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平成末日福井旅 サザンinサンドーム福井


2019年5月1日 / 令和元年を迎えての記念投稿 (20330文字)

目次
<1>サザンオールスターズ40周年ツアー in 福井サンドーム あれこれ
<2>シブラジ ⇔ 自分 ⇔ サザン
<3>いよいよ旅紀行 人との出逢い 初日
          #しらさぎ #福蕎麦 #サンドーム福井
<4>いよいよ旅紀行 人との出逢い 2日目
          #越前蕎麦倶楽部 #西山公園 #東尋坊 #鷹巣荘
<5>いよいよ旅紀行 人との出逢い 3日目
          #福井おもてなしガイド #北の庄城址・柴田公園
          #福井城址 #福井神社 #御朱印 #養浩館庭園

<1>サザンオールスターズ40周年ツアー in 福井サンドーム あれこれ

1978年6月25日は記念すべきサザンオールスターズメジャーデビューの日。
2018年6月25日はその40周年記念日だった。
アリーナ? ドーム? もしくはスタジアム? と皆が待ち構えるツアー予想を裏切るかのようにたった3600席というサザンにしてはあまりにも小じんまりしたNHKホールでたった2日間のキックオフライブ「ちょっとエッチなラララのおじさん」が始まった。チケットは激戦中の超激戦、私がやっと取れたのはライブビューイングのチケットだった。
スクリーンの向こうに居る後ろ姿の観客がどれほど羨ましかったことか!!
(20180625、20180626 NHKホール)

茅ヶ崎に背を向けて
女呼んでブギ
いとしのエリー
さよならベイビー
せつない胸に風が吹いてた
 愛の言霊 〜Spiritual Message〜
SEA SIDE WOMAN BLUES
汚れた台所
My Foreplay Music
私はピアノ
闘う戦士たちへ愛を込めて
はっぴいえんど
真夏の果実
太陽は罪な奴
涙の海で抱かれたい~SEA OF LOVE~
栄光の男
東京VICTORY
ミス・ブランニュー・デイ ~MISS BRAND-NEW DAY~
匂艶THE NIGHT CLUB
HOTEL PACIFIC
みんなのうた

アンコール
DIRTY OLD MAN 〜さらば夏よ〜
LOVE AFFAIR~秘密のデート
ロックンロール・スーパーマン 〜Rock'n Roll Superman〜
勝手にシンドバッド

同様のファンの欲求不満を尻目にサザンはロッキンに走っていく。
GRASS STAGEでのメインバンドとしてオーラス90分歌い続ける。いつもより若い観客を60代ロックバンドがグイグイ惹き寄せるライブを私は後にwowowで観ることになった。TVの向こう側の7万人の中に入りたい!
明から暗に、照明が輝き、最後は花火で〆る。野外ライブの醍醐味である、そしてそこにサザンの曲が流れる、観客は一斉にその絵と声に飲み込まれる。夢のような世界が画面の向こうにあった。
(20180812 国営ひたち海浜公園)

希望の轍
いとしのエリー
涙のキッス
せつない胸に風が吹いてた
栄光の男
My play for music
愛の言霊〜Spiritual Message〜
闘う戦士たちへ愛をこめて
真夏の果実
LOVE AFFAIR~秘密のデート~
壮年JUMP
東京VICTORY
ミス・ブランニュー・デイ
HOTEL PACIFIC
マンピーのG☆SPOT

アンコール
みんなのうた
勝手にシンドバッド

更に紅白の松任谷由実との絡みのシンドバッド。年末の視聴率40%超え番組でサザンオールスターズのアピール指数はMAXとなる。
翌日元旦の全国紙見開きツアー宣言の効果も大きかった。まさかこれほどチケットが取れなくなるとは・・・。後に応援団(FC)会員すらチケット争奪戦に悩むことになってしまうとは。
(20181231 NHK紅白歌合戦)

希望の轍
勝手にシンドバッド

今回ライブのチケット申し込み方法は・・・、
応援団第1弾 1月15日~20日、応援団第2弾 2月15日~20日、
その後 ローチケエルアンコール、ローチケ先行、ローチケ一般、
LINE先行、LINE一般、機材解放席、注釈付席、立ち見、
マッチング、リセール、JTB指定席付ツアー、wowow招待、
三ツ矢サイダー応募、と申込み幅が広すぎて皆を悩ますことになる。

