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[ライブレポ] トーキョーイズマイン

ハンブレッダーズのライブにはじめて行ってきました(@20210921 Zepp Tokyo )。

実は、このバンド:ハンブレッダーズのことは正直見つけてちょうど1ヶ月経ったくらいだ。
見つけたきっかけは前にnoteでも少しだけ触れたのだけど、フジロックきっかけでKOTORIをサブスクで聴いていたときにたまたま流れで聴くことになったから。
― おすすめで勝手に流れてきたのが先だったか、おすすめアーティストに表示されて自分で再生ボタンを押すのが先だったか ―  忘れたけどとにかくそこで「ユースレスマシン」という曲が流れてきて、そこでガンと一斗缶を頭に打たれたかのような衝撃を受けた。


一斗缶を頭に打つなんて確実に痛いし本当にあったらまずいレベルの衝撃なんだけど、ストレートなサウンドのなかで 悩みながらも一本柱のような芯を持った歌詞たちは、初めて聴いた時に自分の全身に体当たりしてきたような感じで、その衝撃は正しく一斗缶のレベルそのもの。なんなら、その一斗缶の缶を開けて、その言葉と音とのシャワーを一気に浴びてしまってるくらいだった。
他の曲も迷わず聴き始めた。気づけば毎日図書館などに出かけるときの行き帰りに必ずこのバンドの曲を聴くようになり、そして現在に至る。

今回のワンマンライブのタイトルは、新曲「ワールドイズマイン」の名前にちなんで付けられた「トーキョーイズマイン」。大阪発のバンドだけど、メンバー全員が上京したということで、その記念の意味でのライブでもあった。

ハンブレを知ってライブがあるのを知ったのが遅く、チケットは一般で取ったので、2階席だった。発券したらちょうどステージの真ん中に立つムツムロ(Vo, G.)さんと対角線の位置だったのですごく良かったのだけれど、2、3年前くらいに他のアーティストのライブで立っていいか迷いながらライブを2階席で観た経験のあるわたしは(そのライブは2階で立つ人がほぼいないタイプだった)、ハンブレのライブがどんな感じかちょっとだけ怖かった。

わたしは、ライブはできればアーティストと一緒に動いて楽しみたいタイプだ。電車の中や歩いているときや部屋で座ってる時にイヤホンから流れる音楽もいいけど、アーティストの演奏姿を見ながら一緒にステップを踏んだり腕を振り上げたりするのは、ライブの醍醐味である。本当は歌ったりもしたくなっちゃうけど、今のご時世なので心の中で我慢だ。

そんなわけで、できたら立って見たいな... なんて思ってたけれど、周りに合わせないと場合によっては後ろに座っている人が見えないなんてことになってしまう。周りを見つつうまい具合に空気を読まないといけないかな、なんて思ってた。用心ものの私は、このバンドがどんなライブをするのか、当日のライブはどんな感じなのか、ライブ開始直前までずっと気になっていた。

前日にはツイッターで「ハンブレ 2階」とかで検索をかけて 参戦歴のある人のツイート情報から不安を払拭しようとしたけれど、いくら調べてもワンマン2階参戦のツイートが見つからなかった。余計に不安が募る。


けれど、ライブ開始時間になると、そんな不安はご無用でした。
開演してメンバーがステージに登場してきて、一曲目の「DAY DREAM BEAT」の演奏が始まる頃までには、関係者ぽい方々を除いた2階席のほぼ全ての人が立っていた、と思う。
全席ソールドアウトされた場内では、その場にいたみんなが思い思いに体を揺らして、拳を突き上げて、腕を振って、ジャンプしていた。
もちろんわたしを含めて。
最高に楽しかった。


ハンブレッダーズは、「ネバーエンディング思春期」という所謂二つ名を持っている。この前見たムツムロさんのインタビューか何かでは、17歳の頃の自分が聴いてどう思うか、をベースにして歌詞を書いているそうだった。
この「DAY DREAM BEAT」も、ひとりの学生に光を当てた一曲だ。

