【日記】漫画制作裏話(イヤイヤ修正しないために大事なこと編)
こんにちは、ともるです。
前回に引き続き、
漫画制作の裏話を書いていきたいと思います!
担当編集さんがついて、
初めて人と一緒に作品をつくるという経験をして、
気づいたことや発見したことはたくさんありました。
今回は、
内容面で指摘されたり修正案をもらったこと、それをどう変えたかについてまとめます。
あくまで自分の気づきや考えですので、
参考程度に読んでもらえたらありがたいです!m(__)m
前回の記事はこちら↓
今回も、こちらの↓読切を読んでいただいている前提でお話しますので、ご一読いただけると嬉しいですm(__)m
制作もろもろ裏話
修正と向き合う上で大事なこととは?
担当さんからの指摘は、正直、数えきれないくらいありました(笑)
この読み切りは62ページありますが、
最初のプロットと比べたら原型を留めてるところは半分くらいしかないです笑
というのも、
プロットの段階でラストシーンに指摘が入ってしまったため、設定を根本的に変えないといけない部分があり。
プロットに1ヶ月、ネームに1ヶ月かかって今の形になりました。
かなり大変だったし、このままうまく作り上げられないまま終わってしまうんじゃないかと結構ガチめに考えてましたが、
結果、最初よりはるかにいいものができたなと思っております。
修正・追加した場面はたくさんありますが、
特にブラッシュアップがうまくいったなと思っているのは、39ページからのシーンから、主人公の見せ場になる場面です。
載せたほうが分かりやすいかと思いますので載せます。↓
はい。ありがとうございます。
このシーンは1回目のネームでは全く違う展開でした。
ざっくり言うと
まゆ子(主人公)が、苅田さん(嫌がらせしてる女の子)に嫌がらせをやめるよう説得する
(苅田さんは蜘蛛の巣にぶら下がった状態のまま)
→口論になる
→なんとか説得する
→解決する
みたいな流れでした(超ざっくりですみません)
そこから、修正案として出されたのは以下。
1.苅田さんは蜘蛛の巣から下ろしてあげる
2 .まゆ子が苅田さんをビンタするシーンを入れる
3 .決めゼリフを入れる
4 .まゆ子が苅田さんを許すシーン入れる
2が衝撃ですが笑
(その意図はのちほど解説します)
漫画のほうを読んでいただくと分かるように、
担当さんからの案をそのまま取り入れたのは1と3(決めゼリフの意味ものちほど解説します)のみです。
それでもこのシーンは自分でもすごくいいものになったと思っていて、
担当さんも褒めてくださったところでした。
担当さんの案を採用しなかったのに、うまくブラッシュアップできたのはなぜなのか?
それは、大事なのが「出された案」ではなく
「なぜその修正をしたほうがいいのか」という理由の部分だからです。
★修正する理由を理解する
修正案を理由まで分解すると、
1.苅田さんは蜘蛛の巣から下ろしてあげる
→対等な立場で主人公と話をさせる。また、主人公の意思でそうすることで好感度を上げる(読者に主人公を応援してもらうため)
2 .まゆ子が苅田さんをビンタするシーンを入れる
→口論のシーンが続くと読んでてつらい(飽きる)ので、動きのあるシーンを追加する
3 .決めゼリフを入れる
→このセリフで改心させたんだ、と分かるようにする
4 .まゆ子が苅田さんを許すシーンを入れる
→悪役を許すことで主人公の好感度を上乗せし、読者に主人公をさらに好きになってもらう
(こうやって見ると、
担当編集さん達がいかに読者目線で物語を作っているのかがよくわかる…)
さらに重要なのは、
その理由を理解し自分の中でかみくだくことだと思います。
ビンタの案をもらったときは、
主人公がそもそもビンタとかする子ではないと分析していたのと
「主人公に暴力を振るわせるなんて冗談じゃねえ!」と思ってたので笑
じゃあそれ以外にできる行動は何だろう?と考えた結果、あの形になりました。
さらに「決めゼリフ」を考えるにあたっては、
あの主人公だから言える説得力のある言葉は何なのか、
というのを結構考えました。
その結果出てきたのが、
「何かあってからじゃ遅いの 取り返しがつかなくなってからじゃ遅いんだよ」
というセリフです。
これは実は、
自分がいつか創作をする中でこういうことを言えたらいいな、
とぼんやり思っていたものだったので、
思いがけずこの作品で主人公が言ってくれたことはかなり驚きだったし、
それを引き出してくれた担当さんにめちゃくちゃ感謝しながら描きました。
あのメッセージを作品に入れることができたのは本当に幸せでした。
そして、修正案4に関しては
「このシーンのあと、まゆ子なら苅田さんに謝るだろうな」
と自然にこの流れになったので、
「許す」の代わりに、高感度をあげるためのシーンとして「謝る」が入った形です。
★キャラ分析、自己分析、めっちゃ大事。
ストーリーを作るとき、キャラクターの価値観や行動に一貫性がないとキャラ崩壊みたいになっちゃうので、きちんと分析しておくことが大事だと思います。
が、これ結構難しいですよね…。
