たまにはファッションでも6

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今でも鮮明に覚えている。
JaneMaepleを着た二人組は私達と同じ方向を歩いていた。
凛として、可愛いだけでなくその人達の雰囲気に合っていた。
どことなく私とは違う世界の人だけど、同じくらいの年代の人。
無理に気取っているわけでもなく、本当にワードローブの一部になっていて、表情やメイクだけではなく、あぁここの服が本当に好きなんだな、と納得させる位に似合っていた。
私自身、無理していたわけではないけど、多分どこかでロリータファッションを着ている事で肩肘が張っているような感じがした。急に何故か自分が恥ずかしくなったように思えたし、ロリータな自分に陶酔しているようで何だか矮小な自分に一瞬嫌気指した。

誘われるがまま、その二人組と一緒に同じショップに入った。

ショップに入って圧倒された。
そこのショップもセレクトショップではあったけど、路面店ということもあり取り扱いブランドのイメージを崩さない様にショップ全体の雰囲気を作っていた。BGMもYUKIちゃん曲が掛かり、MILKの服の雰囲気にぴったりだった。
息が苦しくなるほどに一瞬でこのセレクトショップに恋をした。
そして付き合っていた人がここを教えてくれた事も相まって、特別な空間だと思った。

それまでロリータブランドでしか買わなかった私は、カジュアルだけどドレッシーな感じのするJaneMarpleやMILKの服を一着一着吟味していた。
ショップガールの方々も突然やってきた全色ロリータファッションの私でも優しく接してくれて、今季の展開がわかるようにカタログを見せてくれたり、一着一着についている名前やシリーズ名を会話の中で教えてくれた。
その日、初めてのMILKの小物を買った。

徐々に私はロリータファッションだけでなくMILKやJaneMarpleの小物や服を買い始めるようになった。
同じ頃Emilytemplecuteが進出してきたこともあり、私の中で、これまでのブリブリなロリータファッションよりも少しカジュアルでもカジュアルすぎないドレッシーさを残した服を買い始める。
先に見た二人組の印象も強く残り、ロリータファッションだけでなく、ロリータっぽいけどロリータすぎないMILKやJaneの服を少しずつ手探りで買い始め、着始めた。
親から否定的な事を言われていたロリータファッションでも、MILKの服は否定されず、今までよりもマシと言われ、少し嬉しかった。
私ファッション傾向について不定的だった、あの親が初めて誕生日プレゼントでMILKのOPを買ってくれたのも大きかった。

一着一着はロリータブランドと同じかそれ以上する時もあったが、小物から入り誕生日やクリスマスプレゼントで親に強請っても怒られない(まぁ不機嫌そうにはしていたが)、というポイントは大きかった。
決してロリータが嫌いにわけではないし、ショップに行き始めた初めの頃は本当に小物しか買えなかった。並行してロリータブランドの服を買っていたこともあるし、初めに見た二人組以外でMILKやJaneを着ている人を見たことがなかった事もあって、今までカジュアルさが足りなかった私には持て余してしまうし、普段の服に合わせるにはカジュアルすぎた。

ただロリータブランドで固めた私よりもMILKの服を着ている自分肩肘張ることもなく入れている事や、当時愛読していた嶽本野ばらの影響もあり本格的に入れ込んでいくにはそう時間は掛からなかった。

多分ロリータに慣れすぎていたのだと思うし、新しい刺激が欲しかったのもあるのかもしれない。
それにMILKを着ている自分でもロリータ繋がりの友人達は受け入れてくれたし、何よりも一緒に可愛いね!可愛いよね!!とカタログを見てくれたのあった。

ロリータファッションは一生好きで一生着ていく!と思っていたが、私が今のこの歳でも惹かれ続けているのはMILKやJaneの変わらない服作りのマインドがあるかもしれない。

何時しか大学生活も終わる頃を迎える。社会人にならないといけない。そうなればロリータファッションなんてたまの休日しか着れなくなる。そんな時限性のあるファッションだと思っていた。
卒業論文にむけてゼミを最終決定しなければならなかったし、徐々に就職活動も本格化してきた。
ロリータファッション現を抜けしている場合でも無かったし、徐々に就職活動と卒業論文の作成で周りも焦っていた。

私も内心焦っていたが、卒業論文のテーマを早々に決めていたし、就職活動もしていたがどちらかといえば進学したい気持ちもあったため、大学院受験の勉強も視野に入れ、ゼミを掛け持ちしていた。
ゼミ担当の教授からは就職活動よりも進学するものだと思われていた事もあり、就職活動も上手く進まない私にとって受験勉強をするための時間を有効に使うために教授室に残る事も多くなった。

果たして自分の研究テーマが通用するのか。
一番はそこが肝心だけれども、教授達はこぞって面白がってくれたので一安心していた。
何せ若気の至りでロリータファッションをテーマにしていたため、自分の研究テーマが自分とリンクしているからこそ、面白がって貰えていると思っていたし、先行研究もない中で、論文を書き進めるは愉しみでもあった。

院試も順調に進み、目出度くも院生生活を送ることになる。


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