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大好きなエロゲ(エルフ編)

何度かちょくちょく発信したことがありますが、過去の数年間エロゲにたいそうハマっていた時期があります。当時、まだSNSやスマホが全く普及せず、今とはエンタメの形態が大きく異なる頃には『とりあえずHシーンさえ入れておけばどんな表現も許される土壌がある』『大量の情報感度の高いプレーヤーがいる』『一山当てれば大金が稼げる可能性がある』ということで多くのクリエイターがエロゲ業界に参入し、今振り返ればほんの一時期ですしもはや信じられないかもしれませんが、サブカルの頂点に位置したと言っても過言ではない時期がありました。

で、そんな時期と感受性が豊かな時期がピッタリ合っていたこともあり、こちらも短期間ですがエロゲに深くハマってました。完全に回顧厨的な感じではありますが、当時を懐かしみつつ名作の数々を複数回に亘って振り返りたいと思います!

今回は黎明期から黄金期までエロゲ界に君臨したエルフについてです!!

はじめに

エルフというブランドを始めて認識したのがどの作品だったかは覚えていませんが、物心ついた時には既に界隈のトップブランドとして君臨していました。90年代にエルフの人気は頂点に達していましたが、ときメモで一気に爆発したギャルゲーブームに上手く乗り(というかそもそもときメモに大きな影響を与えたのが同級生なのですが)いくつかの名作のサターン移植によってその地位を非オタ一般人までも周知させました。当時はオタクと一般人には大きな隔たりがあり、オタクの市民権などなかったのでこれは凄いことです。エルフというメーカーは自分の中では任天堂くらいの信頼感のある存在だったので、エルフがもうない、蛭田さんがゲームを作ってない、同級生3は永遠に出ないらしい、というのはなんだか子どもの頃に遊んだ原っぱが全部なくなっていてそこにイオンが立っているような悲しさがあります。

というわけで、個別に思い入れのあるゲームについて自分が認知した順に語っていきます~。


①下級生

SS移植したエルフのゲームで一番売れたのは本作か野々村病院か恐らくどちらかだと思われます。まだ若かった自分は門井亜矢がせらむん同人の壁サークル超王手だったことなど露知らず、ときメモと比べてメッチャ絵が可愛らしく、キスどころかその先までゲームの途中でできてしまう驚愕のゲームがある、という認識でした。告白して両想いになってエンディングなときメモと違って、学生なのに最後までしちゃう上に一度ならず何度もしちゃうなんて高校生って凄い!と感じた記憶があります。SFC次世代機が出た直後ということもあって、自分の周りはまだプレステ派とサターン派が半々くらいだったこともあり、兄持ち、ややオタの友達界隈ではサクラ大戦並に所持率が高かった気がします。私はときメモは清川さん派で、下級生では見た目が似ている魚屋の看板娘派でした。エルフ人気を肌で感じる普及率でしたが、自分にとってゲームそのものの影響はそんなになかったかもしれません。ゲーム内でポスタードリームのポスターがなかなか集まらずに苦労しつつ揃えたのは今思えばコンプ欲のハシリだった気がするのと、リアルで一時期モテるためにボーリングの練習をしようと本気で検討した(検討しただけ)ことが思い出されます。


②同級生2

下級生の方がやや普及していたようでしたが、本作もポストときメモの一翼を担うゲームでした。SFCやPSにも移植されていましたし、私が本作に受けた影響はめちゃくちゃデカいです。ときメモでギャルゲーと邂逅を果たしましたが、本作の影響も全く劣らずむしろ大きいかも、というくらい。元々ハードを持っていないくせにSSやPSのギャルゲーを買い始めていたのですが、ようやくゲーム機の所有が認められた瞬間に兄がPS、自分はサターンを購入しました。寝静まった夜中に祖父母のリビングで夜な夜なこっそりプレイした思い出が特に深く刻まれているのはPSのネクストキングとSS版の今作です。それまでときメモくらいしか知らなかった自分にとって今作のインパクトは絶大でした。各キャラクターの背景はきちんと設定され、主人公は平凡&引っ込み思案でなく小中学生の頃の自分のような素行不良の問題児。のめり込むようにプレイしました。今でも同級生2を思い出すだけで泣けちゃうくらいです。SS版のED曲が良すぎるんですよね。。。

ちなみに90年代後半頃のエロゲにオンタイムで詳しかった者として言わせてもらうと、本作は時代を考えると超傑作と言えますが、本作の登場と成功はエロゲのスタンダードが泣きゲーに傾いた発端のような気もしています。