その中 FC第1弾で2会場のチケットが購入でき、その片方がサンドーム福井だった。(ちなみにもう一方はナゴヤドーム)
後で考えるとFC第1弾で取れなかった会場、特に都市圏会場はその後かなり取りづらくなってしまっている。SNSで見ると抽選での当選報告は10%も無い。ほとんどが失意の落選ツイートだ。一般に至っては5分ないし10分で完売の文字が浮かぶ。スマホを使いきれない世代にはやりきれない時代だ。

1月15日 web申込
1月29日当落発表、入金確認
4月15日近辺にチケット到着
4月27日/28日 ライブ当日チケットと身分証明書確認、座席レシート発券

という手順を経て手にしたレシートはまさかのアリーナ1列目!! ←❀
会場を進むと今まで誰のどんなライブでも手にしたことが無い最前列の柵が目の前に有った。いつもライブのDVDで見ていた柵、アーティストの目前、自分の前に何の障害物も無く180度広がるステージ、たった5メートルほどの距離にステージは在った。

サザンのライブの曲数は多い。今まで行ったどんなアーティストより長い。
16:00 開場 17:00 開演 、終わったのが 20:30 、36曲を満喫した。
サザンのライブは私の好きなディズニーと共通点がある。それは「永遠の未完成」という所。私はこのツアーの前会場には行ってないけどSNSを見ていると判る、ツアー中にどんどん内容が変わって行ってる!!
もっと盛り上がるように、もっと観客が楽しめるように、曲目が入れ変わったり、MCが増えたり、手応えを感じ取りながらマイナーチェンジを毎回繰り返す。桑田さんとNANYAさんの最強タッグ。そこに、バンメンさん、サポメンさん、コーラス、ダンサー、映像、レーザーや照明、音響、それぞれがきちんと役割を果たしていて、とても1度では観きれない。だから何度でも行きたくなる。行くと毎度の新しい発見がある。

席によってステージの見え方も違ってくる。前席には前席の、後方には後方の楽しさがある。最前列はアーティストの表情まで見えた。桑田さんの顔の皺まで見える不思議さ。いやいや皺までカッコいい。ギターを弾く時の顔の歪みは本当に恰好良い。後ろでは絶対見えない贅沢な視界が目の前に在る。逆に、アーティストには遠いけど後ろでしか味わえない客席全体の様子や光の海の変化、頭上を走るレーザー光を更にその上から見下ろす醍醐味、アーティストの足元のライト模様もアリーナでは見れないから何度か行ってどちらも味わいたくなる。

ステージの真ん中で歌うのは桑田さん。歌いながらバックの演奏の微妙な良し悪しをその耳は洩らさず聴いている。微調整のメッセージを近くは言葉で、遠くはアイコンタクトで、僅かな手しぐさで送る。まるで指揮者のように。みんなはその指示を見逃さず自分の仕事に反映する。まるでオーケストラのよう。それでも観客に緊張感は無い。楽しく、更に楽しく、笑い、泣き、体を動かす。たった1人のアーティストが1万人のサンドーム全体の中心で会場を波打たせていた。
サザンのライブは桑田佳祐が歌っているだけではない、ステージ全部のミュージカルなのだと思っている。ステージだけではないな、観客までも演者にしたててしまう本当に楽しい3時間半なのだ!!
もう行った人も、これからの人も、チケットが取れなかった人も、会場の空気を少し感じ取ってくれればと思う。

 ↓ 貼りつける!! (クリックするとツアーの写真が観られます)

<2>シブラジ ⇔ 自分 ⇔ サザン

話は戻るがこの半年足らずの間に私の中の渋谷のラジオとサザンオールスターズはかなり距離が縮まった。シブラジの中では私が誰のファンだとか誰に逢いたいとか、まるっきり余分な情報だろうと思ってたし、そんな個人的な邪念を持ってボランティアに行ってはいけないと思っていた。
ラジオ局だから、余計にそこの線をきっちりと引かないといけないと思う。
もう1つ、私は桑田佳祐が好きなのではなく桑田佳祐が作った楽曲とステージ上のパフォーマンスが好きなんだと思っていたし、自分が言わなくてもメジャーなアーティストの曲は誰かが流す、そう思っていたから敢えて好きとか言う必要もなかった。そういうものだと思っていた。

昨年10月に最終土曜19:05から「渋谷で田中直樹が」が始まった。
11月の収録の際に田中さんが1人ずつ自分の興味のある物は何かと端のディレクターから順に聞いてくれた。私は「小学生」、それと「サザン40周年」と答えた。サザンの事はオンエアには乗っていないがそういう話をしたのはその時が最初だったような気がする。その場に西本さんも居た。
西本さんとは今更だが、渋谷のラジオ制作部長、金曜責任編集、渋谷のレコード屋さんパーソナリティー、の西本さんである。

