酒飲みBの独り言

好事家の弁護士(取扱分野…相続、離婚,養育費,後見,交通事故,損害賠償請求,不貞慰謝料…

酒飲みBの独り言

好事家の弁護士(取扱分野…相続、離婚,養育費,後見,交通事故,損害賠償請求,不貞慰謝料請求,破産・再生,任意整理,債権回収,中小企業法務etc.…街弁的なものは一通り)/70~80年代邦洋楽/ラジオ/日本酒/ウイスキー/読書/サイクルロードレース観戦

最近の記事

映画「ミセス・ノイズィ」雑感

(注)この記事は結末には言及しませんが,若干のネタバレを含みます。内容を知りたくない方は,映画をご覧になってからお読みになることをお勧めします。  あ,それと,虫嫌いの人はちょっと気を付けて鑑賞した方がいいかもしれません。  先日,映画「ミセス・ノイズィ」を鑑賞した。  大体の物語のあらすじを述べると,「夫と娘一人とともに団地の一室に引っ越してきた吉岡真紀は,本業の小説家としての仕事でスランプを抱えていた。さらに,隣人である若田美和子の早朝から布団をたたく音に悩まされるよ

    • (随時更新)法律を知るための個人的ブックガイド

      はじめに 弁護士という仕事をしていると,法律やそれに基づく裁判の機能がどのようなものであるのかを一般の方に知ってもらうためにどうしたらいいのだろうと思うことが少なくありません。  そうした観点から,この記事では法律を知るために非法律家の方が読んでも十分に楽しめる本をつらつらと紹介していきたいと思います。随時更新していこうと思っています(たぶん)。 道垣内弘人「プレップ 法学を学ぶ前に」(弘文堂) 東京大学法科大学院(ロースクール)に入学する未修者向けに行っていた入門講座がも

      • 法的用語問題あれこれ

        はじめに 法曹業界の用語の中には,用法からいって混乱をきたしてしまうものがいくつかある。ここでは主だったものを挙げてみようと思う。 「被告」と「被告人」 民事訴訟で訴えられた側を「被告」,刑事訴訟で検察官から公訴提起(起訴)された人を「被告人」という。「人」とつくかつかないかで全く別の概念である。したがって,刑事事件の報道などで「被告」と報じるのは誤りであり,早急に「○○被告人」としてもらいたいものである。  これのせいで,たまに民事訴訟で訴えられた側の相談を受けるとき,「

        • 弁護士費用は「高い」のか?

          はじめに 弁護士をめぐる話としてよく言われるのが,「弁護士費用は高い」ということである。私も相談者に対して大体の費用基準(たいていは着手金・報酬金形式,ときどきタイムチャージ方式)を示すと「そんなにかかるんですか?」と驚かれることも少なくない。  以前は弁護士に一律に適用されていた弁護士費用基準(旧報酬基準)があり,これが廃止されて弁護士費用の自由化が実現した今でも同基準をベースに算定することが多いため,自分の抱えている事件で弁護士に依頼する場合大体いくらくらいを見込んでおけ

        映画「ミセス・ノイズィ」雑感

          訴訟とは,○○を○○する作業

           民事訴訟でも刑事訴訟でもそうだが,私は訴訟というのは○○を○○する作業であると考えている。  さて,みなさんは○○の中には何が入ると考えるだろうか。  間違っても,「相手を懲らしめる作業」ではない。「真実を明らかにする作業」でもない。  正解は,「裁判官を説得する作業」である。  裁判官は,神様ではない。  あくまで,何もわからない状況がスタートで,民事訴訟なら双方の当事者または代理人,刑事訴訟なら検察官と弁護人が提出する主張と証拠を検討し,判決を言い渡す。逆にいえば,

          訴訟とは,○○を○○する作業

          「借金で死ぬ必要は絶対にない」と言い続けなければならないことについて

           先日,ある刑事事件についての判決があった。  被害者らから承諾を得て,または嘱託を受けて,交際相手の女性(内縁の妻)と子ども3人を殺害した男性に対して懲役8年の判決が言い渡された,というものである。  この事件の現場となったのが,私の地元である福島県いわき市にある水石山公園の駐車場である。水石山はいわき市三和町にあるそれほど高くなくて見晴らしの良い山で,私の父親の実家にもほど近いことから小さい頃は時々連れて行ってもらった場所でもある。そうした思い出があるだけに,この事件を知

          「借金で死ぬ必要は絶対にない」と言い続けなければならないことについて

          COVID-19と業務妨害罪と

           なんだかこの手の話が相次ぎますね。  典型的なのは,役場の中とかお店の中で咳払いとかして「俺コロナ」って言っちゃうやつ。思いっきり威力業務妨害罪(または偽計業務妨害罪)に該当してしまうんですけどね…なんでわざわざこんなことするのか理由が知りたいです,マジで。  なお,この業務妨害罪は抽象的危険犯といって,犯罪成立には実際に法益侵害があったことまでは必要としないとされているので,冗談でも絶対にやらないことです。取り返しがつきませんから。  昨日のニュースでぞっとしたのは,

          COVID-19と業務妨害罪と

          有害無益な活動を強要することを教育とは呼ばない

           まずはこちらの記事を読んでいただきたい。  記事の内容を要約すると,いわき市の小中学校で児童や生徒たちが医療従事者支援のために,折り鶴と桜の花びらをかたどったメッセージを送った,というものである。  私はこの記事を読んだ瞬間,「何を考えているのか」と唖然とした。医療従事者支援の方法として有害無益なことを,こともあろうに私の出身の小学校(いわき市立御厩小学校)と中学校(いわき市立内郷第一中学校)が行っていたからなおさらである。  これの何がまずいのか,簡単に書いておきたい。

          有害無益な活動を強要することを教育とは呼ばない

          遺言書保管制度で自筆証書遺言は増えるのか

          1 はじめに  遺言書の一つに,自分で作成する遺言である「自筆証書遺言」というものがあります。少し前には「エンディングノート」といったものが流行りを見せ,自分の財産の分け方について家族に遺言を遺しておきたいという人も少なくないようです。  ですが,これまで自筆証書遺言はあまり普及してきませんでした。その原因としては,書き方が非常に厳格であり一つでも要件を満たさないと遺言が全部無効になってしまう,遺言を書いても保管方法をどうするかで悩む,他人による改ざんのおそれがある,そもそも

          遺言書保管制度で自筆証書遺言は増えるのか

          ご挨拶

           このたびnoteを始めることにしました。  まずは私の略歴を簡単に。  10年ほど前に弁護士になりまして,主に関東圏で勤務しております。  取扱分野は,家事事件(離婚,遺産分割等),損害賠償請求,不貞慰謝料請求,多重債務関係(任意整理,再生,破産),刑事事件,中小企業法務(債権回収,労働問題等),その他諸々といったところです。所謂「街弁」のやることは一通りというわけです。依頼者の皆さんの利益をいかに実現できるか,ということに常に心を砕いております。  私生活では多趣味