わたしはプロット、ネームの段階で詰まりすぎたときに主人公の心情や価値観を色々メモ書きしていたので、
おかげでそれが活きたのかなあと思っています。
あと大事にしないといけないと思ったのは、
これだけは描きたい、
もしくは描きたくない
を明確にすること。
プロットからシーンを削っていたとき、
この作品で伝えたいテーマは何か、というのをしぼる作業をしました。
「何を削っても、このテーマだけは描くぞ」
「一番描きたいのはこのシーン」
というような軸が明確になっていたら、大きくブレずに修正ができるんじゃないかなと。
あと「描きたくない」も重要だと思っていて、
こうするとストーリーが良くなりそうだけど、描きたいと思わない(作画の難易度とかではなく、テンションが上がらない、みたいな)というシーンになっていたら、
納得するまで考えるべきだと思います。
描きたいシーンだったら難易度が高くても頑張れるけど、描きたくないシーンはただ苦痛なだけだと思うので…
実は今回の読み切りでもそういうシーンがあり(どこかは言いませんが)自分で決めたから、と思って描きましたが、原稿がそこだけ進まなくて大変でした(汗)
なので、自分のテンションが上がるかどうか、でネームを判断するのも大事な基準だと思います。
結局大事なのは
自分が描きたいものの軸を持っておくこと。
そこがはっきりしていると、修正をするときに変えるべきか変えないべきか、変えるならどういう方向にするか、
道筋が分かりやすくなるのではないかと思いました。
おまけ
ここからは、今回の作品の誕生秘話や、個人的な裏話などのおまけです笑
この話の誕生秘話など。
今回の読切は、
サカナクションの「蓮の花」という曲から着想を得たものです。
歌詞の中に、蜘蛛を逃がすという描写があり、
「蜘蛛が恩返しにくる話があったらおもしろいかもなあ」
と妄想をふくらませてたらベースが出来上がってました笑
また、この曲がおそらく芥川龍之介の「蜘蛛の糸」をモチーフにしていると思われ、
そっちの要素も織り交ぜています。
苅田さんの名前は「蜘蛛の糸」の主人公であり罪人の「カンダタ」からもらいました。
これ気づいた人いるんでしょうか…笑
芥川龍之介の「蜘蛛の糸」のメッセージは
「自分のことだけ考えて助かろうとしたらバチが当たる」
というもので(諸説あり)、
なので反対に
「自分のことだけ考えて助けを求めてもいい」ということを、
メッセージとして入れようと思ってました。
制作中の不思議なできごと
ネーム作ってた頃に起きた、ちょっと不思議だったできごとの話です。
1回目のネーム修正時に、
蓮の花を見に行ったことがありました。
写真でしか見たことがなかったのと、
主人公の人物像を決めているときに「蓮の花みたいな女の子にしたい」という思いがあったため、
モチーフとして使うならやっぱりこの目で直接見ておいたほうがいいだろう!
と思い立って。
主人公の人物像は、仏教の「蓮華の五徳」という教えから持ってきてます。
詳しく書くと長くなってしまうので、気になる方は調べてみてください!
ちなみに自分は仏教にぜんぜん詳しいわけではなく、
蓮の花について調べてたらたまたま出てきて「これだ~~!」となって取り入れただけです。(笑)
一眼レフカメラを持ってるので、
写真も楽しめるし素材集めにもなるし、なにかインスピレーションをもらえることがあるかもしれないな、という期待も持ちつつ、蓮の花を見に行ってきました。
そのときに撮った写真がこちら。
めっっっっちゃ綺麗でしょ。綺麗だったんですよ蓮の花。
8月の早朝だったので、日が昇って気温が上がる前に、ちょっとだけ写真撮ってすぐ帰ろうと思ってたのですが、
あまりにも神秘的で、その場を離れるのがもったいなくて、結局50枚くらい撮影してしまいました(笑)
その中に、たまたま撮れたこんな写真がありました。
↓拡大したのがこちら
花びらの上に蜘蛛が乗ってたのです。
撮影していたときは気づいていなくて、これを後から見つけたときに本当にびっくりしました。
奇跡みたいな一枚が撮れて、蓮の花からパワーをもらった気がしたので
「ネームもいい方向に向かったらいいな!」
と思っていたら、
その帰り道に
先ほど挙げていた、主人公の「決めゼリフ」が頭に浮かび、
一気に今のストーリーのベースを作り上げることができました。
なんかすごくスピリチュアルな話になってしまうのですが汗、
自分の中では、
蓮の花を見に行ったことで、主人公の魂みたいなものに会えたのかなぁとか
蓮の花を見に行かなかったら、
いまのストーリーにはなっていないんじゃないかなとか思いました。
そういうこともあって、自分の想像を超えるストーリーが作れたことは本当に感動でした。
こういうことがあるから、
創作はやめられないのです…
ただの偶然だろうと言われたらそれまでですけど。
信じるだけタダなのでね!
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!
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