付け加えると私は渋谷に在る渋谷のラジオというコミュニティFMの金曜担当ボランティアをやっていて、毎週金曜14:00からの「渋谷のレコード屋さん」で卓を扱い、16:00からの「渋谷の大先輩」で進行を担当している。

翌月31日の年末特番のオンエア中に西本さんから「1月4日の渋谷のレコード屋さん、もしタワレコさんが来られなかったら杉本Dのサザン特集を」という話が突然出てきた。きっと西本さんのその場の思いつきだと思うけど。
が、タワレコさんが時々(ごくごく稀だが)現れないのも事実。
もしもの時の安全パイ的な指名だろうと思いながらも私の三ヶ日は持ってるサザンのCDを全部聴き直す時間となった。新年早々サザン尽くしの三ヶ日だった。簡単には選べない星の数ほどある楽曲から10数曲をセレクトした

桑田さんはどうやってライブのセットリストを決めているのだろう?!
星の数ほどの自分が作った楽曲の中で30数曲を選ぶ。そのツアーでのテーマに合わせた曲や流れを決めてセットリストが完成する。数年に一度のツアーのセットリストをどれほどの思いと時間と思考を費やすのか。

番組では10曲が流れた。サザンばかり、私の好きな曲ばかり、55分間流れ続けた。爽快。この日の為に木曜担当清水Dが卓を触りに来てくれた。感謝。
(1月4日 14:00~ 渋谷のレコード屋さん)

20190104 渋谷のレコード屋さんセトリ 全10曲オンエア
1)シュラバ★ラ★バンバ 
2)C言葉にご用心 
3)栞のテーマ 
4)BYE BYE MY LOVE 
5)EMANON 
6)NEVER FALL IN LOVE AGAIN 
7)素顔で踊らせて 
8)夢と魔法の国
9)TSUNAMI 
10)レッツゴーボーリング 

この番組をきっかけに火曜日オンエアの「渋ラジっこ、あつまれ」という番組に出させていただくことになる。テーマは「ライブの楽しみ方!」
キーワードは「サザン」「グッズ」「レコード」だ。
ラジオ(リスナーには見えない)ながらパーソナリティのすごえりさんのテンポ良い喋りでグッズを紹介、サザンのタオルを着けて「みんなのうた」を流しながら皆で手振りの練習もした。やってる自分たちが滅茶苦茶楽しかった。
レコードも掛けた。すごえりさんがわざわざこの日の為にレコードを買ってきて初卸しをした。時間が少なくて慌ただしかったがレコードもちゃんと掛かりいつもと違った雰囲気の番組になった。感謝。
(2月12日 17:00~ 渋ラジっこ、あつまれ)

4月にもTシャツテーマの番組に呼んでいただく。
ゲストは木曜出演者、10才年上の石田さん。私よりも凄腕サザンファンだった。今ツアーにも既に広島に夜行バスで行き2日間びっちり観光し、また夜行バスで帰ってくるという強行お独りさまツアーをしてきたそうだ。負けてはいられないが、勝つ自信もない。着いていきますね、石田さん。こういう先輩が居ることが頼もしく、自分もそうならないとと思う。
石田さんは次は東京ドームらしい。私は福井と名古屋、話が合いそうな予感。ここのところ地道にサザ友さんが増えていってる気がする!!
番組は「Tシャツ」「遠征」そしてコアはやっぱり「サザン」!! 
どんどんシブラジの番組に「サザン」が侵食している。私の影響か?
いやいやサザンの偉大さだ。どちらにしても嬉しい。感謝。
(4月23日 17:00~ 渋ラジっこ、あつまれ)


<3>いよいよ旅紀行 人との出逢い 初日

さてさて、私の福井一人旅で実際は何人の人と話したのか、楽しかった3日間を時間を追って書き溜めて行きたい。

サザンオールスターズ LIVE TOUR 2019「“キミは見てくれが悪いんだから、アホ丸出しでマイクを握ってろ!!”だと!? ふざけるな!!」
このツアーやたらタイトルが長い。略しようが無いので呼び名もさまざまで最終的には「ふざけるなツアー」になるのではないかと思う。
このツアーは前半日程はアリーナ、後半日程はドームでライブが行われる。
そして前半最終会場が福井、後半最初の会場が埼玉にあるメットライフドームとなる。前半が平成、後半は令和に。ここまで考えてられているなら凄い構成力だ。私は平成最後のサザンライブに参加してきたことになる。

