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【韓国ドラマ感想】セレブリティ/셀러브리티

「韓国ドラマは時代劇しか見ない」
そう言っていたあの頃の私はもういない。
面白そうなものは片っ端から見ていくとネットフリックスに誓った。

と言う訳で全話見終えたので、個人的な感想を書き留めておく。


※以下ネタバレあり



まさに世は大SNS時代。
それを象徴するようなドラマだと思う。

インスタグラムのフォロワー数130万人の大人気インフルエンサー、ソ・アリ
彼女が紹介したならば、寂れて閑古鳥が鳴くような店もたちまち大人気店になる。

そんなアリの語りから始まるストーリー。
「SNSのあの人達はどうしてあんなに人気なのか、セレブなのか、どうしたらああなれるのか、不思議に思った事はない?」
視聴者も思わず「確かに」と頷く導入は見事だったと思う。
個人的にはスマホに見立てた巨大なセットからぽんっと画面部分が飛び出して中にリアルな人間を置いているシーンが好き。
結構金かかってると思うあのセット。

そしてアリがひとりライブ配信をしている画面に変わり、導入シーンもその一部だったと見せる演出も好き。
このドラマは全体的に目を惹く演出が多かった印象。

そう、死んだはずのソ・アリのライブ配信から物語は始まる。

無名の化粧品販売店で働くアリはSNSなんてひとつもやっていない、今時珍しい人間だったが、小さなきっかけでころりと沼に落ちて行く事になる。
ブルガリの店にネックレスの購入を代理で来たアリとその友人ジョンソンはそこで偶然、インフルエンサーのオ・ミネに出会う。
高校時代の同級生だったアリとミネ、この出会いでアリの人生が大きく変貌していく。

高校時代は金持ちだったアリと、貧乏だったミネ。
今は大学中退で無名化粧品の販売員のアリと、人気インフルエンサーになり大金を湯水のように使うミネ。
残酷な変化を叩きつけられたアリは「セレブってどんなのなんだろう」と自身のスマホにインスタグラムを入れてしまう。
すると見えるのは当然、きらっきらのセレブ生活を送るかつての同級生である。
「うわーこれはきっついわー」と思わず視聴者も唸るセレブ生活の見せつけ。

「昔は私が使わなくなったバーバリーのリュックをもらって喜んでいたのに」とか思うのも当たり前だし、「他所は他所うちはうち」と思っても一度目にしたものは記憶からなかなか消えないものだ。
そんな、少しずつインフルエンサーに興味を抱き始めるアリに追い打ちをかける事件が発生する。
ミネによる「そうだ!あんたもセレブパーティーおいでよ~www」である。

最初は行かない姿勢を見せていたものの、結局足を運んだアリの服は高級ブランド。
母親が営む洋服修繕店に預けられた他人の服である。
母親が「借りるだけだから」と着るように促すそれをずっと拒否していたが、結局着てしまう辺りにアリにも「お嬢様だったあの頃への未練」はあるのかもしれない。
と思ったが次のシーンで「そんな可愛いもんじゃねぇな」と思い知らされる。

このセレブパーティーにはアリが拝借した服の持ち主・シヒョンがいたり、ミネとビニマムの大喧嘩が始まったりとまあろくでもないパーティー。
良かった事はジュンギョンと運命の出会いを果たす事だけ。
そして借り物の服を汚されたアリがキレてビニマムに喧嘩を売ってしまうのだから、あまりアリにも同情が出来なくなる。
結局のところ「どれだけ慎まやかに生活しようともお嬢様として育てられた十八年間に培われたプライドが消えないんだな」と。

この大喧嘩でミネのイメージがダウンしていく中で、少しずつアリのフォロワーが増えていく。
そんなアリに近付くのがコンサル会社のスンヒョクだ。
アリにビジネスの可能性を見出したスンヒョクの話をアリは断るものの、イメージ回復をしたいミネの「私達超親友~!マジ親友~!」ムーブに取っ捕まる事になる。
アリが勤める会社の化粧品を自身のライブ配信で勝手に宣伝したのだ。

本人の望む望まないを関係なく、インフルエンサーに紹介されたとあれば商品は飛ぶように売れていく。
アリのフォロワーも増えていく。
見せつけられるセレブになった同級生と、セレブから落ちた自分の差。
ついにアリはSNSの沼へと足を踏み入れた。