”ひとり登下校中 ヘッドフォンの中は宇宙
唇だけで歌う 
自分の歌だとハッキリ分かったんだ“

上に挙げたサビの歌詞にもある通り、ハンブレの曲はとくに「ひとり」でいる学生や「弱者」に向けた曲が多い。文字通り「弱者のための騒音を」なんて曲があるくらいだ。

「一歩踏み出せない人たちでも、イヤホンやヘッドホンで音楽に浸ってる間は無敵になれる」ということを伝えてくれるこの曲は、この夏に感染拡大もあって遠出できないなかで見つけたこのバンドの曲をイヤホンでひとりずっと聞いてきた、今の自分ともどこか共鳴する部分があった。
腕を振り上げながら、今この瞬間にこの音楽をライブハウスで生で聴いていると思うと、間奏のギターソロのところとそのあとのサビ前あたりで鳥肌が立って涙腺が緩くなった。


「DAY DREAM BEAT」が終わると、さらっと次の曲「見開きページ」へ。
音源だとシンガロングみたいになってて一緒に歌い叫ぶフレーズがあるんだけど、叫びたーいと心底で思いながら体をガンガンに揺らした。いつか、マスク無しでできるといいな。

ライブが始まって気づいたこととして、ハンブレのライブにMCはほとんどと言っていいくらい無いというのがある。次の曲へのフリになる軽い言葉くらい。「曲で勝負してる」っていうのがどこまでも感じられる。


それから、イヤホンで聴いていた音楽がライブだとこんなにも映えるんだ、と全曲で思った。一緒に歌える部分が多くて、ライブアンセムになるような曲が多すぎる。ほんとにライブ映えがすごいバンドだと思う。

上手下手を駆け回ったり, 足を上げてステップ踏んだり, 寝転がったりしながら演奏するベースのでらしと、自分サポートなの知ってる?てくらいド派手なエレキギターを余すことなく披露してるサポートギターのうきくんとのステージ上の掛け合い、SNSの写真とか動画で事前に見てた以上に多くてめちゃくちゃびっくりした。でらしのその運動量はどこから…(ほんとに27歳なの...??)。あと曲間のMCの時に自分の話出るとすぐにマイク持とうとしてくれるキジマさん、きっと絶対いい人。

視覚的にもここまで引き寄せられるのに、「常識の範疇」をムツムロさんがラップ調で歌ってたり(これ特にあがった)、ライブだからこその部分があってすごく新鮮だった。
迷いながらも突き進んだり時には止まったりもする葛藤がある歌詞と、それをまるごと包み込むようなバンドサウンド、それからそのメロディに乗ったムツムロさんの歌声が、熱気に包まれた会場の雰囲気とともに重なりあっていく。Zeppの音響の良さもあるのかな、2階だからといって小さすぎることなくそれでもうるさすぎず、ちょうどよく盛り上がれる音が聴けて個人的には最高だった。

ライブ終盤、自分がハンブレと出会ったきっかけとも言える「ユースレスマシン」が演奏される。

どこか懐かしいギターメロと、バックのベースがめちゃくちゃ歌詞と合ってて耳から離れない。この曲もライブ映えがすごくて、サポートギターうきくんのソロパートとか、シンガロングを想定したパートとか、盛り上がりポイントがとにかく多い。
終盤になってもぶちあがってしまうものだから、ライブの始まりからずっと身体を振り続けていたら、ライブ終わりで照明が明るくなるまで 全身汗だくになっている自分に気づかなかった。


その日は新アルバムのリリース情報もライブ内で発表されて、そこに入る新曲も3曲披露された。アンコール入れて全20曲くらいの曲数だった。ボリュームがすごい。
ひとライブ中の曲の密度を例えるならば、デパ地下のパン屋でたまにやってる詰め放題販売でぎゅうぎゅうに詰められたビニール袋のなかのパンたちといい勝負だと思う。(いや、ここにきて曲とパン比べるの何(なに?))


