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大好きなエロゲ(名作編)

何度かちょくちょく発信したことがありますが、過去の数年間エロゲにたいそうハマっていた時期があります。当時、まだSNSやスマホが全く普及せず、今とはエンタメの形態が大きく異なる頃には『とりあえずHシーンさえ入れておけばどんな表現も許される土壌がある』『大量の情報感度の高いプレーヤーがいる』『一山当てれば大金が稼げる可能性がある』ということで多くのクリエイターがエロゲ業界に参入し、今振り返ればほんの一時期ですしもはや信じられないかもしれませんが、サブカルの頂点に位置したと言っても過言ではない時期がありました。

で、そんな時期と感受性が豊かな時期がピッタリ合っていたこともあり、こちらも短期間ですがエロゲに深くハマってました。完全に回顧厨的な感じではありますが、当時を懐かしみつつ名作の数々を複数回に亘って振り返りたいと思います!

今回は今まで紹介したブランド以外の思い出に残るゲームたちです!!


はじめに

これまでエルフ、アリスソフト、リーフ、Keyと思い入れの強いブランドのエロゲ作品についてつらつらと記してきましたが、それらブランド以外の思い出に残るゲームにつき今回はまとめてみました。

というわけで、個別に思い入れのあるゲームについて自分が認知した順に語っていきます!


①猟奇の檻 第3章

まだエロゲに足を踏み入れて右も左も分からないうちに本作をプレイして衝撃を受けました。そうだ!18禁はエロだけじゃないんだ。せっかくだから全年齢では描けない残酷描写も盛り込んだ方が面白いじゃん!と不謹慎な形で脳裏に刻まれた一作です。でも、さっきまで仲良くしゃべっていた美少女キャラが次の瞬間には首ちょんぱCGとして再登場なんていう演出は見たことがなかったので相当インパクトが強かったです。通常のミステリ小説でもなるべく早いタイミングで死体を転がせと言いますし、首ちょんぱCGは他でそれほど見ないのがむしろ意外な気がします。本作、テレビ局を舞台にした割と面白いミステリゲーだった記憶があるのですが、残念ながら首ちょんぱ以外の記憶がありません。クリアはしましたが推理など一切せず、家にほぼ全冊揃っていた攻略王を見ながらクリアした記憶があり、ストーリーそのものも一切覚えていません。調べてみたらデパートを舞台にした第1章、遊園地を舞台にした第2章と比べるとかなり評価は低いようです。えー、むしろそれらをやりたかった。なお、本作の衝撃があったため、最近アニメ化もした某超有名エロゲの超有名突然残酷シーンの衝撃は若干和らいで受け止めることができました。いや、あそこまで愛着を持たせてからってのも確かに凄かったですが。


②Works Doll

こちら、かなり知名度が低めのゲームだと思いますが、ズバリエロゲ版のワンダープロジェクトJとも言える、面白い育成SLGゲームとなっています。まずは人目を惹くのがグラフィック。『ブギーポップは笑わない』で一世を風靡した緒方剛志さんの別名義です(ブギーポップ読んでないけど)。とても雰囲気のあるタッチのグラフィックです。本作は性のお供にもなってくれるからくり人形を仕入れては教育・育成して高く売りさばいてお金を稼ぎ、更に品質の良い人形を仕入れては高く売りさばき、品評会に参加して良い成績を獲得して~と言った形のゲームだった気がします。3Dの屋敷の中を好奇心に任せてうろうろし、リアルタイムで色んな行動を取ることでステータスが増減したり、特定の条件を満たすとイベントが発生したり、というのが非常に面白かったです。面白さの割にはそれほど話題にならなかったのはなぜなんだろう。他にも同じチームが製作した雪色のカルテやLと言ったゲームもやりましたが、一般的に一番有名な『果てしなく青い、この空の下で…。』を未プレイというボーンヘッド。死ぬまでにやる日はくるのだろうか。