しかしまだアカウントを作ったばかりのアリには増えたと言ってもフォロワー数は微々たるもの。
そこで頼りになる(より沼に突き落とす)のがスンヒョクだ。
「フォロワー数が多ければここの美容院は使い放題」「ここの服も着放題」
などと言葉巧みに実演を交えてインフルエンサーになると得られる利益を話す。
こうしてアリが少しずつ「私もあっち側に行きたい」と落ちていく様を見せてくるのが上手かった。
ここが下手だと「長ぇよ!さっさとインスタやれよ!」とか「突然過ぎん?ご都合主義は二次創作だけにしときな?」とかになるが、「あー、落ちたな」と思わせる上手い見せ方だったと思う。

そしてスンヒョクの仲介によりもっと上を目指したいアリと、イメージ回復を図りたいミネの利害が一致。
「私達高校からの超親友~!」と言うビジネス親友ムーブが始まる。
どうせ長続きしねぇのになとか思っちゃうけどね。
こう言う時の女同士の関係って男が思う以上に冷め切ってるからね。

ミネのブランドのポップストアオープンに駆けつけたアリ。
親友としてすでに名だたるインフルエンサーと一緒に写真を撮ればフォロワー数は瞬く間に増える。
だがしかし!ミネはアリが嫌いである!
繰り返す!ミネはアリが嫌いである!!!

セレブだらけのチャリティーバザールにアリを招待し、出品する商品を持参して来たアリを嘲笑う。
「え~?後片付け手伝ってって意味で呼んだのに何勘違いしてんの~?てかここブランド品しか出されてないのに何そのガラクタ~www」
うーん、陰湿!テンプレのような陰湿さ!
しかし効果はばつぐんだ!
さすがのアリもプライドをずたずたにされ溢れそうになる涙を堪えながら帰路に就く事に。

そしてアリはインスタに自身に向けられる「いいね」が嫌いだと投稿。
言うまでもありませんね。
炎 上 で す 。

「そう言うのはそう言うのを欲しがっている人達にあげてください」だなんて投稿しちゃったもんだからもう一瞬で大炎上。
「かっこつけんな」「それ佳賓会の事でしょ」と誹謗中傷の嵐。
まあ実情がどうであれ他人の目からは「ミネを始めとした佳賓会のおかげでちょっと有名になった奴」と見える訳なので当然の反応だろう。
私も「いや、ぶってんじゃねぇよ」と思った。

一瞬で大炎上し「ソ・アリ中傷事件」へと発展した中でアリにひとりの人物が接触してくる。
bbbfamousと言うアカウント名の見ず知らずの相手。
そのbbbが「貴方のファンです。打開策があります」と提案してくるのだから怪しさ満点だが、後先考えずに投稿してしまったアリにはこの提案に乗る以外の方法はない。
正直このbbbを信用し過ぎだろとは思った。
だがまあついこの間までインスタのアカウントすらなかった人間からすれば、右も左も分からない中に渡りに船があれば乗ってしまうのも仕方がないとも思う。

また最終回に至るまでこのbbbの正体へのミスリードが素晴らしかった。
序盤では誰もが「佳賓会の誰か」だと思うだろう。
しかしアリを助けてくれる流れになると「ジュンギョンか?」と考えさせられる。
最終回で正体が明かされるまで、しっかり誰か分からなかったので本当に楽しかった。

そんなbbbの提案は「インスタと言う相手の土俵で戦わずにリングを移す事」だった。
フォロワー数では佳賓会に圧倒的に劣るアリがインスタ内で勝負しても勝ち目がないのは当然。
なのでアリの投稿を別サイト、多分こっちで言うところの5ちゃんねるみたいなサイトに「実際問題アリの言う事って正しくね?」と投稿したのだ。
簡単に言うと「ああ言うセレブが嫌いな人が多そうな所」にリングを移す。
すると作戦は大成功。
表立ってインスタでは言わないだけで「セレブうっぜー!」と思う人などたくさんいたのだ。
風前の灯火だったアリのアカウントは息を吹き返し、一気にフォロワーは10万人に。
おまけにジュンギョンとの交際報道が出るわ、ジュンギョンとシヒョンがアリをフォローするわで世間のアリへの関心は上がる一方。
佳賓会は「はあ~~~!?マジむかつくんですけど~~~!!!」状態になる。

