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動画で学べるシリーズ!日本酒講座「原料編 水」

みなさんこんにちは❗️
今回の動画で学べるシリーズ第10回は「原料編 水」についてです!
動画だけでなく文字でも解説していくので、お好みの形式でお酒のことを学んでもらえればと思います🍶
コチラのチャンネルの動画をベースに解説を進めていきます!

今回はコチラの動画になります!
この動画では日本酒の原料のうち、お米について解説しています!

1.酒造用水
2.水質・硬度

今回はこの2つの項目で進めていきます!

1.酒造用水

日本酒の原料については日本酒講座の第1回の動画(https://note.com/sakebase_world/n/n24d6b5db62e5)で簡単に解説しました。
今回からは原料編ということで、その原料1つ1つを深掘りしていきます。
今回は水を詳しく見ていきましょう。
まずは酒造用水についてです。
酒造用水とは、日本酒製造に用いられるすべての水を指しています。
以前の動画で、日本酒の8割は水であることや、水の役割は発酵の場になり、含まれている成分が発酵の手助けになると説明しました。
それは日本酒の発酵に用いられる仕込み水のことを説明したものになります。
その仕込み水以外にも日本酒醸造の過程では様々な工程で水が使われています。
その水も全て含めたものが酒造用水と呼ばれています。

考え方としてはバーチャルウォーターという言葉に近いかと思います。
バーチャルウォーターとは元々は輸入の際に用いられるものですが、ある製品や農産物を生産する際に必要になる水の量を推定したものを言います。
例えば、牛肉1kgを作るためにはその2万倍の水が必要になります。
日本酒の製造に使用する酒造用水は使用するお米の量の30から50倍ほど必要になるとされています。
中規模ほどの1000kgの仕込みで酒造用水がその40倍使用されていると仮定すると、4万L、つまりお風呂200杯分の水が1回の仕込みで使われています。
この仕込みが何度も行われるため、日本酒造りで使われる水の量がとても多いことは容易に想像が付きますね。
ここには日本酒の原料であるお米を作るための水は含まれていません。
お米を作るのにも大量の水が必要になるため、日本酒を作る際はより大量の水が消費されていることもわかります。

日本酒造りに水が大切なことが量の面からでもわかったところで、具体的な酒造用水に関して見ていきましょう。
酒造用水は大きく2つに分類されています。
醸造用水というのは原料加工から発酵の段階である酒母やもろみなどで使用される水のことを指しています。
実はお米についた糠を落とす洗米や、お米に水を吸わせる浸漬などに使用する洗米用水は仕込用水よりも多くなっています。
仕込用水は日本酒の味わいを決める大きな要素になりますが、お米の重量の1.5倍ほどしか使われないため、酒造用水の中ではほんの一部に過ぎません。
雑用用水というのは器具の洗浄などで使われるもので、衛生面が大切な酒造りには欠かせないものです。

もう一方の瓶詰め用水は、瓶詰めや割り水など、日本酒を瓶に詰める際に使用する水になります。
多くの日本酒は瓶に詰められて商品になりますが、その瓶は回収したものをリユースしたり、新しい瓶を使用したりすることがあります。
どちらにしても瓶詰めをする前には瓶をきれいに洗浄します。
その洗浄に用いられるのが洗瓶用水です。
次の割水用水は、日本酒に加水する際に用いられるものになります。
日本酒は原酒以外、基本的に加水してアルコール度数を下げることが一般的になります。
瓶詰めの直前にお酒の中に直接加水するため、水質も重要になっています。
瓶詰め用水の雑用用水には、器具の洗浄はもちろんですが、火入れの際に使用するボイラーや、冷却に用いられる水なども含まれています。

このように、日本酒では様々な用途で水が大量に使用されています。
日本酒が水の豊富な地域で作られている理由の一つですね。
ですが、その水も量があればいいというわけではありません。日本酒は、直接口に入る商品です。
当然、水も清らかなものが必要になります。

2.水質・硬度

次は水質・硬度についてです。
日本酒講座の第3回の原料加工の回(https://note.com/sakebase_world/n/n5f8e07cc992b)でも触れましたが、日本酒に用いられる酒造用水は水道水の基準はもちろん、表のような値が酒造用水として備えるべき条件として規定されています。
特に鉄やマンガンに対する基準が水道水より約10倍ほど厳しくなっています。
鉄分が存在すると麹菌が生み出す成分と結合し、着色の原因物質になるため、マンガンは日本酒が日光に晒された際に着色の原因になるため、これらは水道水より厳しい基準となっています。

微生物に関しては、もちろん存在しないに越したことはないですが、加水後の殺菌工程がない、生酒は特に注意する必要があります。
現在はフィルターを用いて醸造用の水から微生物を取り除くことも多くある上、日本酒のアルコールで多くの菌は生育できないため、雑菌が繁殖するということはありません。
しかし、日本酒の天敵である火落ち菌は高いアルコール下でも繁殖できるため、生酒への加水時は注意が必要になります。
加水した生酒より、生原酒をよく見るのは生酒に加水することに少なからず、リスクがあるということも関係しています。

日本酒に用いる水にはこれまで解説した良くない成分だけでなく、発酵に必要な成分もあります。
それがカリウムやリンにマグネシウム、カルシウムなどのミネラル分です。
これらのミネラルは酵母や酵素を活性化させ、アルコール発酵を活発にしてくれる効果があります。
お米にもある程度含まれているため、水からのみ供給されるわけではないのですが、仕込み水に含まれていると発酵の補助を担ってくれます。
また、ミネラルウォーターのように水に含まれるミネラルで、味わいに違いを感じた経験もあると思います。
しかし、日本酒の味わいの変化においては、ミネラル成分の直接的な影響というよりは、ミネラルにより発酵過程が変化しているため、味わいに影響が生まれていると言えるでしょう。
傾向としては、ミネラルが多い硬水を使用すると力強い発酵が進むため、旨味や酸味がはっきりした濃厚で力強い酒質になります。
比較的アルコール度数も高めになりやすいです。
ミネラルが少ない軟水で仕込んだ場合は、まろやかで優しい繊細な酒質になりやすく、味わいより香りを楽しみやすくなる傾向にあります。

しかし、ミネラルが多くていいことばかりではありません。
ボイラーや釜でお湯を沸かす場合、ミネラルが多く含まれているとそのミネラルが固形分として蓄積してしまうというデメリットもあります。
掃除の手間が増えてしまうので、あらかじめミネラルを除去できる浄水器を通したものを使ったりなど、用途に応じて様々な処理をしています。
ミネラルが少ない場合は発酵助成剤などで補うことも行なっているところもあります。
今まで解説してきたように日本酒造りには水を大量に使用するため、その土地以外から用途に適したものを運んでくるのは現実的ではありません。
そのため、各蔵で様々な工夫をして水を利用しています。

今回は原料編ということで、水について解説してきました。
原料としてのイメージはあまりないかもしれないですが、日本酒には欠かせない大事な原料になります。
イベントなどで酒蔵の仕込み水が飲める機会があったりしますが、そんな時に思い出してもらえればと思います。

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