものを合わせるときと、それぞれが持っていない味わいの要素を合わせるときとでは難易度と満足度が変わる

  3. 料理と日本酒の温度を合わせる

  4. 数学の公式のような、絶対的な正解はない

1.料理と日本酒の味わいの強弱が同程度であること

料理か日本酒、どちらかの味わいがとても濃厚で、もう一方が淡泊で軽かったりする場合は、おおよそ濃厚な味わいの方の印象が強く残りすぎるので、マリアージュとは言い難いと考えています。あくまで、人と人との結婚のようにお互いがお互いを尊重し合って成り立つもの、と捉えると分かりやすいです。

2.同じような味わいを持つものを合わせるときと、それぞれが持っていない味わいの要素を合わせるときとでは難易度と満足度が変わる

甘さがあるお料理に甘みのある日本酒を合わせたり、酸味の効いた料理に酸味の強い日本酒を合わせる、という似た者同士の組み合わせは比較的簡単です。口の中でその要素が重なり合って同調するので、心地よい組み合わせだと感じることが多いと思います。しかし、意外性が少ないので、心地いいけれども感動するところまではいかないことも多いです。テストでいえば、及第点の70点は取れているよね、という状態。
一方で、苦みのある食材に甘みのある日本酒を合わせたり、トウガラシの効いた料理に甘口のにごり酒を合わせたり、というような場合は、難しいです。10点かもしれないし、120点取れるかもしれない、というチャレンジで、組み合わせることによって全く新しい味わいを作り出すというような考え方になります。バッチリはまった場合は、感動を生み出すほどの衝撃的な組み合わせとして、味わった方の脳裏に焼き付きます。

3.料理と日本酒の温度を合わせる

日本酒の面白いところは、同じ日本酒なのに冷酒、冷や(常温)、燗酒というように、色々な温度帯にして楽しむことができることです。スープに温めたワインを合わせる、なんてことはあまり聞かないですよね?日本酒の場合は、特にお椀物や鍋などの汁物に合わせるときには、温めてあげることで口の中で料理と日本酒が心地よく混ざり合い、幸せな時間をつくることができます。汁物に冷酒を合わせると、料理の温度が下がると同時に日本酒の温度が上がり、どちらも中途半端な温度になってしまうため、基本的には汁物と日本酒の温度を合わせると心地よくなります。

4.数学の公式のような、絶対的な正解はない

味覚には個人差や好みがあるので、100人中100人全員が大絶賛するような、絶対的な正解はないと考えています。その方が生まれ育ってきた環境や、これまでの食の経験によって、感動する方もいれば苦手な方もいる、ということを心に置いています。完璧に組み合わせたんだから、この相性の良さを分からないなんておかしいよね、というスタンスはよくないと考えています。100人中90人がいいね!と言ってくれるものも、100人中10人がいいね!と言うものも、どちらも正解じゃないかと思っています。あくまで、味わっていただく方がどんな方なのかを提供する側が汲み取って、できるだけその方の好みに合わせられたら幸せですよね。

1+1が5になる

さて、タイトルの回収です。組み合わせを考えずに、料理がおいしい、日本酒が美味しい、の場合は単純に1+1が2になるのですが、このマリアージュの基本的な考え方に沿って組み合わせを行った場合は、料理が2倍美味しくなり、日本酒も2倍美味しくなることもあります。そのうえ、その感動を誰かと共有(一緒に味わったり、SNSでシェアしたり)したいと思ったら、他の誰かも笑顔にすることができる。新しい「1」を生み出せると思うんです。これが、1+1が5になる、幸せな考え方でした。
今回の4つの考え方にそった、具体的なマリアージュの組み合わせに関しては、今後順番にご紹介する記事を書いていきますので、そちらもお楽しみに!
みなさんも、ぜひ料理と日本酒のマリアージュ、試してみてくださいね。

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