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【マンガ感想文12】登場人物、全員悪人な「銀と金」

賭博黙示録カイジやアカギなどで有名な、福本伸行氏の傑作マンガである「銀と金」を紹介する。なぜか私の周りの麻雀打ちの9割は愛読者である。

単なるギャンブル狂であった森田鉄雄は平井銀二に出会ったことで、悪に魅了されその道に進んでいく。平井銀二は金儲けが上手く、頭が切れ、勘が鋭く、ケンカも強いという超人であった。森田は銀二に触発され、才能を開花させていく。森田もまた勘が鋭く強運な男であった。

銀二は裏社会で荒稼ぎをする男ではあるが独自の哲学を持っていた。彼の言葉の前では表面的な常識などすぐに剥がれてしまう。悪の道は一歩踏み外せば地獄に落ちる世界である。だからこそ必死なのである。銀次の言葉から金、正義、悪、命などさまざまな側面で別視点から考えさせられる。

金とは実弾

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銀二と森田の勝負は負ければ復帰不可な世界である。億単位の自分の資金をオールインし続ける。それは銀二たちがより大きな力を得るための手段である。彼らにとっての金は力である。持てば持つほどより大きな敵と戦うための賭け金になる。逆に言えばそれだけに過ぎない。

コマで死ぬより人で死ね

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組織は個人の存在を曖昧にする。ときにコマのように扱われ、簡単に捨てられてしまう。しかし人間はコマではない、死ぬくらいなら徹底的に反抗するべきである。それによって初めて自分が人間であることを証明できる。

金は抱いて眠れ

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大金を持つと人間は変わる。逆に言えば大物になりたければ大金を持たなければならない。より直接的な影響を受けたければ通帳の額を見てニヤけるよりも、札束の布団で寝るほうがいい。

とどのつまり人はみな悪

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悪と善とは何か?一見善人であっても状況次第で人は簡単に悪になりうる。逆に悪人であっても善の側面がある。銀二自身が悪人であるが、ときに人間を生かすような行動をしている。一面の言動だけで善悪を判断するのは早計である。

日本は同調圧力が強いと言われる。だからみんなと同じ行動を取らないと後ろ指を刺されることがある。しかしみんな同じでいいだろうか?常識という道から一歩踏み出すために読んでみてはいかがだろうか。


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