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株式会社Jリーグへの提言

VARが導入されても相変わらず誤審が発生している。
開幕戦の広島vs札幌戦で広島のシュートがゴールラインを割っていたが、VAR判定で確信が持てず主審の判定を支持してゴールが認められなかった。が、後日誤審であったことを発表するという流れ。

誤審を素直に認める姿勢は必要なことだが、こういうのを見るたびにゴールラインテクノロジー(以下GLT)の必要性を感じてしまう。ゴールというのはサッカーにおいて決定的な要素でゴールの判定を間違うというのは非常に強いフラストレーションを感じる。もちろんVAR判定も人の判断で運用されているので誤審があるのは理解できる。しかし人の判断によるVARでは結局決定的なゴール判定は難しく、現状ではGLTの運用の方が現場の選手をはじめとした関係者やサッカーファンから信頼に足ると認知されているように感じる。であるならば、テクノロジーとコストを投入すれば完全に解決できる問題を放置している、もしくは解決する意思がないように感じる現状のJリーグに全く納得がいかない。

GLTについては常にコストの問題があり、今回の誤審問題についても野々村チェアマンが「ざっくり機材費等で10億円ほど掛かり、且つ現時点でJ1のすべてのスタジアムがGLTの導入要件を満たしていないので現実問題として導入は難しい」という発言をされている。言っている理屈は分かるのだが、個人的に「正直本当にそうなのか?」という疑問を感じてしまう。

何に疑問を感じるのかというと最終的に結局コストの問題になることだ。
GLTはいくつかの運用方式が採択されているが、どの方式でも導入に1500~2000万円程度のコストが必要になる。現在GLTが導入されているのはPL、ブンデス、セリエAで、その他の殆どのサッカーリーグは、採算が合わないためGLT導入を見送りVAR判定の運用でお茶を濁している。もちろんVAR自体が未導入のリーグもあるのだからVAR導入済みのJリーグはまだましな方なのだけれども。

で、ここで問題になるコストについていつも思うのだが、ゴールラインを割ったかどうかを判定するだけの機械に何故それほどのコストが掛かるのか?ということだ。
私はこういった類のテクノロジーに対する専門家でも何でもない只のサッカー好きなので詳しいことは良く分からないが、素人考えで恐縮だが「そんなに掛かる訳なくない?」と思ってしまうのだ。

GLTが本格的に運用を始めたのが2011年頃からだが、正直この10年でAI技術はかなり進歩していると思う。サッカーの現場でもテクノロジーの導入が随時行われているがGLTに関しては正直導入され始めた頃からのアップデートが行われているようには感じない。もちろんシンプルな機能なのでアップデートしようがないという側面もあるとは思うが。
GLTの現状は、高価すぎて誰も購入することが出来ないせいでアップグレードした新しい型式が開発されず、売れた商品のメンテナンスだけで成り立っている非効率で生産性の低いビジネスモデルに思える。
だから逆に言うと「これって目茶苦茶ビジネスチャンスなんじゃないの?」と思うのだ。
株式会社Jリーグが、もっと安価に実装できる新しいGLT方式を開発出来さえすれば、世界中のサッカーリーグに売り撒くって世界シェアを独占して、ぼろ儲け出来るんじゃないのだろうか。

現在のGLTはゴールライン上を視覚的に捉えて判定する方式か、サッカーボールにセンサーを内蔵する方式が主流だが、それではコストが掛かってしまうのは何となく理解できる。しかし実際問題としてゴール判定における精度さえ確保できれば、GLTがどのようなシステムで構築されているのかはサッカーファンにとってどうでもいい問題だ。

改めて素人考えで恐縮だが、例えば車が障害物に近づいたときにアラームで警鐘を鳴らす距離センサー(ソナー)の技術は応用できないのだろうか。ゴールラインの内側と、そのラインからボール1個分内側の位置をそれぞれ面で検知できる機械を開発できれば十分に機能するように思う。この方法であれば既存の技術の応用なのでそれほどコストも掛からずに商品化が実現できるのではないだろうか。

例えば下の図のような。

素人が考えたGLT新方式

株式会社Jリーグが主導する形で、東京大学、筑波大学や距離センサーを開発しているベンチャー企業などと協働して、国や省庁などの産官学連携の補助金を使ってGLTの商品開発ができるのではないか。
「GLTは高額で導入できない」ではなく、Jリーグが率先して現在流通しているGLTと同精度であることが実証されて、且つ現状の10分の1程度の金額で販売できる商品を開発できれば世界中で爆発的に売れると思うのだが。

現状のGLTが高額なのはFIFA公認であることも一つの理由であると思う(だってどう考えても何らかのキックバックがあるようにしか思えない)。が、果たしてFIFA公認がそんなに必要なのか?と思う。
サッカーの現場が求めているのはGLTが正規品であるかどうかではない。求めているのは高精度で誤審が生まれる余地がない納得感があるゴール判定ができるGLTなのだ。ハイエンドのテクノロジー技術は、ガラパゴス化と揶揄されようが日本の御家芸ではないのか。日本のJリーグが何故他国の企業が開発した高額GLTの導入ばかりを口にするのだ。

【FIFA非公認 格安GLT(株式会社Jリーグ保証付き)】を開発して、世界中で販売してFIFAや高額GLTを製造している企業の鼻を明かしてやればいいじゃないか。

サッカーの現場にテクノロジーが導入され始めている過渡期の現在は、ハイテクノロジー技術を応用した製品を製造できる日本にとって結構なビジネスチャンスだと思う。
だってサッカーって世界中で人気があるスポーツなんだぜ!
ニッチでも良い商品なら間違いなく世界中で売れちゃうんだから!

半自動オフサイド判定など、株式会社Jリーグが率先して新しくて安価でハイテクノロジーなサッカー製品を開発できるようになれば、これまで全く存在していなかった新たな財源を日本サッカー界の中に生み出すことになる。そこで得た収益を、Jリーグを始めとした現場に還元すれば、日本サッカーが更に強くなるために役立つのではないのか。

Jリーグ誕生から30年しか経っておらず、ピッチ内外でまだまだ欧州サッカーから学ぶことは多いと思う。しかし後発者だからこそ積極的にチャレンジして新しい地平を獲得することが出来ることもあるんじゃないのだろうか。Jリーグ発足当時に実装したVゴール方式は最終的にワールドカップでも採用された。現在は廃れてしまったがJリーグのチャレンジは世界のサッカー界を変化させるだけの力はあると思う。

受け身の姿勢で欧州サッカーのやり方を上からなぞるだけではなく、日本サッカー独自のビジネスモデルを確立して世界に挑戦して欲しい。

と思ったので提言させていただきました。

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