そもそもいちばん近いのは東京ドーム(メトロで行ける)、次に近いのは横浜アリーナ(東京駅から新幹線)、次いでメットライフドーム(遠いけど日帰り可能)という順になる。なのにどうして福井なのか?!
一言でいえばチケットが取れない。何度申し込んでも落選続きでチケットが買えないのだ。FCに入ると買えるという甘い環境はサザンファンには無い。何度もチャレンジしてひたすら運任せになる。そんな中私は福井と名古屋が取れた。日帰りは無理な場所だけどチケットを買えるだけ幸せと思わねば。買いたくても買えない人が福井でも沢山紙を持って立っていた。電車とホテルと時間があれば間違いなく入れる自分は幸せと感じた。

今回の旅は米原経由だった。福井へは2通りの行き方がある。
1つは北陸新幹線で金沢に行き米原行のしらさぎで福井へ。もう1つは東海道新幹線で米原まで行き金沢行きのしらさぎで福井へのコース。
この選択で私は自分の最初の幸運を知る。出発日東京駅は多くの人でごった返していた。上越新幹線が停電の為運行中止になっていた。その連鎖で東北新幹線と北陸新幹線にも大幅な遅れが出ていたそうだ。しかも、駅構内も混乱していたのか最初の放送は東北新幹線が運行中止と流れていた気がする。

いずれにしても私の2択の選択は◎大正解だった。駅構内は人の波が縦横無尽に蠢いていてホームに辿り着くのは容易ではなかったが東海道新幹線は何事も無く予定通りに出発してくれた。新幹線が遅れるとその先のしらさぎの乗車も難しくなる。本当にラッキーだと感謝した。

改札機の前には長い列が続いていた。あそこに並ぶと多分シャリーンとするまでに10分以上かかる。私は旅行会社の紙チケを持っていたので駅員さんの非常時のスタンプを押してもらってスムーズに入れた。それでも発車までは7分くらいしか余裕が無かった。あそこで自動改札機に並んでいたら間に合わなくてきっと大焦りだったと思う。これもラッキーだと思えた。

米原駅の人の移動の波にびっくりした。新幹線を降りた人がしらさぎやサンダーバードに乗り換える時はいつものことらしい。乗り換え時間が10分ほどなので心配したがしらさぎはちゃんと待っていてくれた。
乗って指定の窓側席に座る。反対側の窓側にも女性が座ってお弁当を食べていた。その後、通路を挟んだ内側2席にご夫婦らしい人たちがやってきた。私は良かったら変わりましょうかと隣に座った女性に声を掛けた。
「いいんですか?」と訊かれたので「ぜんぜん大丈夫です!」と(昔ならちょっと不思議な日本語だけど最近は結構使い慣れている)返事をしてすぐ腰を上げた。お弁当を食べている女性の隣へと座り替えることとなった。

このお隣の女性もライブなんだろうか? サザンの同志なんだろうか? 
思い始めると確認したい気持ちになる。遠征組なら尚のこと気が合うはずなんだし、と思う。お弁当を食べ片づけを終えたお隣さんに「突然で失礼ですが今日は福井ですか?」と尋ねてみた。私は敦賀です、と答えてくれてあー違ったと思ったが今度はお隣さんが福井に行くんですか?とこちらに聞いてくれた。

私「福井でライブなんです」 女性「誰のライブですか?」
私「サザンです」      女性「私はメットライフに行くんです」
私「へー、メットライフは私は落選でした 東京ドームも、横アリも 悲」
女性「私はお友達がチケットを取ってくれて初めてのサザンライブです」
それからは書ききれないくらいのサザン話が30分続くことになる。昨年の紅白のユーミンとの絡みを見てサザンに興味を持ってFCにも入ったんだけど、チケットの取り方が解らず結果友達に連れて行ってもらうことになったそうだ。

お隣の席のご夫婦に席を換わりますと言わなければこの女性との出逢いも会話も無く私はぼーっと窓外の景色を1時間見ていたことだろう。ここにこの日の3つ目のラッキーがある。
女性とは他にもこれから会うご家族の話とか、何か初めて会った人とは思えない打ち解けた話が進んだ。初めて逢ってもう顔を合わすことも無いかもしれない人との接点の30分、一期一会、幸せな時間。
女性は敦賀の駅で降りて行った。私はその姿を窓の外に見送った。女性は気づいたかのように振り返り、まるでお友達のような親しげな笑顔で少し小首を傾げ私に手を振ってくれた。私も手を振り返した。 電車は走り出した。
これぞ旅の醍醐味ぞ! などとにんまりしてしまう。感謝。
しらさぎの残りの30分も私は幸せの余韻で楽しく景色を見ることができた。

