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着物 のもう一つの美・ 「脱ぐ美学」

もう一つの着物の美学 『脱ぎ方』

今は亡き、桂春蝶さんは、後に師匠になる今は亡き三代目桂春団治さんの舞台上での鮮やかな羽織の脱ぎ方に惚れて弟子入りを決めたそうです。

春團治さんは山村流の舞の名手としても知られている方で、着物の所作などに対する美意識は非常に高かったようです。
男から見ても色っぽく、粋で美しかったです。

三代目 桂春団治

私達一般人は舞台で羽織を脱ぐことなど一生ないのですが、男でも人前で羽織を脱ぐことはあると思います。

「美しく脱ぐ」、「粋に脱ぐ」、「色っぽく脱ぐ」、等々。
着物は美意識を持って着るものでありますが、脱ぐ為の美意識も持つべきだとつくづくと思います。

脱ぐ美学

以下はyoutubeの動画ですが、この映像では、落語が始まってすぐに羽織を脱ぎますが、一瞬にして脱ぐその所作は本当に鮮やかです。
「目にも止まらぬ」とはこのことですね。
冒頭ですので、落語に興味がない方でもご覧いただけると思います。

男の『脱ぎっぷり』に見る『粋と色気』見事ですね。

ところで、「男の脱ぎっぷり」と言えばやはりこれですね。
テレビの時代劇で『水戸黄門』と双璧をなす『遠山の金さん』です。

水戸黄門同様に歴代の金さんを演じる役者さんは多数に及びます。
ドラマでは最後に言う決め台詞「おうっ!あの夜にぱっと咲いた桜吹雪、よもや見忘れたたぁ言わせねぇぞ。」と同時に片肌脱ぐ「脱ぎっぷり」がやはり一つの様式美となっていましたね。

遠山の金さんの脱ぎっぷり

さらに、歌舞伎で脱ぎっぷりの良さと言うならば、弁天小僧菊之助のこのシーンは外せません。
美しいお嬢様と思っていたのに・・・・片肌脱いで・・・
突然、女から男に・・・・この意外性がさらに観客を唸らせます。

弁天小僧菊之助(尾上右近)
決まり台詞

脱ぎっぷりの美学
それも日本人の美意識にはちゃんと根付いていますね。

成願義夫 和文化デザイン思考講師

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