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100. ムクウェゲ 「女性にとって世界最悪の場所 」で闘う医師 【映画】

ドキュメンタリー映画という触れ込みで観に行ったのですが、これはテレビ番組なのでは……? という構成。
最初から最後までナレーションが入っていて状況を事細かに説明してくれ、インタビューは綿密に編集され、ご丁寧に”教育現場で子供が学び自分に何ができるかを考える様子”も挿入されるという正にドキュメンタリー番組のテンプレートのような映像作品でした。
それもそのはず、エンドロールを見たらTBSテレビが制作したドキュメンタリーだったのでした。

そんなわけでわたしには映画作品とは思えなかったし、編集されすぎていてどこまでが本当でどこからが虚構なのかもいまいち判別できなかったのですが、コンゴで今起きている現象の一端を知ることができたという点ではとても有意義でした。


この作品がフォーカスを当てているのは、コンゴ民主共和国で婦人科医をしているノーベル平和賞受賞者、デニ・ムクウェゲ。
彼の言葉や態度を通して、今コンゴではどんな感な問題が起こっているのかを知ることになります。

鉱山を独占するためにレイプする

って字面だけ見ると全く理解不能です。どういう繋がりがあるのか、話を聞くまではさっぱり想像すらできませんでした。
つまりどういうことなのかと言うと、鉱山がある村の人々を殺す、もしくはほとんど殺すのと同義のようなレイプをすることによって恐怖を植え付け支配しようとするのだそうです。
行為には愛情どころか性欲すら介在しない。赤子でも男でも、さらには何度でも、コンゴの人々は「今襲われるかもしれない」という緊張感とともに生きています。
こんなえげつない方法をとれると言うのは、人間の愚かしさに嫌悪を感じます。(加害者側も家族や自分の身の安全を盾に取られて、やりたくなくてもやるしかない状況を作り出されている、というのが双方にとって救いがないのですが……)

こういった非人道的な行為を経て掘り起こされたレアメタルなどの一部は、スマホやPCにも使われているそうです。
映画では、「だから自分ごととして捉えて、どうしていったら良いのか考えましょう」と繰り返し呼び掛けます。ムクウェゲさんも「もっとコンゴのことを考えてほしい」と言います。

でもコンゴだけじゃなく、レアメタルだけじゃなく、問題は至る所にあるし、このことをずっと考えているのは難しい。結局見終わってからこの映画のことを考えることなんてほとんどありません。
ただ、他の諸々の問題とどこかで繋がり合ったり影響を与え合ったりして、今自分が感じているよりも近いところにコンゴの問題があるのかもしれないとは思います。

ではまた。

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