大阪芸大教授の純丘曜彰の京アニ批判と高畑勲の『平成狸合戦 ぽんぽこ』の試写会で宮崎駿が泣いた理由と『君の名は。』のアンチファンタジー論
高畑勲と宮崎駿のドSとドMの関係というのがあるのですが、大阪芸大教授の純丘曜彰が京アニ批判の文章で言いたかったことは、これなんじゃないかと思った。
「いくらファンが付き、いくら経営が安定するとしても、偽の夢を売って弱者や敗者を精神的に搾取し続け、自分たち自身もまたその夢の中毒に染まるなどというのは、麻薬の売人以下だ。まずは業界全体、作り手たち自身がいいかげん夢から覚め、ガキの学園祭の前日のような粗製濫造、間に合わせの自転車操業と決別し、しっかりと現実にツメを立てて、夢の終わりの大人の物語を示すこそが、同じ悲劇を繰り返さず、すべてを供養することになると思う」(以下、「当該段落」)
大阪芸大教授、純丘曜彰
宮崎駿が『トトロ』を作った時、子供に美しい自然である外で遊んでもらいたくて作品を創ったのですが、実際はファンから毎日、子供が『トトロ』をテレビで観てばかりいて、外で遊ばない現実を知ってショックを受ける宮崎駿というのがある。
そういう矛盾に悩んでいた宮崎駿に、高畑勲が『平成狸合戦 ぽんぽこ』でアンチファンタジー論を展開して、ドMの宮崎駿が映画の試写会で涙を流して喜ぶということがあったんじゃないかというお話です。
結局、ファンタジーというのはアヘンであり、麻薬であり、ありえない世界をありえるようにしてしまう宮崎駿のファンタジーの過剰な力が、現実に弊害を生むのではないか?というアンチファンタジー論を展開されている。
その反省で生まれたのが『もののけ姫』であり『風立ちぬ』だったりするらしい。
ただ、非常に分かりにくい作家である高畑勲のメッセージが分かるのは宮崎駿と岡田斗司夫ぐらいで、僕も『平成狸合戦 ぽんぽこ』にそういうメッセージがあるとは思わなかった。
その後の『もののけ姫』『風立ちぬ』では非常にリアリティのある描写が入れ込まれてるようです。
それで、このアンチファンタジー論を読み解いた岡田斗司夫の作品批評でショックを受けた男がいて、それがポスト宮崎駿と言われる『君の名は。』の新海誠です。
作家性を捨てて、分かりやすさに重点をおいて作品を創ったといわれた『君の名は。』の作品批評は確かに傷つくような内容だったと思う。
新海誠自体は人格否定的な受け取り方というか、『君の名は。』は大ヒットしたしたゆえに、ショックな多くの批判が生まれたのですが、それは新海誠のファンタジー力が凄過ぎるゆえに影として生まれるもので、決して作品自体を否定するものではないんですね。
『君の名は。』はほんと好きだし『天気の子』も良かった。
ただ人間ってそういう話題の作品について熱く語りたくなるもので、作品批判はちょっと話半分ぐらいに捉えて聞き流した方がいいんですよね。
正義を行えば世界の半分を怒らせるという押井守の言葉があったりで、僕も科学、医学の常識を語ってるだけなのに、よく批判されます。インフルエンザワクチンポンコツなのは常識ですし、効果は全くなく害しかないです。はい。
『進撃の巨人』においては、無責任な夢を語った登場人物を地獄に叩き込むという作者の演出を高畑勲の後継者であると言ったりしている。
どういうことかというと、戦国自衛隊とかで夢のような戦いを展開する自衛隊員が弾薬が尽きて、時の修正力で本当の歴史に引き戻されて滅んでいくようなリアリティを作品に入れていくファンタジーのつくり方があります。
夏休みのひと時に冒険して、でも、現実に戻っていくお話のように、過剰なファンタジーの中にリアリティを入れていこうよというお話なんだろうと思う。
つまり、夢のようなファンタジー、僕にとってはBIGOLIVEの世界に溺れているうちに、自民党の改憲勢力が増大して日本が戦争のできる国になっていくという現実世界に立ち返ろうというような話になっていきます。
ファンタジーはアヘンであり、麻薬であるという現実を踏まえつつ、大阪芸大教授の純丘曜彰氏の京アニ批判は本質的には正しい訳ですが、言い方とタイミングが不味かったなということになります。
高畑勲、宮崎駿、岡田斗司夫、純丘曜彰のアンチファンタジー論で、ちょっと目を覚ましてBIGOLIVEを自粛しないと思ってる自分がいます。
小説を全然書けてない現実に気づいたりします。
このアンチファンタジー論は新海誠の『天気の子』にまで影響を与えてるので、岡田斗司夫の動画を観ながらちょっともう少し考えてみたいと思います。
高畑勲は故郷は宇治でやはり、秦氏の末裔なんですが、お父さんが岡山市の学校に校長で赴任して岡山大空襲にあってます。その強烈な体験が「火垂るの墓」を生んだと思われますが、NHK の朝ドラ「なつぞら」でも、頑固で理屈っぽいキャラとして描かれています。
クリエイターは常に3S政策というか、こういう愚民化プログラムに取り込まれないよう気をつけないといけないが、僕のように福島原発事故を描いたファンタジーやコンビ二批判の作品を書いてしまうのはあまり売れないので考え物ですね。やりすぎです。
『コンビニ家族とAIの妖精』の続きは書いてます。
作者の中では盛り上がってます。
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