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Title:Miffy

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形態と質量の組み合わせの在り方は設計主旨をより具現化させる。

自宅用にOSBデステイルの本棚を設計しました。

引っ越したての伴侶は段ボールを積み上げ、さらにその段ボールの上に出した荷物を積んでいった。
そこには段ボールが荷物の入れ物でありテーブルでもある、多義的と言ってよい感覚と、
ルールがあって不自由だからこそ、ルールを再解釈するような自由さがあった。画像8


本棚が欲しかった。
そして私はルールを再解釈するということを念頭に置いて、その知識を実践していきたいタイプなので、
本棚という整理されたある種不自由な知識の箱にも、積み上げられた段ボールのような自由さがあっていいなと思った。お金もないので、効率的に3x6で割付ることを考えた。
幅と奥行きは全て450x300とし、高さは600x1、900x2、1200x1であれば3x6から綺麗に背板も取れるため、こちらを基本寸法とした。
そしてこの寸法の本棚を2セット、計8つを並べ、時には積み、形態を真似ることによって、あの多義的段ボールの再現を試みた。
また材料としてはコストを抑えるためにOSBを選定した。ラフな肌理(テクスチャー)もあの段ボールを思わせ魅力的だった。
しかし、今回はOSBをデステイル色に表面処理(ファクチャー)することにした。


私が思い描いていたのは、不自由=整理と自由=ランダムの矛盾した共依存である。
形態においては本棚という不自由な箱と、その天板の自由なテーブルが共依存している。
もしOSBのクリア塗装の場合、
質量側を見るとにおいては自由=ラフしかないような気がしたからである。
もしOSBを形式の強いデステイルカラーで塗ったのなら、
質量側だけでも形態のように不自由と自由が共依存できるのではないか。
そしてこの状態の質量と形態が組み合わさることが私の設計主旨をより具現化させると思った。IMG_4644のコピーのコピー


伴侶が付き合いのある工務店さんに依頼しOSB本棚を組んで頂き自宅へ搬入し、伴侶と塗装に
狙い通りOSBのラフさでは塗装が乗り切らず、面色もエッジもぼやけたデステイルとなった。
つまり材料の特徴的な肌理により形式が綻んだ。そして形式により材料も綻んだ。
自由と不自由の共存。柔らかいデステイル、どことなくミッフィーのような感じだった。画像8

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また本を入れてみると思いのほか本の奥行きが異なり、
カラー面の見えてくる面積に差が出た。
収納家具はどうしても何も入れない方が見栄えが良いというジレンマがあるが、
この本棚はそのジレンマさえも共依存の内に秘めてくれる。
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