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心の赴くままに。

贅沢な時間だった。好きなものに、好きなだけどっぷりとはまれる時間はこれほど心地よかったのか、と思うような。久しくそんな時間はとっていなかったように感じる。

月曜日の今日を夏休みにして、3連休。前の週も、その前の週も、はたまた来週も月曜を休めるようにしてある。長くまとめて夏休みをとることもできたけれど、外に出るに出られない状況ではかえってまとまった休みは疲れてしまうから、と細かく休みをとった。加えて、先週までは酷い暑さで、エアコンを消すことなどできなかったし、一歩も外に出ることはできなかった。

ようやく、エアコンを止めてみたのが一昨日の夜のこと。25度で風があるだけでこんなに涼しいものか、と夕飯の買い物に出て驚いたほどだ。その勢いで、久方ぶりに夜の街を散歩してみれば、虫たちの声はセミのやかましい鳴き声というよりは、蟋蟀や鈴虫の優しい音色に変わっていて、秋が一歩一歩近づいてくるのを感じる。

日中は今日なんかもまだまだエアコンを入れなければつらいけれど、朝夕はずいぶんと爽やかな風が吹くようになった。でも、こんなことを思っているとすぐに寒い寒い、と言い出すようになって、今年の暑さなんか忘れて、来年の夏もまたひどい暑さだ、なんて思うんだろうなあ。

だけど、そんな朝に夕に、少し窓を開けて、季節を感じるだけで、引きこもりとエアコンの風で干からびてしまった心身が少し瑞々しさを取り戻したように感じるから不思議だ。やっぱり人間も自然の一部で、生き物だからだと思う。

心が張りを取り戻すと、何かしたくなるのは私だけだろうか。

昨日から足掛け2日。せっかくの夏休みだし、大好きな村山由佳さんの本を読み返していた。3冊の『天使』シリーズは私のそれはそれは大好きな小説で。高校生なら寝食も忘れてむさぼるように1日で読むこともできただろうけれど、無茶ができなくなった今日この頃、休み休み3冊をゆっくり読んだ。

物語はプラスの感情にもマイナスの感情にもあふれていて、それが容赦なく私の心を掴む。何度も読んでるのに、先の展開がわかっているのに、惹かれずにはいられない。2日かけて読み終えた時には、なんだかウットリというか、スッキリというか、心の中が満たされるようなそんな気分だった。

癒された、と言い換えてもいいのかもしれない。好きなものに囲まれて思うままにその世界で羽を伸ばすことは昔から私の好むところで、ここ最近はそういう時間をとれていなかった気がする。

思えば、本当に意味で『自分のために』使う時間があまりにもなかったように思う。本当の意味で、というのはその時の自分がしたい、やりたい、思う気持ちのままに過ごすということで、最近は自分のためといいながらやりたくないことまでやっていた気がする。

自粛や、ひどい暑さのストレスの陰に隠れて、きっとイヤイヤやっていたことさえ分からなくなっていたのかもしれないな。仕事の間はもちろん、嫌なこともこなさなければならないこともあるけれど、せめて休みの間は自分でいいんじゃないかな。

誰になんと言われようと、好きなことを好きなだけやって、過ごすことができたらそれだけで幸せなはずだから。

心の赴くままに。まずは前からほしかったホットサンドメーカーを買ってみようかな。


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