③Pia♥キャロットへようこそ!!1・2・TB

セガサターンのおかげで一般認知度が非常に高かったエロゲメーカーといえば、エルフに次ぐのはF&Cで間違いないでしょう。知名度はきゃんきゃんバニーと本シリーズが双璧と言ったところでしょうか。ちなみに販売はもちろん?KIDからでした。Piaキャロの原画家と言えば一時は完全に天下を取ったみつみ美里さんで、リーフに移籍したのも本作のヒットがあったからこそだと思われます。さて、Piaキャロは選択肢を選ぶ一般的なADVながら、主人公のステータス値が存在します。ニンジンの数で示されるこのステータスの存在が、ときメモの数値管理が面倒と思うプレーヤーや、それでもステータス値が欲しいわがままなプレーヤーのニーズを上手く満たした、気がしなくもないです。本作はPiaキャロットという名のファミレスが舞台になっていて、ゲームのスタート時点で制服を選ぶことができるというコスプレ万歳な一作となります。ヴァリアブル・ジオなんかもそうですが、景気が良いとアンミラやらフーターズみたいな店がもてはやされる時代になるんですね。シナリオが凄く良い!ということは特にありませんでしたが、各キャラとの物語にはほど良い起伏があり、少しヘタウマっぽいOP曲とキャッチーな絵柄も相まって普通に面白いと思えるゲームでした。エヴァのミサトさんみたいな仕事終わりのビールが大好きだったヒロインは当時は年上のお姉さんでしたが、今や自分の子どもでもギリおかしくないくらいの年齢差なのね、とほほ。


④加奈 ~いもうと~

後にエロゲ界きっての成功者のひとりとなる田中ロミオ氏のデビュー作です。当時はまだ別名義(山田一)を名乗ってました。当時は多分葉鍵系の盛り上がりがグイグイ来ていた頃か何かで、他に泣きゲーの良作はないか!と業界全体が目を向けていた時期だったような気がします。D.O.は虜やせ・ん・せ・いなど基本は鬼畜路線だったのはずですが、突然の純愛モノでシナリオ高評価のゲームが出てきて驚きつつ直ぐに中古で初回盤を購入したのを覚えています。加奈のストラップ付のヤツです。本作、田中ロミオ作品として後に有名になりますが、当時は大ファンだった大物エロ漫画家の米倉けんごが原画を担当している方がよほど印象的でした。ヨネケンの漫画は全て持ってたなぁ。ちなみにどうでも良いですが、次作の星空ぷらねっとも大物エロ漫画家である師走の翁(シャイニング娘。が一部で話題に)が原画を担当していました。同作はたのきんトリオの野村義男が音楽を担当するなど豪華な布陣でした!発売前には今はなきヤマギワソフトでのミニライブに参加して、じゃんけん大会で主題歌を歌ってた声優さんのパネルをもらったのも良い思い出です。星空ぷらねっとも割と良いゲームでした。
話を次作から本作に戻すと、禁断の血の繋がらない妹ネタだったわけですが、自分のように男兄弟しかいない場合や一人っ子は特に妹設定に抵抗はないことが多いですが、リアル妹持ちの友人は本作の設定にドン引きしてました。シナリオはマルチエンドとなっていて、大病を患っている妹と恋人がいる主人公という設定から考えられる押さえておきたい結末のパターンは全部見せてくれたような記憶があります。マルチシナリオのお手本のようなところもありました。


⑤GREEN~秋空のスクリーン~

ラブ・エスカレーターというWIN版は出ていないけどPC-9801で発売された名作があるらしい、という情報はエロゲオタとして押さえておりましたが、同作を作った海月製作所がjellyfishというブランド(まんますぎる)で新作を出すという情報が出た時から期待を寄せていたのが本作です。記憶が定かではないのですが、確か本作は発売延期を繰り返しまくっていたような気がします。それでも発売後はかなり話題になっていました。
エロゲにエロはあってもなくても良いけど、そりゃあった方が嬉しいのは男としては当たり前です。エロゲエロゲと呼んでる割にはシナリオが良かったりゲーム性が高かったりするゲームばかり遊びエロシーンは基本スキップしている自分でもそうです。そんな中、本作のエロさはそれはもう圧倒的でした。エロ過ぎました。夏の甲子園にバリバリのメジャーリーガーが現れるくらいの実力差がありました。可愛らしいアニメキャラがもうメチャクチャにエロい。スタッフのインタビューなどを見ると、制作者は目を皿のようにしてエロビデオを見まくってエロい構図を研究しまくっていたようです。なんたるプロ意識。エロの探究者。童貞が妄想で描いたエロや女性原画家が生活のために描いたエロ(偏見)が太刀打ちできるはずもありません。
学園生の映画製作を題材にしたストーリーも割と良かったですし、ラストでそれまで撮影したシーンにBGMを付けていくところなんかも面白かったのですが、いくらなんでもエロかったので全てそれが持っていきました。その後に発売されたLOVERSやSISTERSも悪くはなかったのですが、キャラデザの魅力なのか本作が圧倒的に好きでした。エロがゲシュタルト崩壊を起こす文章でお届けしました。
ちなみに個人的にエロ方面での感動という意味では本作が1位、2位が遺作、3位がダークロウズといったところでしょうか。恐らくそこそこ詳しい方には納得してもらえるでしょうし、超詳しい方には異論があることでしょう。(エロ特化型はほとんど買って無かったので)


