#50 酒造好適米の今後の展望について
今回の問題
酒造好適米の今後の展望について述べよ。
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200字回答
酒造好適米は、精米中に砕けにくく、米粒が大きく心白があり、タンパク質が少ない軟質米という特徴をもつ。山田錦や五百万石など、全国的に広く栽培される品種もあるが、近年は各都道府県が独自の品種を開発しており、山形県の出羽燦々や石川県の百万石乃白など、地域色を打ち出している品種も増えている。今後は高い醸造適性に加え、地域色を打ち出した品種のブランド化や差別化がさらに重要となると考えられる。(196字)
回答の要素
酒造好適米の特徴
精米中に砕けにくく、米粒が大きく心白があり、タンパク質が少ない軟質米。
都道府県ごとに栽培が奨励されている品種が決まっている。
山田錦や五百万石など、全国的に広く栽培される品種がある。
酒造好適米の今後の展望
近年は各都道府県の独自の品種が開発されている。
山形県の出羽燦々・雪女神や、石川県の百万石乃白など、地域色を打ち出している品種も多い。
高い醸造適性に加えて、ブランド化や差別化がさらに重要となる。
回答の構成
・砕けにくい/米粒大きい/心白あり/タンパク質少ない/軟質米
・山田錦や五百万石、広く栽培
・各都道府県の独自品種、地域色
・出羽燦々、百万石乃白
・醸造適性、ブランド化・差別化
回答の補足
県開発の酒造好適米 (酒米) が非常に多い。北海道・東北地方の一例を挙げるだけでも、
・北海道:吟風・彗星・きたしずく
・青森県:華吹雪・華想い
・岩手県:吟ぎんが・結の香
・宮城県:蔵の華
・秋田県:秋田酒こまち・美郷錦・一穂積・百田
・山形県:出羽燦々・雪女神
・福島県:夢の香・福乃香
などなど。
これらに加えて、酒蔵が独自に酒米を開発しているケースもある。例えば、灘の白鶴は「白鶴錦」を開発しているし、「十四代」の高木酒造は「酒未来」「龍の落とし子」「羽州誉」("酒米三部作")を開発している。
「高精米に耐えるか」「タンパク質含有量が少ないか」などの醸造適性に加えて、「耐寒性があるか」「耐倒伏性があるか」などの栽培特性が求められる酒米。食べる米よりも単価は高いが、生産者は年々減ってきているという。
酒米の溶けやすさは登熟期の気温に影響する。高温だとアミロペクチンの側鎖が長くなって溶けにくく、低温だと側鎖が短くなって溶けやすい。そのため、山田錦など収穫が遅い晩生品種は、登熟期が涼しいため溶けやすくなり、反対に五百万石など収穫が早い早生品種は、登熟期が暑いため溶けにくい。
関連
#04 美山錦について
#15 山田錦について
#16 五百万石について
#17 雄町について
他の回答
先人たちの回答
参考文献
J.S.A SAKE DIPLOMA 教本(Third Edition)p. 022-026
白鶴, オリジナル酒米「白鶴錦」, 閲覧2023年9月20日
美味しい日本酒, 日本酒「十四代(じゅうよんだい)」とは?味わいや評価、おすすめ銘柄を紹介, 2023年5月10日, 閲覧2023年9月20日
大場 孝宏, 九州酒造研究会における米にこだわった酒造り, 日本醸造協会誌, 2015, 110 巻, 6 号, p. 372-379
※ 引用時に出典URLを明記したものは省きました。
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