③同級生

自分の大好きだったTV番組にゲームカタログ2があります。ファミ通の浜村編集長や伊集院光、鈴木紗理奈→高橋里華が出演していたアスキー提供のゲーム紹介番組です。同級生を初めて知ったのは恐らくこの番組でSS版の同級生ifが全ゲーム週間売上1位になったのを見てだった気がします。恐らくファミ通でも週間売上1位だったと思われます。今となっては信じられないですが事実です。同級生といえばSS版ifをプレイし、割と良くできた小説版も愛読したのですが、最も印象に残っているのはWIN移植版です。ちょうどエロゲにのめり込んでいた時期だったのでメチャクチャ楽しくプレイしました。同級生はSS版ifのED曲や2のED曲がとっても名曲なのですが、WIN版のED曲も負けず劣らず超が付く名曲です。基本的にはナンパゲーなので特に感動するとかではないのですが、ED曲とEDで流れる動画があまりにも良すぎて、なんだか知らないうちに感動して泣いたりしてました。SS版のほかにもなぜかバンプレストからPS版やかなり画素数が怪しいことになっているSFC版が発売された記憶があります。SFC版で出すのは無理筋だよなぁ。


④野々村病院の人々

SSのX指定(18禁)のゲームで一番売れたのが確か本作です。気のせいかもしれませんが、TBSの『ランク王国』なんかでも今週の売上1位!とか言ってラルフとパジャマ姿の進藤晶子が紹介していた記憶があります。SS版をプレイする機会はなかったのですが、病院を舞台にしたエッチなゲームということで脳裏に刻まれた本作は後にPC版でプレイしました。ナース服の可愛いキャラ達に夢中で全く気が付かなったのですが、本作の主人公はハードボイルドを絵に描いたような私立探偵でした。もしかすると自分が今ミステリー好きなことの遠因かもしれません。ミステリ要素についてはベタと禁じ手の合わせ技だった気がします。ただ、本作のおかげで18禁ゲームの魅力はエロだけじゃなくグロ目に人が死ぬところだということも認識しました。なぜか存在する病院の地下空間でボウガンを持ったおっさんに狙われたのは軽くトラウマです。そういえば本作も小説版をかなり読み返した記憶があります。


⑤遺作

学校を舞台にしたミステリー&サスペンス作品です。18禁とは本来かくあるべし!というダークな作風と雰囲気がとても大好きな作品です。リニューアル版しかプレイしたことないのですが、グラフィックは当時の最先端で非常に綺麗でしたし、どう考えても当時の一線級の声優さんたちの裏名義としか思えない名演も光っていました。ウィザードリー風の?校舎探索や謎解き要素も非常に面白く、シナリオもミステリーそのもので本当に楽しめました。ゲーム性やシナリオが素晴らしいだけでなく、エロ要素も最高に良くて、後に兄弟が登場しまくる遺作のキャラクターも素晴らしかったです。エロを優先しようと思うと必ずバッドエンドになるし、グッドエンドを狙うと健全なまま終わるというシステムもセンスに溢れていたなぁ、と。ちなみにクリア後のおまけはメチャクチャ笑いました。話が通じる人がいたらそれだけで盛り上がれそうです。


⑥臭作

エロゲの歴史の中でもトップクラスの販売本数を誇る有名作です。おやぢ三段積みシステムはエロゲ業界ではYU-NOのA.D.A.M.S.と双璧なくらい有名なはずです。「盗撮」や「脅迫」や「レイプ」でゲーム性を演出するなんて今考えれば不謹慎極まりないですが、エロゲでしか絶対にできないことなので痺れました。父親が読んでた週刊誌(ポスト・宝石・現代みたいなの)に広告がデカデカと出てた時は本気でビビりました。オタクに客層を絞って萌えを量産するのではなく、一般層?を狙いに行く姿勢は『エロゲこそ表現の自由と多様性を最も体現するサブカルの頂点だ!』『どうしてユーザーがコアなオタクしかいないんだ!もっと一般化しろ!』と謎に憤慨していた当時の自分には心強く感じられました。なお、後に下級生2で多くのオタクを敵に回してしまうエルフのオタクに媚びない姿勢は本作のエンディングや妹でもないのに最後まで全く裸体を晒さない人気キャラの存在に既に垣間見えていた気がします。


⑦ワーズワース

過去に出た有名作のリニューアルですが、優れたゲーム性と当時最高峰のグラフィックのおかげでかなり売れていたはず。主人公視点のリアルタイムRPG?今で言うとFPS?は自分の中で本作がほぼ最初で最後のプレイなのですが、こんなに面白いの!?ととても驚きました。エロについてはほぼ記憶になく、単純にゲームとして超面白かった、という記憶しかないです。当時の驚いたといえば、たくさん女性キャラが登場する以外は小学生の頃に自分が空想していたRPGのストーリー(ツクールで作ろうと思っていた)とほぼ寸分違わぬシナリオだったのが驚きでした。たぶん超ベタかつ王道だったということだと思います。今更ながら考えると当時のエルフは過去作のリニューアルばかりやっていたので、稀代の天才クリエイターの蛭田さんのモチベーション低下や制作体制の弱体化が進んでいたのかもしれません。


