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動画で学べるシリーズ!日本酒講座「製法編 日本酒の原料加工」

みなさんこんにちは❗️
今回の動画で学べるシリーズ第3回は「製法編 日本酒の原料加工」についてです!
動画だけでなく文字でも解説していくので、お好みの形式でお酒のことを学んでもらえればと思います🍶
コチラのチャンネルの動画をベースに解説を進めていきます!

今回はコチラの動画になります!
この動画では日本酒の製法のうち原料加工の部分について解説しています。
今回から製法編という形で進めていきます!

1.精米について
2.洗米・浸漬について
3.蒸米について
4.水の加工
今回はこの4つの項目です!

1.精米について

まずは、精米について説明していきます。
そもそもお米は、収穫してからそのまま口に入れることはできません。
脱穀、もみすりを経て、玄米になり、そこからさらに精米されて精白米となります。
この精米という作業は、日本酒の味わいを設計していく際に重要な工程となります。


精米は、お米の表面からぬか層を削っていく作業のことを言います。
なぜこれが日本酒の味わいにとって重要になるかを説明するには、お米の成分やその分布を理解することが必要になります。

お米は、炭水化物(デンプン)・タンパク質・脂質を含んでいます。
デンプンは第一回でも解説したように、糖分を経てアルコールになる大事な成分です。
タンパク質は発酵の過程で、アミノ酸となり、日本酒の味わいに影響をもたらします。
雑味の原因となる場合もありますが、厚みのある味わいにしたいのであれば、 アミノ酸の元となるタンパク質は多く残すべきでもあります。
脂質は、香りの成分に関わってきます。
香りの成分の合成を妨げる場合や、脂質由来の香りも存在します。
これらがお米にふくまれる成分が日本酒に与える影響になっています。

そこで、お米の栄養素の分布なのですが、タンパク質や脂質は米の外周部分ほど割合が高くなります。
外側を磨くことでタンパク質や脂質を取り除き、デンプンの割合を高めるために行われるのが精米です。

タンパク質は、磨くほど緩やかに減少し、お酒がシンプルで繊細な味わいに近づきます。
脂質は70%ほどまでは、比較的急激に減っていき、50%程磨くことでほぼ 0 になります。
このように、玄米を磨くことで、精白米に残る成分を調整し、日本酒の味わいを設計していきます。

この時、どれくらい精米したかを示す値を、精米歩合と呼びます。
磨く前の玄米の重量を100%とした時、磨いた後に残った白米の重量を%で表しているのが精米歩合です。
つまり、100kgのお米を47kgになるまで磨いたら、精米歩合が47%となります。

機械にもよりますが、この精米にはかなり時間がかかるもので、精米歩合70%でも10〜20時間、40%にもなると48時間、つまり丸二日間かかります。
精米歩合が一桁のものになってくると、さらに長い時間と高い技術が要求されてきます。

精米を終えて、精白米となったお米ですが、すぐには使用できません。
精米の際はお米を擦ることで磨いていくため、摩擦熱を持ち、お米内部の水分にばらつきがあります。
このまま次の行程に移ると、お米が割れてしまったり、均一に水分を吸収できないことがあります。
そのため、しばらく保管することで、温度を下げ、水分量を一定にします。
期間は大体2〜3週間で、精米歩合が低いほど長く期間が必要になります。
この保管する工程を、枯らしと呼びます。

2.洗米・浸漬について

次に、洗米と浸漬について説明していきます。
洗米はお米を洗い流し、ぬかやくずを取り除く作業、浸漬はお米を水に浸し、水分を吸収させる作業になります。
言葉で表すと簡単に聞こえますが、原料加工の段階で一番職人の技が必要なポイントです。
蒸し上がった際に、お米に水分が多すぎないように、ムラがないように、細心の注意を払って行われます。


お米の産地に品種、精米歩合に水分量、さらにはその日の気温、水温など、さまざまな条件によって吸水量が変化します。
その吸水量を目標の割合にするため、秒単位で洗米、浸漬の時間を変えていきます。
このように、目標の数値を定めて吸水させることを、限定吸水と言います。
お米にもよりますが、浸漬の時間は数分から数時間と幅は広めです。

蔵の方針によりますが、手作業でも昔ながらのカゴを使用する場合や、高圧水流を用いた洗米機などを用いる場合もあります。
手作業で行う際は、10kgほどに分けて何度も作業を繰り返します。
普通酒などは大きな機械で一気に行なったりする場合もあります。