するとここで場面を現代に戻し、佳賓会がライブ配信で口を揃えて言う。
「ソ・アリは人殺し」だと。

いや、くっそ面白いな!!!???
毎回引きが上手い。
マジで続きが気になるように出来ている。

「人殺しってどう言う事なんだよ~!」と視聴者に思わせながら場面はアリとジュンギョンのお食事デートへ。
この時にアリがジョンソンを連れて行くのだが、アリと二人でご飯が食べたかったジュンギョンは怒る。
でもね、私思うんだ。
「お前と二人きりになりたくねぇんだよ」が分かんねぇんだこいつと。
財閥三世の、生まれた時から金持ちお坊ちゃまだから一般人のその感覚が分からないのだと思う。
ジュンギョンお前もしかして、顔と家以外に取り柄がないのか…?

まあ結果的にアリは「財閥ってどんな豪邸に住んでるんだろう」と言う好奇心からジュンギョンの家でのお食事デートに行く訳だが。
ジョンソンどうしたんだよお前。

そしてジュンギョンの家でジュンギョンにドン引きをかます事になる。
さっとジュンギョンの靴を脱がす作業をする人が家にいるんですよ?
そりゃあドン引きでしょ。
アリが「何あれないわ」と言うとジュンギョンは「子供の頃からああでしたので」と言って次には「僕がそれを止めたら職を失う人がいるんですよ」と言う。
「批難する理由がなくなったでしょ?」と言うジュンギョン。
うん、なくなったけどそれはそれとしてキショイはキショイ。
「はー?何こいつ」みたいな感じでアリはご飯に手を付ける事なく帰る事になるのだが、飯は食っても良かったと思うぞ。
だって高そうだったし。

bbbから佳賓会の皆は体を売ったり偽ブランド品を売ったりと、裏で金を得る為のヤバイ事をしていると聞かされたアリ。
そんなアリに近付くアンジェラの仲介で、アリを毛嫌いするチェヒとの仲直りをしようとクラブに招待される事になる。
しかしクラブに行けば当然チェヒはキレ散らかす。
帰ろうとするアリを引き留め「もう少ししたらチェヒは機嫌が良くなるから!」と伝えるアンジェラ。
良くなってから呼べ。

部屋を出るアリと入れ替わって入る男達。
事前に「二十代に見えますは絶対に言え!」とチェヒのご機嫌取りに訓練された男達である。
そんな男達が何やらアタッシュケースを持って部屋に入るのだ。
しばらくすると画面に映るのは「あー…キメたな」とお察し出来るご尊顔のチェヒ。
キメキメでご機嫌がハイのチェヒは笑いながらアリに「このレベルなら側に置いてやってもいい」と言って写真を撮りインスタに投稿。
「こいつら頭イカレてやがるわ」と部屋を出たアリはジュンギョンに遭遇し「薬キメてるような低俗な女は嫌いです」と罵られ踏んだり蹴ったりである。
どう見てもアリは正常なのに低俗呼ばわりは昼間の腹いせにも程がないか?
もしかしてお前、モテない…???

しかしそんな腹いせ云々よりも、チェヒが投稿したキメキメご尊顔写真に焦り散らしたのは兄・テジョンとその妻であるシヒョンだ。
大急ぎでクラブに駆けつけ写真を消す為にチェヒの携帯電話を探す中、1人の男が突然倒れる。
まあ、お察しですよね。
過剰摂取しちゃったね。
口から泡吹いてるね。
死んだな。

しかし「死んじゃった☆テヘッ☆」では済まない。
ただでさえ「妹が前後不覚になるまでキマっちまってる」のにその薬パーティーの場で「死人が出た」なんて事は許される事ではない。
慌てたアリは救急車を呼ぼうとするがもちろん止められる。
そりゃそうだ、この場にいる全員が「バレたら困る」のだから当然の事である。
そしてテジョンは男を知人であるミンチャンの病院へと運ぶ事にした。
この時にゆったりめのBGMだけが流れる画面に焦る皆の顔とクラブらしく七色に光る廊下が芸術的だった。
このシーン、ご飯食べながら見ていたい。

そしてここで厄介なのがやはりアリである。
チェヒが投稿した写真には自分も写っていて、まあ正直酒で酔っているとは言い難いキメキメご尊顔のチェヒと一緒に写っていて、自分も大人気インフルエンサーになろうとしているのに、救急車を呼ぼうとするなんてイカレてるのかと。
アリの「プライドはお嬢様・常識は一般人」ってところが本当によく出ていた。
めんどくせ~~~!!!どっちかにしろ~~~!!!

