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朝まで羽田空港

みなさん。朝まで羽田空港に居ることが確定したらどうします?
(これまでのハナシのいきさつはこちら)

確かに、空港は非日常な場所でちょっとワクワクする。

最初は(笑)

残留確定なので時間はたんとある。出発ゲートでは見えなくなるまで手を振ったけど、あっさり前向いて進む娘。親の心子知らずとはこのことね。

さあ、ここから朝まで何しよう。まずは深夜の飛行機を見にいこうと、3Fの展望デッキへ。深夜の空港という非日常の高揚感も相まって、全てがキラキラして見える。

椅子取りゲーム

次は空港内探検。キョロキョロしながら散策していると、ある事に気づく。

①結構人がいる、②殆どがベンチで寝てる。その瞬間、本能的に脳から指令が出る。「座る場所確保せよ!下手すると居場所は地べたになるぞ」と。

空港ってもんは、深夜はしーんと静まり返るものだと思い込んでいた。が、深夜に発着する便もかなりあるということを今回知った。

深夜2時台でも普通に離陸、同時に到着便もあった

なるほど、この深夜でごった返す人たち、全員私みたいに取り残された保護者、なワケがなく、離発着の人らしい。

椅子取りゲームは既に始まっていた。どのベンチも椅子も人人人。ノンキに散策していた私は完全に出遅れ組。こりゃマズい、と頭でギュイーンと考えた結果、あのエリアを目指すことに。

実は私、一時期空港のDFSスタッフに中国語のトレーニングをしており、このターミナルに足繫く通勤していたことがあり。毎回時間まで座って予習をしていたので、静かで集中できる場所は熟知している。

座れるならあそこしかないと、小走りで向かうと、トドみたいに横たわる人らのベンチの中、1席だけ座れそうな箇所を見つけて滑り込む。ふぅ、なんとかうたた寝くらいできる場所は確保。

んで、この状態どうよ?

持つべきものは友というけど、今回に限っては間違いなく充電コードでしょ!始発まで5時間以上、どうすんのこの状況?!

レンタル充電器の自販機は、新規会員登録から始まりやや煩雑な手続きが必要。一瞬トライしたものの画面が遅々として動かず諦める。次に近隣のサウナやショートステイのホテルを探そうにも、さすがにこの電池の残量では最後まで行きつかないのが容易に想像つくため、こちらも断念。

万事休す。今宵は心もとない残りの電池で過ごすことに。

今日だけホームレス

前のベンチの黒い荷物、もぞもぞ動いてビビった。人!

もともと帰宅予定だったのでカバンには財布とスマホのみ。本もねぇ、ペンもねぇ、PCですら何もねぇ、と吉幾三みたいに歌うけど、実際全く笑えない。

まず寝よう。と南国に迎う娘が直前に脱いだコートが入ったカバンを枕にして寝る。

空港で寝るなんて、25歳のインド以来。コルカタ(カルカッタともいう)に深夜に到着したけど、宿も決めてないような旅だったゆえ、朝まで空港で寝た記憶が。

ちなみにその時と違うのは荷物とベンチを南京錠で繋いだのがインド、コートくらい置いててもお手洗いに行ける日本、くらいか。そしてもっと違うのは当時は若かったけど、今は50手前。まさかこの年で空港のベンチで寝る羽目になるとは思わなんだ。

寝れない

「春秋航空、上海便がまもなく到着致します・・」ってこんな時間に到着してどーすんだシュンジュー!とイラっとしながら目が覚める。

夜中の離発着もちょいちょいあるため、うとうとしてはこのアナウンスで目が覚める、また目をつぶってもガラガラとスーツケースを引く音ややガヤガヤと喋る音で起きる。

仕事を終えてバックヤードに戻るスタッフたち

暇で散歩しようにも荷物があるし、勝手に座られてしまいそうなので長く離籍するわけにもゆかず、お手洗い以外は基本ベンチの上。

結局なーんもない中、やれることは考え事だけ。「もし」充電器があったら、「もし」あの本もってきたら、という後悔に似た「If」をあれこれ考えたりするが、一周回ってナイは同じ。

眠れないわ暇だわ空港という空間だわで、もはやナチュラルハイ状態。ひとり熱く「自分の強みと弱みを洗い出そう!」なんて急に思い立ち、一人ブツブツいいながらも「実は自分の弱みこそ強み!」なんていう至極アタリマエなことに気づき、「いや実はそれが一番できないワケで~弱みは蓋しちゃうワケで~!」と、ひとりツッコミをする、完全にアブナイ刑事ならぬ、母。

結局寝れたのは最初に横になって1時間、あと夜明け前の1時間。ほぼフラッフラになりながら始発の電車に乗り込み、朝日を拝みながら帰宅。

五十路近いほぼ徹(ほぼ徹夜)、しかもNO準備は、ただただ暇で、ただただ疲れた。

一方娘っこのほうは飛行機に5時間乗ってマニラで乗り換え、また2時間乗ってダバオ到着というハードさ。それを思えば、日本の空港で暇だとボヤキながらゴロンとしている私なんて、楽なもんかもしれない。

娘の大冒険、フィリピン留学は、母の大冒険というスパイスも加わり、たいそう美味しいものとなりました。

ちなみに帰宅してスマホで検索したら、空港目の前のビル上に露天風呂付の素敵な温泉施設があることが判明!わ!そこ行きたかった!もう一度空港残留を!と思った私はドMか冒険家か、果たしてどっちだろうか。

3月24日 サカシタカオリ

追記:




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