本音を言うのが嫌いだった話
子供の頃はこの手の質問をよく訊かれた。
当時料理にハマっていた私はコックになりたいです、
と答えたのに何をどう聞き間違えたのか「大工になりたいのか!夢が叶うと良いな!」と屈託のない笑顔を向けた小学校の担任の先生は今でも忘れられない。
そのあまりの華麗な聞き間違えに私は北島康介よろしく何も言い返せなかった(彼の金メダル獲得と先生のクソみたいな聞き間違えを同列に扱うのは失礼かもしれないけど)。
今振り返ると、そんな些細な間違えさえも指摘できなかった気弱な私の人間性はその頃から既に完成の域に達していたのだろう。
あの時の先生もだが大人はこういう時大体「そっかー、夢が叶うといいね!」
なんて思ってもない事を言う。
そこら辺は子供も敏感なので本気では言ってないんだろうな〜、こんにゃろ〜、と気づく。
そんな当たり障りの無い返答をするぐらいなら訊かないでほしい。
もしも私が「バスケ選手になりたい」と答えたら、
バスケ選手になるのは如何に難しいか、
どれほどの才能と努力と運が必要か、
ではバスケ選手になる為には具体的にどうしていったらいいか、
これぐらいのアドバイスを言ってやるべきなのだ。
子供が本気で答えたら、本気で返すのが大人だろう!!!!!!
と思っていたけど、
よくよく考えたら夢見る子供達にそんな事を言うのは野暮過ぎるし、普通に大人気なかった。
結局、「そっかー、夢が叶うと良いね!」
と答えるのが無難なのかもしれない。
これに限った話じゃないけど、本音を言うのはリスクがある。
世の中には冷笑ってものが溢れていて、本当の事を言ってもちゃんと受け止めてもらえないことが多い。笑われて流されてしまうのだ。
そうして本音を語ることの虚しさに当時、中学生だった私は気づき無事に厨二病を患ったのです。まんまとエヴァンゲリオンにハマったのです。
私が本当の夢を心置きなく言える相手は神様ぐらいだろう。なので神社へお参りしに来たときはお願いごとをめっちゃ本気で祈るようにしてる。でも最近はその本気のお願いごとが神様にも笑われてないか心配になってしまう。
神様がいつも優しく微笑んでいるのはぼくらの本音を笑わないように我慢してるからじゃないか?あれ、もしかして「笑ってはいけない神社24時」を人知れず開催してます?
なんて罰当たりな事も考えずにはいられない。
いつの間にか本当に思ってる事や素直な気持ちを言えない人間になってしまった、それが大切であればあるほどに。
ちなみに中1の時の私の夢は綾波レイと付き合いたいでした。
その時は笑われるというより心配されました。
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