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【ライブレポ】Tama Live2024 〜Meet Again〜 2024.2.17

Hysteric BlueやSabãoで活動していたヴォーカリスト、Tamaの復活ライブに行ってきた。
noteでは触れたことがなかったため、少し前置きをしておくと、ヴィジュアル系にハマるのと同タイミングで青春を捧げていたバンドが、Hysteric Blueだった僕。
解散後の活動も追いかけていたのだが、どうしてこれまで触れる機会がなかったのかと言えば、2018年に開催されたSabãoの全国ツアー「LASTING HOPE」のファイナル公演をもって、体調面の理由からTamaが無期限でのライブ活動休止となっていたため。
その間も残された音楽には触れていたものの、表舞台に出てこない、かつブログの本題とは少しズレるアーティストについては語る場を作れずにいたのである。

しかしながら、実はゲーム「MUSICUS!」内の劇中バンド・Dr.Flowerのヴォーカリストとして参加していたことが公表され(「ONE PIECE FILM RED」におけるウタとAdoの関係、と言えば伝わりやすいのでは)、満を持して、実写でのライブを開催することになったとのこと。
それで復活、というだけでもありがたい話だったはずだが、これまで応援していたファンに筋を通すため、と主催であったbamboo氏が、"Tama"としてのライブを準備してくれた、というのが、この日の単独公演の経緯のようだ。

会場はSHIBUYA DIVE。
待ちに待った、という復活特需に加えて、ここにきてゲームからの新規層も獲得しているのか、ソールドアウト公演となる。
サポートメンバーは、Gt.涼木シンジ、Ba.セキタヒロシ、Dr.楠瀬タクヤ。
ここで楠瀬タクヤに声をかけて、Hysteric Blue~Sabãoの流れを汲んでくれるのも粋なはからい。
演奏されたのは、アンコールも含めて、ヒスブル9曲、Sabão4曲、ソロ3曲、Dr.Flower1曲という内訳になり、総じてタクヤ曲が多いセットリストとなっていたのだが、どうせだったらScreaming Frogsからも演奏してほしかった、と思ってしまうのは欲張りすぎだろうか。

センターではなく、下手側にお立ち台がある特殊なセッティング。
もっとも、特殊だと思ってしまうのはバンギャルの性で、実質的に、このお立ち台を使うのは「アソビ」においてロマンスを打つというお約束のため。
等身大のライブにおいて、邪魔にならないように、という配慮である。
会場の密度、後方からの見え方を勘案すれば、もう少し有効に使ってくれれば良かったのに、と思わないでもないが、文化の違いだろう。

フロアの照明が落ちると「Dear」のイントロが流れ、これが1曲目かとミスリードさせてからの「ホロスコープ」でスタート。
事前に公開されていたアーティスト写真は黒を基調とした衣装だったが、真逆となる真っ白な衣装での登場となる。
紙も綺麗に脱色されていて、Dr.Flowerで担当した花井三日月とのリンクが意識されていたのかな、なんて考えてしまう。

アップテンポの楽曲が固められた前半戦。
もっと盛り上がることを予想していたのだけれど、なんせ、一度はもう見れないと思っていたステージだもの。
我を忘れて暴れるというより、一瞬でも見逃さないように目に焼き付けようとしてしまうのがファン心理。
MCでタクヤが触れていたように、コロナ禍の間は活動休止していて、それ以前のライブしか経験していないTamaと、声出し禁止のライブに慣れてしまったオーディエンスとの感覚のズレというのも間違いなくあったのだが、こちらからすればそれ以上に、登場するだけで感極まる、という状態だったのだ。

