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【暴論2】ハンコは本当に不要か?感情でものを言っていないか?

最近企業もリモートワークが進んでいるが、そんななかでハンコを押すために出勤する人がいると言われる。ハンコ出勤に不満を言う人は、ハンコなど現代のIT社会に不要な産物だと考えているようだ。現実問題としてハンコ大臣(誰も言ってない?)こと竹中直一IT担当大臣がハンコ議連の代表であることも、いかに日本がハンコを重視(偏重?)しているかが窺い知れる。

しかし果たして本当にハンコは不要なのだろうか?ハンコに固執するおっさんと同じように、ハンコに批判的な若者もまた、老害に怒るあまり、本質的な意味を考えずに感情的に判断をしていないだろうか?そこでハンコの意味と価値を真面目に検証してみたい。

ちなみに私は以前伝統的な日本の製造業に勤めていたので、ハンコはばりばり押していた。しかしその会社は古い体質の割にはサインとか電子決済もけっこう認められていた。

1.ハンコの役割

ハンコと一口に言っても種類と役割はいくつかある。会社や組織におけるハンコの役割は、押印した者が書類を承認したことと、書類が正式であることを証明することだろう。ハンコを押した以上は、その書類に対して責任を取らなければならない。

しかし現実には事務のおばち、いやいやお姉様が課長のハンコを持ち出しているような例は結構ある。それでは課長が責任を持つとは言えないのではないだろうか?それ以前にそのような書類はそもそも課長印自体が不要ではないだろうか。これこそ無駄なハンコの典型だと言える。

またハンコが押されている書類は、それが原本であることを証明している。原本という概念は公的書類において重要で、契約や仕事がなされた証拠となり、容易に偽造や改竄がなされないように保護しなければならない。

2.サインとの比較

ハンコと役割が似ていてよく比較されるのがサインである。しばしばサインの方が優れていてハンコは時代遅れ的な言われ方をするが、私個人の意見としては、サインも大して優れていない、というより証明手段として大して役に立たないとすら言える。

なにしろサインなんて偽造するのが楽である。パソコンや3Dプリンタすらいらない。参考となるサインと、あればトレッシングペーパーがあれば簡単に真似できる。そもそもサイン自体本人が書いても毎回違う字体のことはけっこう多い。それ以前に字が汚いと誰が書いたかわからないものも多い。

サインが優れているなどというのは、結局は欧米への劣等感が作り出した幻想である。

3.偽造対策

ハンコが不要な理由として、ハンコなんてどこでも買える、3Dプリンタで作ることができると言われる。しかしそれを実際にやる人はいるだろうか?特に3Dプリンタでやる人間は相当経済的に価値がなければそんなことはしない。もし課長印を偽造している人がいたら、いずれバレるので早めに止めることをお勧めする。

公的文書や契約書に使われるような、代表者印や社印を偽造したら余裕で犯罪である。これは公的文書でなく私文書でも、罪の重さは違っても有罪であることに違いはない。この場合ハンコの有無よりも原本の取り扱いについて考えた方が賢明である。

関係ないが、シャチハタが認印として認められないのは謎である。形が既製品ってのが言い分ではあるが、三文印は全部オリジナルなんだろうか?

4.電子決済の要点

以上検証したことから考えると、電子決済システムとして必要な要件は次のようなことがあげられる。

・アクセス権限が階層に分かれていること(作成者、確認者、承認者、閲覧可能、編集可能など)

・いつ誰が決済したことが明確にわかること

・変更の権限と履歴が明らかにされていること。またそれが偽造や改竄できないこと

・原本は変更不可で、できれば紙で保管した方がいい(紙を馬鹿にしてはいけない。これはマジ)

今のIT技術を使えば難しいことではないが、特にセキリティは永遠に更新し続けなければならない。少なくともこれくらいのことは考えて、脱ハンコを主張していただきたい。

5.自動ハンコロボット

ちなみに写真は2019年の国際ロボット展に出展された自動ハンコロボットである。このロボットが見たときの衝撃は忘れられない。書面にハンコを押したとき、微妙にハンコをグリグリと上下左右に動かしているところを見たとき、私は技術者の狂気を感じた。


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