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トム・ハンクス×犬×ロボットなんて最高に決まってる。「フィンチ」感想

最近のサブスクブームの厄介なところは、各々のサービスで魅力的なオリジナル作品があり、加入しないと観られないところだ。アマプラにあってネトフリにない、ネトフリにあってディズニープラスにない. . .どのサブスクをとるかは本当に悩みどころだ。

そんな中、AppleTVに私が敬愛するトム・ハンクスが主演のオリジナル作品が2作もあることを知った。これはお金を惜しんでいるヒマはない!
(じ、実際は7日間の無料期間を有効活用したんだけど...)
ということで今回はトム・ハンクス×犬×ロボット"もう観なくてもオモロイのわかるやん"が詰まった奇跡のロードムービー「フィンチ」を観た。

とりあえず、ざっとしたあらすじを。

太陽フレアの影響でオゾン層が破壊され、全世界のほとんどが砂漠化。食糧不足による人間同士の略奪が起こる中、主人公で科学者のフィンチは1匹の犬とシェルターで隠れながら過ごし、荒廃した街で物を漁りながらひっそり生きていた。もう自分の命が長くないと悟っていたフィンチはある目的のためにロボットを作り、オンボロの車で西を目指す旅へ出る。

トム・ハンクスの一人芝居が冴える

まず特筆すべきは本作の登場人物はほぼトム・ハンクスだけ。だからこそ彼の円熟極まった演技を存分に堪能できる。
しかも吹替え版はおなじみの江原正士氏。この声の安心感が半端ない。
(私の中でトム・ハンクス=江原正士が自分の中で定着してしまっていて、違う方が吹替えを担当していた「ハドソン川の奇跡」は違和感しかなかった。あれはあれで素晴らしい映画だけど)
ともかくトム・ハンクスの一人芝居。もうこれだけで100億点なのだ。

かわいいわんこ。けなげなロボット。

それに加えて、ご主人に忠実なワンちゃんがとてもキュート。名前が「グッドイヤー」というのも良い。最初はフィンチにだけ心を許していて、顔をペロペロするシーンなんてもう尊いレベル。

さらに主人公が作ったぎこちないロボット「ジェフ」も魅力満載。
最初は機械的に動いていたジェフが、段々と人間の愛に触発されて自我が芽生えていき、まるで人間のような振る舞いをしていく。
これはもう映画やアニメではお決まりの筋書きだが、何回見てもウルっと来るやつ。

信じることの難しさ

さて、本作で繰り返し語られるキーワードは「信じること」だ。
砂漠化のため食糧不足となった世界で、人間は残虐な略奪行為を繰り返す。
もちろんフィンチ自身も人間を信用していないし、自身が作ったジェフに対してもイライラしている。そして愛犬グッドイヤーもジェフを威嚇してまるで心を許していない。お互いに最初はギスギスしているのだ。
しかし、一緒に車旅を重ねていくにつれて互いの心の壁が崩れていく。
人間と犬とロボット。身なりから考え方からすべてが違う3つの信頼関係がさりげなく変化していくストーリーが本当に美しい。
また変化がとても自然で、全くくどくないのが良い。

不思議な魅力に満ちた映画

この映画、「危機的状況の中でのサバイバル」というテーマから連想されるほど大きな見せ場やドキドキのアクションシーンはあまりない。
なのに不思議と最後まで飽きずに見れてしまう。
「大した見せ場のない映画」としては同じくトム・ハンクス主演の「王様のためのホログラム」が愛おしいほど好きな私だが、フィンチも同じ感覚を覚えた。
科学的にもストーリー的にもツッコミどころはたくさんあるし、結末も賛否が分かれそうだ。
この映画が世間的に評価されているかわからないし、合う合わないはあるけれど、私は見て良かったし、心に残り続ける映画だ。

最後に、執筆中に感じたどうでもいいこと。
文中は「トム」でいいはずなのに、どうしても「トム・ハンクス」って書きたくなる。そして「トム・ハンクス」ってフルネームで声に出して言いたくなる。
「ケンタ」ではなく「ケンタッキー」。「ミスド」ではなく「ミスタードーナツ」。これは関西人気質だから??
ともかく声に出して言いたい「トム・ハンクス」。やっぱり魅力的!


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