電車はサンドームのある鯖江を通り過ぎホテルのある福井駅へと進む。福井の駅はGWだということもあり大歓迎ムードだった。イベントのテントがあり、時間が無くちゃんと見れなかったが、いろんな楽しみが詰まっていた。
ホテルに向かう。ホテルではチェックインのサインをして大きな荷物を預け腰かけ、一息をつく。私はそこでAさんと待ち合わせをしている。

Aさんは私が何年か前に高橋優ACMFの前身である秋田フリーライブで出逢った女性だ。どうしてこんなにいつも明るく、テンション高く、モチベーション上げていろんな事を熟しているのか、とひっそりとリスペクトしている。
私は今日と明日Aさんと一緒に旅をする。サザンのライブに行ったことが無いというので福井が当たったら一緒にと誘ったら気軽に乗っかってきてくれた。そしてチケットは当選して旅が実現することになった。
Aさんは車だし、ライブが終わったらそのまま帰宅できる距離なのに私の為に同じホテルに宿泊してくれて、私を乗っけて福井観光を同行してくれることになった。私はそれに応えて旅行会社で体験ツアーを調べ申し込んでおいた。おかげで本当に楽しい2日間になった。

Aさんがホテルにやってくるまでの間にホテルコンシェルジュの女性と話をする。地元のことは地元の人に聞くのが手っ取り早い。福井で有名な食べ物はおろし蕎麦とソースかつ丼と焼サバ寿司だと調べて知っていた。この3つのどれかが食べられる、近くてリーズナブルで美味しいお店が有るかと尋ねた。
同様の質問が多いのか、地図を出してホテルの位置とお店の位置に丸印を付け、ここだと5分で行けるしリーズナブルで美味しいと教えてくれた。

そのやりとりの後Aさんも到着。車を置いて商店街を歩いた。
お店のメニューにはおろし蕎麦と焼サバ寿司のセットが有った。1,000円だった。おろし蕎麦は浸け麺風だった。最後に冷たい汁に温かい蕎麦湯を入れて飲んだ。美味しかった、ばっちりだった! 自分で探してもきっと見つけられないだろう、4つ目のラッキー。しかも3つの名物の内の2つを一気にクリア。
ライブに備えてお腹も膨らんだ。サンドームは駐車場がぎっしり詰め駐車で前の車が出ないと自分の車も出すことが出来ない停め方と聞き鯖江まで電車で行くことにした。

福井の信号が縦にライトが並んでいるのに先ず驚いたが、もっと驚いたのは電車のドアだ。エレベーターのように開閉のボタンが付いていた。
なるほど! 福井は雪国だから駅ごとに全部のドアを開けていたら寒くて暖房も効かない。必要なドアを必要な時間だけ開ける為に乗客が自分で開閉するのだろう。そう言えば以前、冬に金沢に行った時に市街地の横断歩道に雪かき用のスコップが置いてあった。聞くと、赤信号で待っている人がそれを使って雪を寄せるらしい。人が歩くスペースの確保なんだそうだ。
次の人の為にという気遣いがちゃんと残っているのだな。お互いさまと言う言葉があったな。おかげさまでという言葉も昔はもっと生きていたなと思う。都会では無口な人が多くあまり人の為に行動する習慣が無い。それは本当のクールなのかな?! こういった面は少し昔還りしてもいいなと思う。

鯖江の駅に着いたらタクシーも無く店も無く、皆がせっせと一つの方向に歩いていた。道は判らなくても前に続いて歩くことでサンドームに迷わず行けた。サンドームは客席が円形でどこからでも良く見えるとネットに書かれていた。歩き進むと日本武道館のようなまーるい建物の屋根が前方に見えてきた。あれだ!! あそこだ!! もうすくサザンだ!! やたら嬉しくなった。しかも1人じゃなく今日はAさんとの連番でチケットを買っている。
一緒にライブを楽しめるから円形だしどこの席でもいい。絶対楽しめると思うと開場時間が待ち切れなかった。

サンドームの前にはチケット確認のテント、周りはグッズ売り場や応援団用のテントが有ったがその他は殺風景なだだっ広い景色が広がっていた。1万人の入場客が開場時間を待っている。係員も居ないまま入場開始時間に入った。いつもなら最後尾のプラカードを持つ人がどこかに立っていて皆がそこに向かって集まるのだがそういった人は居ない。どこが最後尾かわからないまま途切れた列に並ぶ。前後の人と本当にここなの?と不安な会話をしつつたまに前に動くその列を少しずつ歩き進んで行った。