そして男は無事だったと聞かされほっとするも束の間、テジョンがクラブでの一件を口外しないようにと誓約書へのサインを求める。
結果的にサインをしなかったアリに対してテジョンが「偉そうにも程がある」とぼやくのだが、「それはそう」と画面の前で大同意した。
この頃のアリはテジョンと比べれば全く偉くないので、まあ身の丈に合わないくらいの偉そうさは出ている。
しょうがないね、プライドはお嬢様だからさ。

だがそんなアリに危機感を抱くのがジュンギョンである。
財閥三世お坊ちゃまは、テジョンのような上流階級家を敵に回すとヤバイと知っている。
だから守らせてくれとアリに伝えるが、アリのガチ拒否が発動。
しかしそれでも諦めないジュンギョン!
いや…こわっ…回転ドアでの壁ドンならぬドアドンは最早恐怖やろ…。
そしてジュンギョンはテジョンに警告をする。
「お前が例の男を普通の病院じゃなくてミンチャンの整形外科に連れて行ったの知ってるからな」
ここで私は「男を整形して身元を分からなくさせるのかな」と思っていた。
まさかこの時点では本当にまだ生きていたとは思わんやん…。

だがアリにも追い風が吹き始める。
自分のセンスで買い付けた服を売る「ARI&」が大人気になったのだ。
でもなあ…お前、佳賓会に嫌われてるからなあ…。
私がそう思った矢先に予約していた服が買えなくなる事件が勃発。
ミネの根回しにより、ベスタルームを経営するユリに嫌がらせの買い占めをされたのだ。
これによりARI&は大失墜、アリもまた誹謗中傷の嵐に晒される。
ほらな?お前佳賓会に嫌われてるからって言ったじゃん!
しかしプライドお嬢様のアリは諦めない!
「だってここで負けたら悔しいじゃん!」とベスタルームへカチコミ。

ちなみにARI&が人気になったのでチェヒはキレ散らかしている。
本作においてチェヒはずっとキレ散らかしていると言っても過言ではない。
最早キレる為にいる。

bbbから「ユリは昔体を売っていた」と情報を得たアリはそれを使いユリを脅しながらポーカーに興じる。
この辺りからアリは完全に佳賓会の人達と何ら変わらなくなる。
まあ本人はそのつもりが毛頭ないので質が悪いのだが。
そもそもユリが過去に体を売った金で今があるとして、それをアリにどうこう言う資格はないし文句はまずミネに言えって話で。
てかユリが過去に体を売っていたから何だって思いますね。
ただのパパ活じゃん。ちょっと金額がデカいだけのパパ活じゃん。
あとユリの「偉そう?偉いから威張ってんのよ!」に対しても「それはそう」と大同意をした。

ポーカーに勝利したアリはユリを踏み付ける事に成功。
「どんなやり方で勝負しようが私の自由」と言い残すのだが、ならユリのパパ活も口を出す必要なくない?
まあアリは自分が正義と思っているのでどうしようもないのだが。
そんな大正義アリに運命の再会、父の工場に勤めていたおじさんが自分の縫製工場を持って現れた!
いずれ自分でデザインした服を売りたいと言っていたアリにとってこれ程都合の良い再会はない。

そしてもうアリは終わったと安心する佳賓会が参加するバルマンのファッションショー。
そこにVIP席で現れたアリ。
どうしてと佳賓会は大混乱なのだが、当然アリにVIPとしてバルマンに招待される程の金も人脈もない。
未だパトロンに体を売って金を得ていたアンジェラを脅して招待状を掴んだのだ。
もうお前のやってる事佳賓会と一緒やん…。
そして計画通りバルマンのトップモデルに服を褒められインスタに投稿、見事アリは返り咲く。

でもこの時にアンジェラが言っていた「一回投稿したらもう着れない」は考えさせられるものがあった。
アンジェラは佳賓会のメンバーとレベルを合わせる為にそうしている訳だが、実際に見栄を張っている人間はこう言う思考になるのだろうと思う。
何でも身の丈に合ったものが一番だと改めて思わせられた。

ARI&もまた大人気となり、正式にジュンギョンの会社とコラボ。
打ち合わせの場で二人は熱いキスを交わした。
いや、この時のジュンギョンの「すっと腰に手を回してがっと勢い良く抱き寄せてのキス」が少女漫画のテンプレみたいなキスで凄かった。
「少女漫画のテンプレかよ!」って画面の前で叫んだわ。

まあこの幸せなキスの裏で例の男は死んでるんですけどね!!!

