COVID-19と業務妨害罪と

 なんだかこの手の話が相次ぎますね。

 典型的なのは,役場の中とかお店の中で咳払いとかして「俺コロナ」って言っちゃうやつ。思いっきり威力業務妨害罪(または偽計業務妨害罪)に該当してしまうんですけどね…なんでわざわざこんなことするのか理由が知りたいです,マジで。
 なお,この業務妨害罪は抽象的危険犯といって,犯罪成立には実際に法益侵害があったことまでは必要としないとされているので,冗談でも絶対にやらないことです。取り返しがつきませんから。

 昨日のニュースでぞっとしたのは,コロナ要請で入院していた患者が病院のカギを壊して一時行方不明になったというもの。
 鍵を壊した点については当然器物損壊罪になるでしょうし,脱走して病院に捜索活動をさせてその業務を妨害したってことで威力業務妨害罪も成立するでしょう。
 にしても理由が「仕事の進み具合が心配で脱出した」って…もはやバイオテロリストと言っても差し支えないでしょう,これは。しかるべき責任は負ってもらいたいものです。

 あとは,Twitterに「私はコロナ」と書いた1時間ほど後,某飲食店で飲酒している様子の写真を添付して「濃厚接触の夜」と書いて,威力業務妨害罪で逮捕されたケース。
 個人的にこれは正直微妙だと思います。双方の書き込みには1時間程度の間が空いているし,「濃厚接触」というワードも単に対面で会ったという意味で使われることも多いですし,双方を一体として「コロナに感染したと思われる人が飲食店で濃厚接触している」と読ませることができるのか疑問が残ります。
 まあ,写真に写っているお店の名前を隠しておかなかったのはさすがに不用意と言わざるを得ませんが…

 繰り返しになりますが,冗談でも絶対にやってはだめですよ,マジで。
 どうか警察官,検察官,裁判官,弁護士に余計な仕事増やさんでやってくださいまし。

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