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「ひとつのことをする日本人」~Podcast「働くことの人類学」を聴いて~

文化人類学の目線から働くことを捉えなおすポッドキャスト番組「働くことの人類学」で、文化人類学者の丸山淳子氏が興味深い話をしていた。

アフリカ南部のカラハリ砂漠で生活する狩猟採集民「ブッシュマン」について。
今まで狩猟採集のみで生計を立てていた彼らだが、近年の国の成長事業の斡旋で、いわゆる賃金労働をする者も増えてきているらしい。
会社で働くことで定期的に安定した収入を手に入れることができるようになった。
しかし、それで狩猟採集を全くしなくなったと思うと決してそうではない。
会社で働いた翌日には、また槍を持って森の中へ消えていく。
それどころか、彼らは会社勤めの役人を「ひとつのことをする奴ら」と揶揄しているそうだ。

日本では、ひとつの仕事を定年まで勤めあげることが美徳とされる考え方がまだまだ根付いている。
たしかに副業や兼業については最近になって奨励されてきている(私が働く会社は未だに副業禁止である!)
しかし、キャリア自体の途中変更、転職はまだまだ難しい状況だ。
高齢になるにつれて選択肢は狭まり、私たちをひとつの場所に縛っていく。
ましてやブッシュマンのように日替わりで仕事を変えることなんて、日本では非現実的な話だ。

ブッシュマンから見ると「ひとつのことをする日本人」がとても奇妙で滑稽にみえるだろう。
誰かが築いた「労働の枠組み」の中で当たり前に働き、それに囚われていることにすら気づいていない私たち。
まずは世界に目を向けて、世界と日本の働き方のズレに気づくことが何よりも重要だ。


※「働くことの人類学」の他にも、おススメのポッドキャストを下記の記事で紹介しています、こちらもよろしくお願いします。


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