本作はほとんどの話がアリの独白から始まるのだが、「この世はもので溢れ返っている。興味がなくても囲まれているうちにひとつだけと思う。遅れてないか不安になるのよね」と言う語りが一番好き。
まさに「今の世の中だなあ」って感じだして。

ついにフォロワー数130万人になったアリ、ジョンソンは秘書のようなポジションに。
「いやお前の友達侍女になってるやんけ」ってすぐに思ったけどね。
「姫と侍女とか馬鹿みたい。何で侍女になりたがるの?」とか言っていたアリの友達が侍女化。
佳賓会と同じだって事が強調されてきたなと感じた。

そして問題が起きるのはいつも決まってパーティーなのだ。
自分達より良いランクの席を用意されるアリが気に入らない佳賓会。
「フォロワー100万人越えがそんなに偉い?」とぼやき始める。
なんでやねん!お前らそれで殴り合ってたやろ!!!
そんな状態の佳賓会で問題を起こすのはそう、チェヒである。
アリと喧嘩になり、協賛で借り物だったアリのドレスが汚れてしまう。
焦るジョンソンへ当たり前のように「買い取ればいい」と言った自分に驚くアリ。
シヒョンのドレスを汚してしまって、絶対に全額弁償しますと言っていたあの頃の自分はもういないんだってやっと気付いたような顔。
だが息つく間もなく次の問題が転がり込む。
「自殺なんかじゃないんです!母を残して死ぬなんてありえないんです!」と騒ぐパーティー会場に似つかわしくないラフな格好の女。
そう、お薬パーティーで死んだ男の妹である。
知っちゃった~!知っちゃったぞ~!あの男が死んじゃった事をアリも知っちゃったぞ~!!!
「あの時救急車を呼んでいたら」と後悔するアリだが、そもそも呼んだところで間に合ったのかどうかも怪しいけどな。
キメキメで口から泡吹いてたんだぞ。

大変な事になったなあと思うアリにメッセージ。
bbb「何で無視すんの?は?調子乗ってんの?は?次はねぇぞ?」
急にヘラるやんどうしたんやお前。

その裏でジュンギョンとシヒョンの間に何があったのかを話すシーンが始まるのだが、大体ジュンギョンが悪くて草。
「財閥と政治家の結婚がダメって知ってるし」「お母さんからでしょ?電話出たら?」と、理解ある落ち着いた彼氏ムーブなんかかますからシヒョンに愛想尽かされたんだろがよく分かるシーンでした。
政治家である父親の不正を揉み消す為に、弁護士であるテジョンとの結婚を親から急かされるシヒョンは「それでも俺はシヒョンと一緒にいたいよ」と一言言ってほしかっただけなのにな。
「ダメだこいつ何考えてんのか分かんねぇわ」ってなって突然振られても何も文句言えねぇじゃん。
やっぱこいつモテねぇだろ。
家柄良し顔良し仕事も出来る、だがしかし女心だけは分からないし相手の立場になって考える事が出来ないタイプ。
うーん、一周回ってアリとそっくりなのかも。

そしてヘラったbbbはチェヒに連絡をする。
しっかりめんどくさいメンヘラムーブかましてるbbbちゃん面白いね。
アリの店には見知らぬ女が現れる。
いやほんまに誰か知らん奴ーーー!!!
視聴者も知らん女ーーー!!!

そんな中、現代ではアリの暴露配信で世間は大騒ぎ。
暴露に群がる配信者も出てくる辺りがリアルで良い。
「誰に撮られるか分からないから」とカーテンを閉めっぱなしにするミネはだいぶと精神を病んでいるのも良い。
いつ自分に致命的な火の粉が降りかかるか分からないから怖くて仕方がないんだね。可愛いね。

