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【マンガ感想文6】現代日本社会を風刺した鬼灯の冷徹

鬼灯の冷徹が31巻、全271話で完結した。好きだったので残念である。江口夏実先生お疲れ様です。次回作を期待しております。

この漫画の主人公は、泣く子も黙る閻魔大王も恐れる、閻魔庁第一補佐官の鬼灯である。上司である閻魔大王だろうが、EUの大魔王サタンであろうが恐れず自分の主張を通し、もちろん亡者や部下にも厳しい、仕事の鬼である。その反面部下の意見にも耳を貸し、いいと思ったら躊躇わず採用する、ある意味で理想の上司かも知れない。

話は一話完結方式で地獄の日常が描かれている。日本の地獄はいわば日常の延長なので、それでいて地獄には古今東西の日本の偉人や妖怪もいたりしてカオスな環境である。それでも日常なので、現代日本を風刺している感がある。鬼灯自身もワーカホリックで徹夜連続とか普通にやっている。その風刺の仕方がなんともじわじわくる。

この日本社会への風刺や皮肉はなんとも日本的で、こんなマニアックなギャグは日本人にしか通用しないと思っていた。しかし意外なことに海外でも人気があるらしく、中東に詳しい友人によると中東の人にも人気らしい。このわかりにくすぎる日本語を翻訳する翻訳者にはやや同情する。

それにしても地獄というものは100%人間の想像の産物であるにもかかわらず、非常に緻密に設計されている。誰も見て帰ったものはいないのに、なんでこんな詳細なものができるのか、ある意味不思議である。何せ地獄は271もあり、それに応じて刑罰や罪も決められているのである。人間の想像力は無限だなと思う。




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