アンコール、「ライブハウスで会おうぜ」「銀河高速」だったの激アツだったな。
フジファブリックの「電光石火」とか、玉置浩二の「田園」とか、がんばれを言わない応援ソングが好きな自分にとって、ハンブレッダーズの中でも一番好きになった曲が「銀河高速」
ハマってからの約1か月間、短い間ながらも一番リピートして毎日聴いていたのがこの曲で、ワンマンではどこでやるのかな...と思ってたら、まさかのライブ本編では出てこず、そんなことある?!とちょっとした戸惑いとドキドキに変わった。
メンバーが舞台外にはけてから精一杯のアンコール手拍子をし続けて、(銀河高速聴かないと帰れない...)と心の中で唱える。結果的にアンコールの2曲目という最後の最後で演奏してくれて本当によかったし、全私の心が躍った。

ベタだけど、この曲のサビの

“続けてみることにしたよ 走る銀河高速”

 というフレーズとメロディが好きだ。
メンバーの脱退や社会人,バイトとの両立など、悩みながらもバンドをやること、続けることを選択した3人の思いを感じながら聴いていると、自分自身のやらなきゃ前に進まない目の前のことまでも想起させられて、元気が出る。このライブでも「続けてみたからここまでこれた」みたいなこと曲前の振りで言ってた気がするな…。

それから、Aメロやアウトロに出てくるシンガロングの韻を踏んだ歌詞のところがめちゃくちゃすき。
「責任もやりがいも正直ないけどやってるコンビニバイト定員が、お弁当箱に廃棄寸前の夢のかけらを詰め込んでる」なんて、かっこよすぎる。
「COLORS」のMVにも登場してたけど、これってムツムロさんの実体験に基づいてるんだよなあ。さわやかな疾走感で応援してくれるこの曲、やっぱり大好きです。この銀河高速もシンガロング系なので盛り上がり方は思い思いって感じで楽しかった。


会場に向かうときは、初めて行ったZepp Tokyoも今年いっぱいで閉館ということで、ここ来るの最初で最後になるかもな、なんて思っていた。でも、ハンブレッダーズにとってはこのワンマンライブが東京進出の決意であり、彼らなりのこれから東京でも地に足付けてやっていくという主張のようなものなわけで。
そんなことを考えていると、ワンマンの会場に選ばれたこの地が彼らの新たな布石のような感じがして、なんか勝手にぐっときている。


ライブ終了後に出た、2ndアルバムの情報にムツムロさんが「BGMにできるもんならやってみてください」みたいなメッセージを載せていて、すごく「らしいなあ」と思った。
今回のライブで初披露された「BGMになるなよ」はまさにこの言葉を歌に込めたような曲で、次はこのフレーズが曲振りによく使われるのかな、なんて思ったり。気付いたらめちゃ乗っちゃってたので歌詞は おぼろげにしか覚えてないけど。

ライブが終わって2日、今もセトリ順のプレイリストでこのバンドの音楽を聴いている。個人的にこれからも追っていきたいバンドになりました。
2ndアルバムをひっさげた全国ワンマンツアー、楽しみに待ってます。

"頭良くない僕たちは いつも考え込んじゃって
走り出す前に少し時間がかかるけど
いつでも主人公は 遅れて登場すんだ
お待たせしましたド派手なエレキギター" 

- ワールドイズマイン



<今日のつぶやき>

ライブ中、隣にいたひとがめちゃくちゃ全身で激しくリズムとって盛り上がっていて、そのおかげもあってか終始すごく乗れたんだけど、終わったらサラッとひとりで帰ってしまった。
自分もその時は自分から声を掛けるほどの勇気と社会性がなく、その彼の背中は追えずに自分もそのまま帰った。
少しだけでもお話してみたかったかもなあと帰りの電車で一人で考えているうちに、なんだか寂しくなった。ライブ後の熱気に任せて話しかけてみてもよかったのけど。
こういうどこかやるせない思い出も、なんかハンブレッダーズのライブでならいい思い出にできる気がしますね。

これからもサイコーな音楽を聴いてnoteにします!よろしくお願いしますᕦ(ò_óˇ)ᕤ