場面は過去に戻りアリの前に現れた女がワン・ローラであると明かされる。
序盤でビニマムと暴露合戦をしていたインフルエンサーだ。
視聴者も忘れていた存在をちゃんと生かしてくるの凄く良い。
ここでワン・ローラを出す事で「bbbはワン・ローラ?」と言うミスリードになるのが凄く良い。
しかしここで少しずつ存在感を増してくるのはワン・ローラだけではない。
アリの友人であるジョンソンだ。
ジョンソンが実は裏でアリが断った案件をこなしてお金を稼いでいたのがバレるのだ。
この際にアリの母親もアリも「お前はアリじゃないんだよ!」とか「そんなんする人じゃなかったじゃん」みたいに結構ボロクソに言うのが、あー親子って感じ。
あんなに仕事してくれる友達なかなかいねぇぞ。
いいじゃんちょっとライブ配信して小遣い稼ぎするくらい。

あちらが騒げばこちらも騒ぐ。
シヒョンが家を出て行くと言ってテジョンと大喧嘩。
妹の為にやっていると言うテジョンに対して「自分と家の為でしょ!」と怒鳴るシヒョン。
うーん、チェヒはテジョンの妹なのでテジョンが自分と家の為に頑張ればそれは妹の為にもなるのでは?
まあ要はシヒョンは「もうこんな常識のない人と一緒にはいられない!」となっているので、論理的な話は通じないのだが。
そしてジュンギョンと同じような事を言うシヒョンを見てテジョンは「いつまでもハン・ジュンギョン、ハン・ジュンギョン」とキレる。
この時の「いつまでもハン・ジュンギョン、ハン・ジュンギョン…」の言い方が凄く好き。
ただシヒョンとジュンギョンの元の関係を知っているテジョンがこう言うのも当たり前なので、これに関してはシヒョンが悪い。

そんな問題が起きているとも知らずアリは中国のインフルエンサーとのコラボを実現させる。
ミネがキメキメご尊顔のチェヒと写るアリの写真を別人を装って投稿した為、良くない噂が流れる中、ライブ配信がスタート。
だが用意した服が五万枚しか売れないと焦る中、中国のインフルエンサーも「これ以上は難しい」とアリに伝える。
「えっ…それってどう言う意味…」の時の「マジで売れなかったんじゃないか」と思わせる緊張感が凄かった。
「もう完売したんでこれ以上は無理よ」って意味だったんですけどね。
あまりにもアクセスと注文が殺到し過ぎてサーバーエラーで数字が見えていなかっただけで実際は開始五分で完売していた。

そして大成功に終わった配信の後、アリは警察署に向かいお薬パーティーの証言をするのだった。

シヒョンに警察に言った事を伝えるアリ。
「自分が見た事だけを話しました。話し過ぎるとシヒョンさんに迷惑がかかるから」
サツに喋った時点で迷惑だが???
何を言っているんだこの女。
だがその裏で別の女も地獄に片足を突っ込んでいた。
そう、ミネである。
キメキメご尊顔のチェヒの投稿をしたとテジョンにバレてしまったのだ。
土下座して許しを請うミネ夫婦はスカっとした。
まあまだ終わりじゃないんですけどね。

bbbのメンヘラムーブのせいでアリの捏造本性暴露大会が始まる。
うーん、捏造だけど大体合ってるくね?
この際にアリはワン・ローラがbbbなのではないかと問い詰めに行くのだが「やっと分かったの?」と言わんばかりの笑顔を見せただけでワン・ローラはbbbではなかった。
でもこの時の笑顔の悪役感凄かった、マジで見てほしい。
そしてアリも対抗すべく釈明配信をする事に。
配信のお知らせ画面が真っ黒だったので、向こうでも意味深投稿は真っ黒画面の文化があるんだなと変な関心をした。
だがアリの配信が始まるやいなや、ミネも配信を開始。
泣きながら「キメキメご尊顔のチェヒの投稿をしたのは私です…!アリに脅されて…やらないとバーバリーのリュックのおさがりに喜んだ事をバラすぞって…!」などと供述。
もちろんテジョンの指示である。
投稿した事を暴露させてアリになすりつける、ふーんいいやり方じゃん。
こうなるともうアリの方が圧倒的に不利。
成す術がなくなったアリ。
だがアリの弟が悪口アカウントの持ち主を警察に通報した為、警察に出向いたアリの前にいたのはジョンソンだった。