⑥Phantom -PHANTOM OF INFERNO-

今はもうそんな文化はないのかもしれませんが、エロゲには必ずアンケートはがきが入っていたものです。私は全個人情報をきちんと埋めて正直な感想を送っていました(例えばエルフのアンケートには必ず同級生3お願いしますと書いていました)。そのおかげで色んなメーカーから暑中見舞いに年賀状、発売前のデモCDやら会報みたいなものまで毎週のように届きまくってました。たぶん自分の知らないところで恐らく家族会議が開かれていたことでしょう。どうしてこんな前置きをしているかというと、その流れで本作の体験版が送られてきたからです。体験版をプレイした瞬間に本作の面白さには度肝を抜かれました。明らかに痕などの一流どころとタメを張る面白さでした。ニトロプラスって何者?どこから降って湧いたの?と軽いパニックになったくらいです。ワシが育てた、というつもりは毛頭ありませんが、関係者以外の一般ファンではニトロプラスに着目したタイミングはかなり早いと自負しています。
さて、本作は日本の学生がある日突然組織に攫われて殺し屋になるという荒唐無稽なストーリーなのですが、テキストの巧さや映画のように絵が映える展開の数々も相まった一大エンタテイメント作品でした。後にまどマギでセンセーションを起こしエロゲ界の出世頭の一人となった虚淵氏の処女作にして、実力を存分に発揮した素晴らしいゲームです。


⑦魔法使いの夜

自分のエロゲオタとしての大きな後悔の1つが月姫をリアタイでプレイできなかったことだったりします。長らく洋画も海外の小説も読まなかった理由と全く同じで、さすがに同人まで手を出したらキリがない、という謎の考えによるものです。自分の守備範囲を絞ることによってなるべくその範囲内の把握度?カバー率を上げたいという良く分からない考えです。そんなわけで同人ゲーにはそれほど詳しくないのですが、月姫はひぐらしと同じくらいオタ界隈では話題になっていた印象です。ただ、面白そうと思いつつもなかなか手を出さずに今日まで至っています。で、その後かなりの時間が経って初めてプレイしたTYPE-MOONのゲームが本作となります。
正直に言うと奈須きのこ氏の作風やテキストは428のカナン編と同じく全く自分には刺さらなかったです。プレイ冒頭からメインキャラ2人が出会うまでにどんだけクリックさせるんだよ!という感じで、テキスト量の割に話が進まないのがせっかちな自分には向いていないのかもしれません。
とはいえゲームの完成度という意味では非常に高かったです。まず、本作のグラフィック周りの完成度は尋常じゃないと感じました。特に戦闘シーンの演出に関してはADVゲーム屈指の演出だったと思います。担当したつくりものじ氏がNscripterの開発者とタッグを組みつつ組み上げたようです。これは一見の価値があります。また、ED曲の『星が瞬くこんな夜に』のクオリティも素晴らしく、プレイ後は何度も主題歌の直前からロードして曲を聴いてました。


⑧車輪の国、向日葵の少女

時間軸的には前項と軽く10年以上の隔たりがあります。その間、私は大学でテニスサークルに入りウェイウェイ言い、就活して社畜になり、結婚して子供ができて、外形上は完全にエロゲオタらしいところが一切なくなってしまいました。不覚です。ただ、多感な時期にエロゲにどっぷりだった自分のアイデンティティの真ん中にはしっかりエロゲが居座っていて、完全にエロゲをプレイしなくなって長期間が経っていたものの最低限の情報収集はちょこちょこしていました。中国に単身赴任している間にひぐらしやCLANNAD、ファタモルガーナを遊んでいるうちに(全部全年齢ですが)、改めてADV・ノベルゲーム熱も復活したので名作と名高い本作をプレイしてみました。
前置きが長くなりましたが、本作にはメチャクチャ感動しました。感動というのは切ないとか泣いたとかそういうことでなくそのクオリティにです。ネタバレを回避して少しだけ説明すると、本作は自分のような古き良きADV・ノベルゲーム好きというか、このジャンルのお作法?を理解している人間の方がより楽しめる作品となっていました。自分にとってもう1つ嬉しかったのが、本作に登場する女性陣は絵こそアニメ絵ですが、例えばKeyのような純粋無垢な少女ではなく、結構思考回路がリアルというか、良いところも悪いところも血が通っている感があったところです。本作をMAX楽しめたのは過去の自分のようにエロゲ雑誌を毎月熟読するような人間だったのは間違いないでしょうが、時間が経ってから遊んだ自分でも存分に楽しめました。ADVやノベルゲーには素晴らしい作品がたくさんありますが、まさに自分はこんなノベルゲームを作りたい!でもこれは絶対に思い付けない!と感じました。本作の結末は狂おしいほど好きです。ラスト近辺での驚きどころが2つあって、1つはまあよくある手法と言えばそれまでですが、もう1つは凄かったです。結末に全振りして逆算して世界観を構築し、肉付けしたと思われるのですが、これは完全に痺れました。
なお、ファンディスク的な作品に『車輪の国、悠久の少年少女』がありますが、こちらも素晴らしかったです。本編のおまけの枠に留まらないシナリオが楽しめました。私はエロゲの一時卒業と同時に小説もかなり読むようになりましたが、テキスト描写や構成に関して日本のトップ作家と全く引けを取らないと思います。