列と呼べるきちんとした列も無いのに不思議に混乱も無く15分経つと係員のチケットチェックのテントに近づいた。福井には黒服スーツの社員さんが多く居た。毎年株主総会で会うアミューズの社員さんは男性も女性も黒服ズボンスーツで私たちを低姿勢で迎えてくれる。多分サンドームに多くの社員さんが来ているんだと思う。多いからプラカードが無くてもスムーズに進むのかななんて全然関係ないことを考えながらチケットと身分証明書を見せた後に貰った座席票にはまさかの1列目という文字が見えた。
もう一度見返した。

なぜなら先日ヒカリエで見たぬいぐるみが1,500円だと思っていたら店員さんが言うには11,500円だった、という話が噛み合わなかった経験がある。買いますと言わなくて良かった。1と1が重なって見えてたことに途中で気がついて良かったと本気で思った。だから今回も11列かもしれないととっさに思って見返したのだった。でも、サザンファンが高齢の人が多い為か、絶対間違えないような太い大きな文字がその紙に印字されていた。間違いなく1列目だった。今日5つ目のラッキーは特大のラッキーだった!!
神さまありがとうと心底膝まずきたい、ここんとこ最大のラッキーだった。

会場に入ると席案内の女性が居て座席票を見せるとおめでとうと言ってくれて座席の方向を教えてくれた。いや、もしかしたらおめでとうは無かったかもしれない。舞い上がってはっきり憶えてない。でも言ってくれた気がする。そんなふわっとした気持ちで一番前の席まで通路を進んだ。
行くと本当にほんの少し前に真っ黒なステージが在った。座るとステージはやたら高かった。でも、ライブ中はほとんど立ってるのでそんなのは関係無い。実際にも桑田さんがマイクで座ってねと言ってくれ
たメンバー紹介の時間以外はずっと立っていた。

3時間半は全然長くなかった。むしろもう終わってしまうと思った。一緒に行ってた隣に立つAさんは初サザンで知らない曲もいっぱいあるから途中で退屈になるかもしれないと多少の心配もあった。でもぜんぜんそんな気遣いは無用で私以上に楽しんでいた。ラストの曲と知ると泣いていた。私も泣いていた。ほんとにほんとにもう終わっちゃうのかと思った。もっと聴いていたいと思った。あの座席票を貰った時に時間が戻れば嬉しいのにと思った。

まだまだツアーの途中なのでセトリや感想は書き控えるが初めての人もまったく心配要らないライブなので、忙しくて予習する時間無かったなと思う人も気にせず行って楽しんでほしい。どんな人でも受け止めてどんな人の心も高いところまでふわっと浮き上がらせてくれる、細かいところまで尽くされたライブだと感じた。
1万円のチケットが全然高くない、遠征しても全然惜しくない、初めて聴いてもぜんぜん退屈じゃない、そんなエンタメ精神を見せてもらえた。感謝。

帰り道は暗くなっていたが歩く人の後ろに続いて駅まで歩くことができた。
その時に気づいたのが道脇に灯った沢山の灯りだった。灯りには手書きでメガネの絵が描かれていた。ライブに来る沢山の人の為に道しるべの火を灯してくれている、鯖江の人のさりげない温かさにこちらの心も温かくなった。
サンドームには多くの大物、有名アーティストが来るそうだ。それを観に日本中からやってくる道を知らない鯖江ビギナーさんたちへの地元の人の優しさ。こういう間接的な優しさが好きだな。自分もそういう気持ちをちゃんと持っていたい。桑田さんのいつもの言葉を。ありがとねー。

余談だが、桑田さんは1曲終わるごとに「ありがとう」を声に出して言う。
ありがとう、ありがと、ありがとね、曲に合わせて声や口調も変わり、それが曲とも一体化して聴こえる。聴き慣れた私たちはそれも含めての1曲と思って聴いているがそれほど感謝の言葉を都度都度口にするアーティストはあまり居ない。40年も歌い続けてお山の大将になっても不思議ではない存在になってる今も、ずっとありがとうを続けられる桑田さんを心から尊敬する。

2017年のツアーのお土産と今年のツアーのお土産
(三ツ矢サイダーさんからです。See you から結構待ちました。)

