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【ADVゲームレビュー】超探偵事件簿 レインコード / Nintendo Switch(2023)

超探偵事件簿 レインコード / Nintendo Switch

「ダンガンロンパ」シリーズの制作陣が手掛けるダークファンタジー推理アクションゲーム。



あらすじ



駅の一室で目覚めたユーマ・ココヘッドは、記憶を失っていた。
持ち物から、自分の名前と"世界探偵機構"に所属する探偵であること、アマテラス急行に乗ってカナイ区に向かう予定であることなどを推測。
急いで列車に乗り込んだ彼は、自分に憑りつく不思議な存在、"死に神ちゃん"に気付く。
死に神ちゃんによると、自分は何らかの契約を死に神ちゃんと結び、その代償として記憶を失ったのだという。
目的地となるカナイ区は、アマテラス社が支配する自治区となっており、鎖国状態にあった。
"夜行探偵事務所"にて新たな超探偵と出会ったユーマは、本部より「カナイ区最大の秘密」を探り、「世界最大の未解決事件」を解決するための調査に乗り出すことになる。



概要/感想(ネタバレなし)


鎖国中の街ということで広さは限られるも、街を移動しながら調査していったり、章を重ねるにつれて登場キャラが増えていったりと、ひたすらにクローズドな環境であった「ダンガンロンパ」シリーズよりも、スケールは一回り大きくなった印象。
一方で、キャラデザだったりアナーキーな世界観だったり記憶喪失の持たざる主人公であったりと、旧シリーズの面影を感じずにはいられない。
特に謎迷宮における推理アクションは、実質的にシステムを踏襲していると言えるだろう。
続編とは言わずとも姉妹作ぐらいには捉えても良さそうな親和性の高さだ。

グラフィックが大きく進化し、シナリオの良さも折り紙付き。
敵も味方も、キャラの個性が立っている。
その中で「ダンガンロンパ」シリーズと大きく異なるのは、チームあるいは仲間となる存在がいることで、局面を打開できる点だ。
詰んだと思わせて仲間の助けで起死回生という展開は、ベタではあるがやはり熱い。
シナリオへの活かし方については、まだまだ改善の余地はあるものの、ここがハマれば更に爆発的な作品になる可能性を感じさせる。

もっとも、チャレンジが裏目に出ている部分も多々あり、次回作があれば改善に期待したい。
主だった分岐もないのに、周回させてアイテム集めをさせるやりこみ要素を設けたのは、ややナンセンス。
その癖、スキップ機能が十分でなく、やり直せるのは各章の最初から。
さすがにダレてしまうのと、ロード時間が長すぎて、テンポが損なわれる部分はあったかな。
要素を絞って、もっとスピード感が出せていれば。



総評(ネタバレ注意)



さすが、と唸らせたのは第0章。
チュートリアルであるにも関わらず、登場したばかりの個性的な超探偵たちをあっさり全滅させてしまうのだもの。
堀江由衣、関智一、田村ゆかり等々、声優に詳しくなくても名前はよく聞く面々を配置しておいて、見せ場ないままに即退場。
最終章でゾンビが出てきたあたりは、再登場での名誉挽回を期待したが、事件の犯人のみがちらっと出てきた程度。
ど頭に一番の驚きを、というセオリーに忠実で、深夜にプレイしていたにも関わらず、目が覚めた目が覚めた。

それ以降は、「ダンガンロンパ」の第一弾と同様、非常に忠実に本格ミステリーを再現していた印象。
パートナーとなる超探偵の能力に合わせてシナリオが構成されているが、事件の性質やトリックについては、いたってスタンダードなものである。
謎迷宮での推理前からある程度の結末が見えているため、やや食い足りない気持ちがあるが、第3章の終盤あたりから面白くなってきた。
犯罪のスケールが徐々に大きくなっていく中、第4章ではアマテラスの社内の過剰なセキュリティや、社内ロボットを利用しての犯行計画。
しかも、探偵能力は幽体離脱と特殊設定が目白押し。
既視感のない事件内容も然ることながら、犯人に辿り着くまでの葛藤も含めて、チームを組成している意味を感じさせるシナリオであった。

さて、個人的に惜しいなと思ったのが最終章。
雨が降り続ける街の設定や、これまでに感じてきた違和感などを踏まえると、ここに辿り着いた時点でうっすら真相が理解できてしまうよな、と。
序盤の段階で、過去の事件で死んだ面々がゾンビとして復活しているのを見て、その仮説はほぼ確定した真実に。
全体的に、もうひとつ難易度は高くても良かったか。
もうひとつ言えば、せっかくひとつにまとまるチャンスを迎えた探偵事務所の面々が、最終章では軟禁されて出動できず、活躍がないまま終わってしまうのはあまりに寂しい。
ひとりの力では辿り着けなかった答え、というのを強調するのであれば、チームでの共闘は必要だったと思うのだが。

そんなわけで、いつの日かヴァージョンアップした第二段を。
ユーマも探偵活動は続けているし、続編にも繋げられそうな引きではあったが、死に神ちゃんの位置づけがどうなるかが読めない。
マコトの活躍によって、晴れて死に神ちゃんが解放されるのか、くるみが本を開いて探偵役として覚醒するのか。
どういう形でもいいから、死に神ちゃんにはぜひカムバックしてもらいたいところである。

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