その辺のコミュニケーションが出来てきたのは、「カクテル」ぐらいから。
X上で募ったリクエストにおいて、もっとも多かったのが、この楽曲だったとのこと。
以前、オフィシャルに募ったリクエストでは「春~spring~」が想定通りのトップを飾ったが、SNSだとレア曲に票が集まりがち。
カップリング曲でありながら、タイアップ等での知名度もあり、まして、20代前半だった当時よりも、アラサー、アラフォーになって刺さるのがこの曲である(知らない人は歌詞を検索のこと)。
本人たちからすれば意外だったのかもしれないが、これを機に、隠れた名曲から、本人公認の定番曲になれば嬉しいなと。

間髪入れずに「ふたりぼっち」に突入し、歌モノパートとなったこのブロック。
区切りとなる「君のいない街」では、涼木氏がアコギ、セキタ氏がアップライトベースに持ち替えるアコースティック編成での演奏となった。
当時の制作秘話も織り交ぜながら、沁みる楽曲を立て続けに。
一般的なライブのセオリーとは異なるものの、じっくり、どっぷりと音楽に満たされることで、スイッチが切り替わった印象。
次に持って来たのが代表曲の「なぜ…」というのも絶妙な采配で、そこから先は、余計なことを考えずに楽しむモードになっていた。

一体感に呼応するように、ラストの「Reset me」まで休みなくアッパーに攻め切るセットリスト。
大きなサプライズこそないが、演者もオーディエンスもとにかく楽しそうで、体感速度としてはあっという間だ。
目を皿のようにして見ていた前半戦は、やはり楠瀬印のドラムは迫力があるなとか、ベースがとんでもなく上手いなとか、Tama本人のステージング以外にも目を向けていた気がするのだけれど、後半戦は瞬間的な映像の記憶しか、正直なところ残っていない。
もちろん、悪い意味ではなくて、確かな充実感は掴んだうえで。
そんな、ぼんやりとした多幸感に包まれたまま、本編は終了となった。

イベントTシャツに着替えて登場したアンコールは、しっとりと「未RISE」から。
Sabãoが活動満了となった際に発表された楽曲の答え合わせをするように、5年後の未来を歌うTama。
単独公演が決まってから、ずっとこの曲が頭の中で流れていたとのことで、必然性を感じずにはいられない1曲であった。

そして、ついにDr.Flowerの楽曲を生で届けることになった「Magic hour」。
ゲームをプレイした人にとっては、ここがピークだったのかもしれない。
個人的には、純粋に新曲として楽しめた一方で、感動の波に乗り切れなかったのは、少し悔しいところ。
"行きます"という言葉とともに、一瞬シンと張り詰める演奏直前の空気。
予備知識がなくても物凄いことになるぞ、ということだけは理解できるほどの見えない力を放っていて、なんだか圧倒されてしまった。
後追いでゲームにも手を出すべきか、結構本気で悩んでいる。

締めくくりは大定番である「春~spring~」で。
活動休止前、ラストライブの並びの間に「Magic hour」が入るだけで、未来が明るく感じられるようになった。
ライブが終わってしまうという名残惜しさはあるが、まだ先があると思えることで、悲観的な感情は取り払われる。
そもそも、活動休止の原因となっていた体調面は、復活を見据えて手術を行い、医師のお墨付きでの復帰とのこと。
当面はDr.Flowerへの義理返しとなるだろうが、落ち着いたところで、Sabãoの再始動やソロ活動の再開も視野に入ってくるなら嬉しい限りだ。

最後の写真撮影では、あまり見せ場がなかったお立ち台が大活躍。
どんな活動でも応援はするけれど、やっぱりTamaちゃんにはライブハウスが似合うのよな、と痛感させられた公演だった。

  1. ホロスコープ

  2. BIG VENUS

  3. ベイサイドベイビー

  4. ラブレター

  5. カクテル

  6. ふたりぼっち

  7. 君のいない街

  8. なぜ…

  9. ‖:Repeat:‖

  10. フリージア

  11. アソビ

  12. グロウアップ

  13. メーデー

  14. Reset me

en1. 未RISE
en2. Magic hour
en3. 春~spring~

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