遊び心のある日本酒

いつもはマニアックな日本酒の話をしていますが
今日はちょっと遊び心があって面白い日本酒を紹介します。

長野　十九　尾澤酒造場

十九ガットリベロ

日本で一番小さな蔵元と言われる尾澤酒造場の「十九じゅうく」
人間だと一人前とされる二十歳の手前で十九。これから伸びしろありますよという思いだそうです。

とても可愛いラベルに一目ぼれしちゃいます。
十九は他にも可愛いラベルの日本酒がありますので興味あれば探してみてください。

他のラベルでも可愛い動物のシルエットがデザインされています。
他の十九はラベルのどこかに１９の文字が入っているのですが、このガットリベロはネコの首輪に６が入ってます。
これは「新政」で有名な６号酵母を使用しているからです。
ちなみにガットリベロとはイタリア語で「ノラ猫」という意味だそうです。
厳密なノラ猫ではなく日本でいうところの地域ネコ的な感じです。
「ネコはそこにいたいからいる」「ネコにも自由がある」という考え方だそうです。
そこから派生して「酒造りももっと自由に」というメッセージが込められているそうです。

本当に思いを込めて酒造りをしているのが伝わってきますね。

新潟　takachiyo　高千代酒造

たかちよ純米吟醸華吹雪　春らしいピンクで花柄のラベルが目を引きます。
注目してほしいのはバーコード。
そうです酒瓶の形になっています。

こういうちょっとした遊び心があると日本酒選びも楽しくなります。

ここの蔵は銘柄を３つに使い分けています。
漢字の「高千代」は地元向け
ひらがなの「たかちよ」は都心向け
ローマ字の「takachiyo」は海外やチャレンジ向け

写真のtakachiyoは裏面に英語表記の成分表示もあります。

この蔵の特筆すべきは「扁平精米」です。

出典タキレポ

通常の精米は楕円形の米を球状に磨いていきます。
そのため、楕円の両端の長い部分が必要以上に磨かれることになります。
扁平精米は楕円形のまま磨いていくので無駄に削らずにすみます。

つまり、米を無駄なく使用することができます。
そのため純米吟醸クラスの精米で純米大吟醸クラスの効果があるのです。
今回のtakachiyoは59%精米ですから規定では純米吟醸ですが、純米大吟醸クラスのスペックがあるということになります。

コスパの良い日本酒ですね。
原料を無駄にしない環境にも優しい技術です。
こういう点からも様々な取り組みをしている蔵だということが伺えます。

福岡　三井の寿　株式会社みいの寿

三井の寿　純米吟醸大辛口
写真でおわかりのとおりスラムダンク三井寿とのコラボラベルです。
湘北のユニフォームがデザインされています。

１４は三井寿の背番号ですが、辛口を示す日本酒度のプラス１４でもあります。
しかもアルコール度数も１４度にするなど芸が細かいです。

この酒はスラムダンクにあやかってと思われがちですが実は逆です。

作者の井上雄彦さんが三井の寿の日本酒が好きだったことから三井寿となったそうです。

蔵の近くに「流川」という交差点があったり、近くの川辺には桜の花道があったり、隣町には仙道古墳という古墳もあるそうです。
三井の寿の社長さんは井上さんです。作者の井上はペンネームという説もあり、本当に三井の寿が好きだったのが伺えます。

スラムダンクの映画がヒットした時は引き合いが多く大変だったそうです。
蔵では販売も見学も行っていませんが、海外からも売ってくれと多くの人が蔵に殺到したそうです。

ここで増産をすれば儲かったでしょうが、自分たちの出来る範囲でしか造らないとの信念で大幅な増産はせず味を守ることを重視したそうです。

それでもスラムダンクをきっかけに日本酒を飲んでくれたことには感謝しているそうです。
日本酒不遇の時代を知っているからこその感想だと思います。

まとめ

私自身も普段の活動の中で日本酒に対する偏見やネガティブなイメージを肌で感じております。

イメージや思い込みだけで日本酒を避ける方もいます。

味や内容だけではなくどんなことでもいいから日本酒に興味を持ってもらえたら嬉しい限りです。