【毎週ショートショートnote】助手席の異世界転生
お題:助手席の異世界転生
俺の車の助手席はいつも空席だ。もちろん彼女がいないと言う事もあるが、それ以上に「俺の車は厄介者」と言う理由で空けている。そしてその厄介者が今日も本領を発揮し出すようだ。
エンジンをかけ走り出した車のハンドルを握る。薄っすらと光を帯び始めた助手席を横目に、最早カーナビの案内なしで行ける程の往復を重ねた山に向かった。
「初めまして。ここは異世界です。貴方は転生をしました」
「……は?」
見晴らしの良い山の頂上に停めた車。ぽんっと音が弾けて見知