⑧鬼作

伊頭兄弟シリーズの第3弾です。今も会社が買収されて関連作が出ているようですが、消えてしまったエルフの権利を買い取って作られたと思うとプレイする気も全く起きないですね(18禁シーンがある方が人間ドラマを描くなら自然だ!と固く信じていた昔と違って、エロシーンなんてあっても良く考えたら昔からほとんど飛ばしてたしなぁと歳をとり随分考えが変わったことも大きそうですが)。ゲーム自体は面白さはそのままに舞台が会社になったことでなんだかリアルさが増した感もありますが、登場女性の年齢層が上がったことでガクっとセールスは下がった気がします。男はベースロリコンということでたぶん間違いないです。また、サラリーマンは大量にいるので顧客ターゲットにする戦略は間違っていない気もしますが、当たり前ですが一般的にエロを求める人はエロ動画を見るんでしょう。EDで人間椅子『芋虫』が流れた時は今作で一番テンションが上がりました。ピッタリ過ぎるしギターが良すぎる。


⑨この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO

「エロゲ史上最高の作品は何か」というテーマでいつも名前が挙がる作品ですが、私は個人的に本作に一票を入れたいと思ってます。ゲームが出た時期も含めて考えれば他に比較対象になりうるのは「鬼畜王ランス」くらいかな、とも思います。私が初めて本作をプレイしたのは「大人の缶詰」に収録されていたWindows版でした。PC-9801版と比べてどの程度グラフィック面などがリニューアルされていたのかが分かりませんが、大ヒットしたSS版よりもかなり後、世に出てから数年後にプレイしてもそのゲーム体験の素晴らしさは全く色褪せていませんでした。先日リリースされたリニューアル版は絵柄も変わっていますし、流石に10数年経てば他の作品(ゲーム以外のアクセス可能なエンタメ全般)のレベルも上がったため出色のデキだという印象はもはやないのかもしれませんが、発売時点ではオーパーツレベルのシナリオとシステムが融合したゲームだったと思います。若い人はリメイクやアニメ化で本作を知っているんでしょうから、超が付く名作ということが認知されていなそうで残念だよなぁ、と。


⑩百鬼

蛭田社長の創作意欲の低下が噂される中、エルフも他のクリエイターにシナリオを書かせる動きが出てきました。本作は軍艦島を舞台に作られた作品ですが、誰がどう見ても当時特に入島制限がされていなかった本島を実地調査して作られたと思われる軍艦島マップが素晴らしい作品でした。そこまで精密に再現しなくても良いのにどこに金掛けてんだよ!としか思えないリアルなマップでした。本筋のストーリーもミステリー、スリルとサスペンス、フィクションに脚色はしていますが軍艦島を舞台にした史実モノ的な面白さなどが相まって相当良くできていると感じました。なぜセールスも評判も不調だったのかなぁ、と。私は本作をきっかけに軍艦島や三井三池炭鉱紛争などにもとても興味を抱き色々書籍を読んだりしたので非常に印象に残っています。まだ訪問したことがないのでいずれ観光したいなぁ(特に興味のない妻が独身時代同期と旅行で行ったらしい。羨ましい)。
このシナリオライターの方にもう1、2作くらいチャンスを上げたら良いのに!と思っていましたがそれは叶いませんでした。もしかしてその後有名作に携わってるかも?と思い調べてみたら別メーカーで何作か担当されたようですが、聞いたことのないタイトルでした。


⑪河原崎家の一族2

メチャクチャよくできたエルフ後期の最高傑作です。「河原崎家の一族」とは設定に類似性があるものの、シナリオとしては続きモノではなく独立したタイトルになります。オリジナルタイトルは野々村病院の人々と近い時期に発売され、あちらはあちらで狂った設定と展開で一時一世を風靡した洋館モノの名作のひとつと思えますが、本作はシナリオの完成度は非常に高くボリュームもあり、グラフィックもシステムも一線級の名作です。ネタバレになるのでシナリオについて語れないのが残念ですが、例えば直近で流行っているパラノマサイトのように、ADVのシステムを活かした素晴らしいものでした。エログロサスペンス目白押しではありますが、これが大人向けのエンタメ決定版という感じすらします。生と死ならぬ性と死をエンタメとして描かせたらやはりエルフ以上のメーカーは人類史において存在しなかったんだなぁと改めてその消滅を思うと悲しくなります。名作故に値段はあまり下がっていないようですが、エロやグロに抵抗がなければシナリオの素晴らしさをぜひ堪能してほしい一作です。本作こそ自分が考えるエロゲの完成形かも。


おわりに

ここまでで上げたゲームは特に思い入れや面白かった印象が強いゲームになります。エルフ作品で他にプレイしたゲームで言えば以下となります。

河原崎家の一族
Refrain Blue
恋姫
愛姉妹 二人の果実
el
エルフオールスターズ脱衣雀シリーズ

名作と名高いドラゴンナイト4は未プレイ、あしたの雪之丞シリーズ、らいむいろ戦奇譚シリーズは買った上でプレイせずに手放しました。エルフを終わらせたと名高い下級生2は正規版を新品で購入したのにコピープロテクトの不具合で全く起動できないままこれもやはり手放しました。他には、媚肉の香りや人間デブリはシナリオが面白そうだなぁ、御神楽少女探偵団はいつかやらないと、といった感じでしょうか。


以上、富井サカナでした。
次回、西の雄アリスソフト編でお会いしましょう!!


👇ちなみに自分は趣味で健全なゲームを作ってます!👇


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