⑨G線上の魔王

というわけでるーすぼーい氏のべた褒めが続きます。車輪の国~は非常に素晴らしい名作だと思いますが、今作も粗は目立つにせよ総合的には甲乙つけがたいレベルで面白かったです。前作はシナリオの一撃の破壊力が突き抜けていると感じましたが、こちらも総合力では負けていないと思います。

・キャッチーな設定として魔王と勇者というアイコンを持ち出した
・選択肢によってサブヒロインとの結末に枝分かれする構成
・各シナリオで繰り広げられる知能戦を盛り上げるテキスト
・クラシックアレンジによる統一感のあるBGM
・超大物起用のボイス(たまたまコードギアス見た後だったw)
・トゥルーEDの持っていきかたの上手さ+ED曲⇒泣ける

プレイした方は「うーん」と思うところが多かれ少なかれあるのはご存知と思いますが、日常描写などでの中だるみ感が激しいエロゲ界において、この道中ほぼ絶え間なくワクワクが続くテキスト力は素晴らしいと思います。自分がすっかり見ていない間にもこんな才能が現れていたというのを時間差で知って本当に嬉しくなりました。ですが、その後の活動は結構控えめな印象なので少し残念です(ぼくの一人戦争は積んだままなのでいつかプレイしないと)。なお、るーすぼーい氏にベタ惚れした自分は、先んじてベタ惚れしたファタモルガーナの館の縹けいか氏と同様に、出版されている小説は全て購入しました。こちらも十分に面白かったです。でもやっぱりいつか太陽の子を遊びたいんだよなぁ。


⑩沙耶の唄

処女作phantom~の段階で着目していたニトロプラス虚淵氏の作品は、その後もヴェドゴニア、鬼哭街と立て続けに発売後に即プレイし、従来のエロゲ界にはない唯一無二の世界観(全力の厨二?)に痺れていましたが、どうやら本作の発売直前くらいに自分がエロゲ趣味からフェードアウトしたらしく、本作は相当に時間が経ってからのプレイとなりました。
これだよこれ!エロゲのあるべき姿ってこういうグロテスクな非日常をこれでもかとぶつけてくれるやつだよ!ということで非常に痺れました。誰に対しても直接的に視覚で感情を揺さぶってくる作風が素晴らしかったです。超可憐な美少女の沙耶がなんていうかもう。シナリオボリュームが少な目だということで、鬼哭街と同じくフルプライスでなく販売しているのも良心的だなぁ、と感じます。そもそも昔々のエロゲなんか(というかファミコンなどの普通のゲームなども)1時間も経たず終わってしまうものだって普通にあったわけで、テキスト水増しして売値維持するなんて本末転倒だと感じています。銀色やナルキッソスで有名な片岡とも氏が以前語っていた『同じ感動を与えられるなら短い時間でそれが達成できる方が優れている』というのは昔はあまりピンときませんでしたが、自由な時間がなくなった今となってはまさにそう思います。多くの映画が今もなお基本は2時間前後で落ち着いているのもそのあたりが根底にあると思いますし、本質的には違法コピーやスマホゲーなどではなく、それこそがエロゲブーム終焉の根本的な原因なのかもしれません。多様化したコンテンツが溢れまくる世の中において、超長時間を捧げるのはなかなか厳しいですので。


おわりに

ここまでで上げたゲームは特に思い入れや面白かった印象が強いゲームになります。これまで取り上げたブランド以外の超有名作でいうと、以下のゲームはプレイ済になります。

Fate/stay night
Fate/hollow ataraxia
君が望む永遠
マブラヴ
マブラヴオルタネイティブ

これらの作品は一般的には今回取り上げたものよりも名作として名高いと思いますし、名作であることは間違いないです。ただ、いかんせん長すぎるんです。学生時代~独身時代にプレイしていたら大絶賛していたでしょうが、どう頑張っても1日3時間程度しか時間が取れず、それ以外の時間は毎日の生活で慌ただしくしている中で熱中するのはなかなか難しいなぁ、と。せめて単身赴任時期にプレイしていればと自分を残念に思います。


以上、富井サカナでした。
次回の好きなメーカー編でこのシリーズは終了となります。


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