どうしてみたいな顔をしているがそんなに驚く事か?
ジョンソンを侍女にしていたのはアリだし、こそこそと配信して金を稼いでいたのを知った時はボロクソに罵ったし、まあストレス発散に悪口アカウントをやっていても何ら不思議はないぞ。
元は同じ訪問販売員だったアリがどんどんセレブになっていくのを側で見ていて、本当に何も思わないと思う方がどうかしている。
やっぱりアリは根っこがお嬢様なのよ。
ジョンソンみたいな僕が自分に楯突くなんてありえないと思っていたのよ。
本当に佳賓会と同じになっちまって…。

そしてアリを心配するジュンギョンは、テジョンの指示でクラブのオーナーであるヨンテの運転するトラックに撥ねられる。
スマホの画面が割れてから車のガラスが割れる演出、好きです。美しい。

場面は現代に戻り、アリの暴露配信を見た視聴者は「真実が知りたい」と騒ぎ立てる。
そんなに知りたいかねぇ…別に自分の生活に何の影響もないしどうでもよくない?
渦中のテジョンは大急ぎで書類の処分中。
韓国の方がデジタル化が進んでいるので、向こうもまだ紙の書類があるんだなあとほっこりしました。

そして場面は過去に戻り、工場おじさんが死亡。
アリの人気が大暴落した事により大量の在庫や返品を抱える事に「あの時慎重になるように言っていたアリを無視した私の責任だ」と自殺。
まあ、こんな事になるとはアリも予想していなかっただろうし工場おじさんだけの責任ではないのだが、どちらかと言えば軽率なアリの行動の積み重ねが大爆発した結果なのでアリの責任なのだが。
でもこの時のアリへの中傷にある「空気が惜しい」が結構好きでしばらく笑ってた。
そしてアリも悟る、自重すべきだったと。
それはそう。
いやもう遅いよ。
気付くの遅過ぎるよ。
感情的に動いた積み重ねが今だよ、気付くの遅いよ。

bbbは一旦ヘラるの落ち着こうね。
返事求め過ぎね。
キレる為に存在しているチェヒがそんなマメな返信する訳ないでしょ君も気付こうね。

場面はまた現代に戻り、ついに訪れたアリのIPバレ。
警察、テジョンの手先、そして長らく意識不明だった中ようやく目を覚ましたジュンギョンがアリの元へと駆ける。
アリの元へと辿り着いたジュンギョン。
しかしそこにいたのはアリの格好をした、ジョンソンだった。

えっ!えっ!ええええーーー!!!???
叫んだよ。
リアルに叫んだよ。
普通に生きて配信してるだけだと予想していたから叫んだよ。
じゃあ本体は!?って叫んだよ。
我ながら本体って言い方で草。

最終回。
またしても知らない女が出て来て始まる。
金持ち風だが安く汚いゴミ屋敷に帰宅したのを見て「こいつもセレブ気取りか」と思った瞬間よ。
インスタに「bbbfamous」って入力してログインしたんだこの女!!!
お前かーーー!!!bbbfamousお前かーーー!!!
誰だーーー!!!???!!!

bbbの正体はなんとエステで佳賓会専属だった店員だった。
だがこのbbbことウンチェは最終回でのぽっと出ではない。
実は佳賓会がエステに来ている時にちゃんといるし、佳賓会との短い絡みもあったのだ。
チェヒのスマホを仕舞うシーン、妙にアップにしてくるなと思っていたがまさかここで伏線回収をしてくるとは…。
セレブが嫌いなウンチェが「次はねぇからな」とヘラったメッセージを送ってくるのは納得で、マジで「うおー…すげぇ…」って呟いたわ。

そしてアリのフリをしていたジョンソンの方の種明かしも始まる。
悪口アカウントのIPを警察に通報した時に「こいつ有能だな」と思っていたが、それも伏線でアリの弟の手でAIとディープフェイクを駆使して配信していたのだ。
コメントへの受け答えはアリが「どうせこんなコメントがくる」と予想していた通りのものが来たから、予想通りの答えをしただけ。

こうなると最早暴露配信の渦中の人達は息をしていられない。
続々とキレ散らかし壊れて逮捕されていく様はまさにスカッとコリア。
佳賓会の人達は全員報いを受けるので安心して見ていられる。
個人的にはアンジェラが旦那に離婚を言い渡される時、髪の毛を避けて谷間が見えるようにしていて「こいつこの期に及んでまだ性欲でどうにかしようとしてやがる」が見え見えで大好き。
チェヒは最後はあれ病院に入院していたところを逮捕されたのかな。
病院っぽかったからキメ過ぎてテジョンに病院にぶち込まれたのかもしれない。
あと最後の最後でテジョンが「俺はチン・テジョンだぞ!」って怒鳴っているのがチェヒとそっくりで、よく似た兄妹って感じで好き。