福井駅まで戻った。お夜食を食べたかったが居酒屋しか開いてなかったので駅蕎麦を食べた。にしんそばがとても美味しかった。駅蕎麦と言っても馬鹿に出来ない。福井県民は蕎麦にはうるさいようだ。
帰りにコンビニでデザートを買って、ホテルの部屋で珈琲を淹れて飲んだ。
美味しい。HOT珈琲は ほっ! とする。とても幸せな1日が終わった。バスタブの中で今日の幸せを振り返りまたまた にんまり してしまった。
恐竜の珈琲がやたら美味しくて可愛くて、写真に撮って貼りつける。

<4>いよいよ旅紀行 人との出逢い 2日目

福井の駅には大きな恐竜が居る。恐竜博物館もあるが遠くて行けない人もいるので駅で皆が写真を撮っている。恐竜はただ立っているだけかと思ったら動いている。近づくと鳴き声も。楽しいなー。おもてなし精心素晴らしいなー。福井が好きになった。
福井の人は人懐っこいのか、私と相性が良いのか、挨拶をしたら挨拶を返してくれて自然と会話になっていく。相手から? 自分から? よく解らないがほんとに自然と話してしまう空気感があっていろんな人と話ができた。
旅の醍醐味は続いている。

Aさんがあまりにサザンを好きになってくれたので翌朝私はホテルで自転車を借りてゲオにサザンのCDを借りに行くことにした。ゲオまでは1㌔あまり。自転車で10分ほどだった。でも、せっかく行ったのに私が行ったゲオにはレンタルCDが置かれてなかった。レンタルDVDはたくさん有ったのに。
CDは最近売れないというが借りることも無くなってきたということか。
CD売れないとアーティストさんは困るよなー。ネット配信に時代は変わっているのかな。これじゃアーティストさんより制作会社が困るのかな。ショップが困るのかな。すぐそちらに考えが行ってしまう、エコノミー主婦。
だってアーティストさんが儲からないと新しい曲が生まれないんだから巡り巡ってこちらが困ることになる。たっぷり儲けて新曲を作って皆が買って聴いて・・・という善い輪を作ってほしい。なんてことを考え走っていたらホテルに戻っていた。

朝の自転車はただの町探索の時間になった。でも知らない町を走るのは気持ちがいいからこれはこれで良い思い出になっている。
本当はCDを家から持って行こうと思っていたのに鞄に入れ忘れていた。真夜中にベッドの中でふと気づいて、翌朝入れようと思っていた。気がついたのは新幹線の中だった。思ったことはすぐに実行しなければこういうことになってしまう。その時その場でしておけば良かったのに、いつもこういう失敗をしていて一向に改善されない自分が居る。よく今まで脱落せずにやってこれたものだ。

10時にAさんとホテルのロビーで待ち合わせ。今日の予定はギューギューに有る。最初からペースを崩してはいられない。
最初に徒歩で行ける越前蕎麦倶楽部というお店に行った。集合時間に5つのグループが居た。ここでは1時間のコースで蕎麦づくりが楽しめる。プロがこねた蕎麦種を延ばして切るくらいだと思っていたら蕎麦粉や打ち粉、テレビで見たことがある大きな包丁など道具一式が各テーブルに用意されていて粉を篩にかけるところから自分たちで作らせてもらえた。
手順としては粉を篩にかける。粉を均等にするため猫の手を作ってかき混ぜる。水を3分の2ほど上から回しかけ粉に水分を吸わせる。粉がパラパラとなるよう両手で揉み落とす。後は少しずつ水を加えながら粉に水分を吸わせてまたパラパラさせるを何度か繰り返し、水分をすべて含ませたら一つに固めてこねる。こね方はパン作りに似ている気がする。手のひらの原できゅっと種を押し内側まで力が及ぶよう何度もこねる。

次は広げる。綿棒で広げて生地を回すを時計のようにくるっと1周すると種が平面になっている。次は丸い生地を四角にするよう四隅に向かって綿棒で延ばす。こんな風に四角になるんだ、面白い。こんなに薄いのにもっと延ばしてと言われる、破れないか気になるけどちゃんとこねられてるからか破れずに更に薄くなった。次は四角の半分に打ち粉をふるって折りこむ。残りの部分にも打ち粉をふるって折りこむ。また粉をふるって折る。こうやって蕎麦生地のミルフィーユっぽいのができた。