3.蒸米について

最後に蒸米(じょうまい)の行程について説明していきます。
洗米、浸漬の作業を蒸米の前日に行い、表面の水分を無くしてから翌日にお米を蒸しあげていきます。
蒸す一番の目的は、お米のデンプンをアルファ化することです。(アルファ化については後述)
他にも、タンパク質を熱変性させることや、脂質を揮発させること、さらにはお米の殺菌も担っています。

では、どのような蒸米が酒造りに適しているのでしょうか。
蒸米に大事な条件は、外硬内軟であることです。
これは、文字通り、お米の外側が乾いていて硬く、内側は水分を含んで、軟らかく、弾力のある状態のことを言います。
この状態を目指すには、お米に水分が含まれ過ぎていてはいけません。
そのために、吸水をコントロールしたり、お米を炊くのではなく、蒸すという作業をしています。
お米は炊いた場合、2倍以上の重さになりますが、蒸した場合は、1.5倍ほどの重量になります。
外硬内軟に仕上げるために、蒸す際の最終段階で、乾燥した高温の蒸気を当てることがポイントになります。

この、外硬内軟状態を目指す理由は、いくつかあります。
一つは、お米同士がくっついて塊にならないようにするためです。
お米が塊になってしまうと、表面積が小さくなり、酵素も作用しにくくなり、麹造りの際も麹菌が繁殖しにくくなります。
二つ目は、適度な糖化速度にするためです。
全体的に硬いと糖化が進まない、軟らかすぎると早く糖化してしまう。
どちらにしても、もろみのバランスが崩れてしまいます。
三つ目は、麹菌を理想の状態で繁殖させるためです。
詳しくは製麴の講義で解説していきますが、麹菌がお米の奥まで入り込んでいくためには重要な条件になります。

では、実際にどのようにお米を蒸しているのでしょうか。
お米を蒸す際は、ベルトコンベアのようなもので連続して蒸していく場合と、甑(こしき)と呼ばれる、伝統的なせいろのようなもので行う場合に大別されます
連続式の場合は20分から40分、甑の場合は、40分から60分ほどの蒸し時間になります。
蒸し上がったあとは、ひとつまみのお米を指先でこねて、ひねりもちと呼ばれる状態にし、お米の水分量などを確認します。


使用する際は、そのままの温度で使用するのではなく、用途に応じて冷却していきます。
お米を広げて、空気にさらしてゆっくり放冷していく場合と、ベルトコンベアとファンを用いて素早く冷却していく場合があります。
麹米の場合は、35度前後、仕込みに使う場合は、目標温度に合わせて調整します。

ここから豆知識として、デンプンのアルファ化について解説していきます。
まず、白米のような生の状態のデンプンをベータデンプンと呼びます。
ベータデンプンは構成する分子が隙間なく並んでいて、結晶状態となっています
この状態では、硬くて糖化も消化もできません。
ベータデンプンに水を加えて加熱すると、粘性が増し、柔らかくなります。
この現象をアルファ化または、糊化と呼びます。
この時、デンプンを構成する分子の隙間に水が入り込んでいます。
この状態になると、デンプンに酵素が作用できるようになり、糖化がスムーズに行われます。
蒸米の工程が酒造りで重要なものであることがより理解いただけましたでしょうか?

4.水の加工

最後に水の原料加工について説明していきます。
水も原料加工をあらかじめ行うことがあります。
日本酒に使用する水は、水道水の基準はもちろん、それ以上の品質が理想として求められています。


そのため、さまざまな方法で濾過が行われます。
目的としては、日本酒の味わいに悪影響のある鉄やマンガンなどの成分を除去するため。
地下水などの天然水を使用するために雑菌を取り除くため。
また、濾過とは異なりますが、軟水機を用いてミネラルを除去し、硬水を軟水にする場合もあります。

他にも、現代的な製法として、ほぼ純水を仕込み水に使用することもあります、
その場合、発酵に必要なミネラルを含まない事になるので、後で必要最低限の栄養分を足すという加工をする場合もあります。
蔵にもよりますが、工程ごとに加工した水を使い分けていたりもします。
日本酒造りでは、水一つとっても、このようにしっかり手間をかけています。

今回は、日本酒の原料加工というテーマで講義を進めてきました。
製法編の出だしですが、この時点で既に、日本酒の味わいに大きく関わってくる大事な要素がたくさんありました。
こちらのブログでは今後もより詳しく、わかりやすく、日本酒の解説をしていきます!ぜひ、スキ、フォローお願いいたします!

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