だがこうなると一番恐怖に慄いているのがそう、ウンチェである。
本作序盤、アリの配信に「お前は誰だ!」「お前が生きていていい訳がない!」みたいなコメントを書き込んでいたのだ、アリが生きているなんてもう恐怖でしかない。
そして対面するアリとウンチェ。
「今度はあんたが叩かれ続ける番よ!」と詰め寄るアリ。
慌てて従業員用のロッカールームに逃げ込んだウンチェ。
あー…おあつらえ向きな大きい窓がありますねぇ…。
椅子ポーイ!窓パリーン!
ですよねーーー!!!

ただ「もううんざり!見せびらかさないと生きられないの!?」と言ったウンチェのこのセリフはくるものがあった。
SNSで何でもかんでも自慢する世の中、こう思う人もいるだろうなと。
自分には一生手が届かないような高級ブランドをたくさん持っているのを見ると、腹が立つ人がいるのも当然である。
しかも今の時代、SNSをやっていない見ていないと言うのもなかなか難しい。
嫌でも目に入る事もある。
見せびらかす事へのリスクと言うものも、今一度考え直すべきなのかもしれない。

窓から飛び降りるウンチェ。
この時の演出にあるキーボードを叩いていたウンチェがいきなりカメラ目線になって、まるで視聴者に向かって「死ね!」と言ってくるようなシーンは強烈だった。
結構強烈な演出だと思うが、個人的には好き。

こうしてやっと終わった大人気インフルエンサー、ソ・アリの事件。
佳賓会のメンバーは皆報いを受け、ウンチェは飛び降りたものの命に別状はなく、罪のある者は皆逮捕された。
うん、スカッとコリア!最高!
でもねアリ、「間違ってるって言いたいだけ」であの問い詰め方はダメだよ。
本当にアリの悪いところだよそれ。

ただ最終的にアリはインスタに戻ったのかどうなのか、ちょっとどっちとも取れる終わり方だったなと思った。
戻らないとは言ったがストーリーの最後の最後、アリが視聴者に向けて語りかけているシーンで「ついて来て(フォローして)」になっていたので。
元々アリのこの独白は配信の一部と言う設定だった事を考えると、まだ配信をしているとも取れる。
まあストーリーとしては綺麗に終わっているので、アリがセレブに戻っても戻ってなくてもどちらとも取れる終わりもありなのかなとも思う。

あと最終回のタイトルが「どこにもいなくて、どこにでもいる」だったのが秀逸だなあと思う。
このタイトルを私はbbbの事だと解釈した。
「あそこまで過激な奴はそうそういないけど、そうなる可能性がある奴はどこにでもいる」みたいな。
もしくは「アンチだと思ったらファンだった、ファンだと思ったらアンチだった」みたいな感じかなと。
このドラマは各話のタイトルまで好きだったなあ。

最後についでの一言。
このドラマを見てギャラクシーのぱかぱかスマホが欲しくなった。
次に機種変したらあのスマホにしようかな。


・総評
面白い。
マジで面白い。
韓国ドラマが好きな人だったらほとんどの人が間違いなく楽しめるドラマだと思う。

陰湿な女同士の争い、その裏で起きる事件。
続きが気になる演出。
先の読めない展開、散りばめられた伏線。
悪役は全員報いを受けるスカッと具合。
そして綺麗に畳まれる風呂敷。
どこを取っても満点。

ただ登場人物への感情移入はしづらいので、そこが必須な人は少し難しいかもしれない。
個人的には主人公のアリにすら感情移入が出来なかった。
一番「分かる~」と思えるのはジョンソンくらいな気がする。
あとは薬キメてるシーンや、精神安定剤の過剰摂取っぽい描写、体を売っているのが窺える描写などがあるので、倫理観は低くして見るのがお勧め。
でもグロやエロはないので、その点は安心して見られる仕様だ。
また韓国ドラマ特有の財閥云々の話もそんなにないので「あいつとこいつが良い家の奴なのね~」程度で見られるのも良い点だ。

マジでお勧め。
お薬パーティーで七色廊下を焦りながら移動するシーンまでだけでもいいから見て。

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