最後に切った。上に乗せた板と包丁を少しずつずらしながら切るのだが、均等にしないと太いのや細いのができてくる。難しかった。7、8回包丁を入れると纏めて粉を篩い横の木の容器に入れていった。容器に入るとそれなりに蕎麦らしい形に見えた。粉が1時間でこんな風に売っているお蕎麦のように変わるのが嬉しかった。福井に行くなら此処はお勧めしたい。
頼むと自分が作ったお蕎麦をおろし蕎麦にしてくれる。3分の2は持ち帰り用に、残りは昼食用にしてもらった。打ちたての、しかも自分が作ったお蕎麦を冷たい美味しいお出汁でいただく、こんな贅沢なことは無い。欲目もあるがこの上ない美味しさだった。昨日のお蕎麦より自分が作ったお蕎麦はもっと美味しい、と笑顔で食した。

・1鉢 250g(2.5人前)体験可能人数3名まで 2000円
・1鉢 500g(5人前) 体験可能人数5名まで  3000円
打ったそばをその場で試食する場合、おひとりさま500円が別途必要。

駐車場の時間が12時までなので急いでホテルに帰って車に乗り込んだ。
次の行先は鯖江の近くの西山公園。つつじ祭りが開催中。レッサーパンダもいる動物園がある。高橋優くんも見に来たんだよ、とAさんから優くん情報が飛び込んだ。西山公園は広かった。動物園の他に子供たちが遊べるアスレチックや広場、遊歩道、山を切り開いたのか結構急な階段もあちこちにあった。駐車場も無料で動物園も募金箱があるだけだった。100円ずつ入れて帰ってきた。家族でお弁当を持ってきたらまるまる1日遊べる公園だった。
私たちは時間が限られているので次の目的地に行くが鯖江市の人は気軽に何度でも遊びに来られていいなと思う。小さい子も楽しめる家族向け公園だった。

次なる目的地は東尋坊。車はそれほど渋滞することも無く快適に走る。
海が見えてきた。サザンのCDを持ってくれば良かった。海と言えばサザン。こんな方程式を解けない自分。Aさんの車には高橋優曲が入っていて優くんの曲を聴きながら海沿いの道を走った。そう言えば優くんの歌には海が出てこない。秋田、山内は山の中だからかな。海の曲も書いてほしい、月の曲も無いんだよな、私が知らないだけかもだけど。
優くんライブで出逢ったAさんと優くんの曲を聴きながら海辺を走って行った。Aさんは帰宅したらレンタルショップで借りてきてサザンをいっぱい入れたいと言ってくれた。サザンは多いよー、ソロまで行くとまたまた増えるよー、「奇跡の地球」とかそれ以外にもあるよー。大変だよー、でもそう言ってくれてありがとう。

東尋坊は多くの人で賑わっていた。サスペンス劇場に出てくるような寂しい岸壁という姿はまったくない。家族連れがわいわいと楽しく崖の近くを歩いて行く。子供も平気で一人で歩いてるし親はそれをスマホで追っている。
遠くで見ているこちらは危なっかしく見えるんだけど、あの場に行ってないのでその場の雰囲気がわからない。実際は足場は広くて全然不安の無い場所なのだろうか? こちらから見ると狭い危なっかしい場所に見えるのだか。
平成はバブルで始まり、デフレが進み、日本は流されたまま終わって行った気がする。流されていくと危機感は薄まる。新しい時代は少し自己啓発ができる はっ! とする時代に変わって行ってほしい。茹でガエルにならないように、自分も日本も地球も。 気がついたら・・・、となっては困る。

お土産物屋さんでお昼ご飯を食べた。私は海老といくらの小丼とラーメンのセットを食べた。昨夜のライブ会場の誰かがラーメンの話をしていて、その時からずーっと私の心にラーメンが引っかかっていたのだ。お蕎麦も美味しかったけどその時の私にはラーメンは別個の物だった。
だから躊躇いなくラーメンの付いたセットを頼んだ。これが大当たりだった! 昨日のラッキーは続いていた。普通のラーメンではなく海産物店だけあって海鮮出汁の利いた味がした。シンプルだけど美味しかった。観光客はどんなラーメンか知らないからこの味に辿り着けない。案外お客は少ない。自分たちの他に2組しか居なかった。東尋坊でラーメンセットを選ぶのは腹ペコの人か私のように特別食べたかった人だけだろう。ラーメンを頼んでない人もいるので多分ラーメンはそんなに売れてないだろう。クチコミも期待できない。

こんなに美味しいのに勿体無いなと思った。
お店の名前も覚えてないけど、半分はお土産物屋さんで半分は食堂風、
ラーメンセット@980円、東尋坊に行ったら探してみてほしい。

・・・と思ってたら、お土産物のレシートで判明。たけだ亭。
しかも梅宮さんのお店? アドバイザー? 貼りつけとこう!
よく読むと梅宮さんの辰ちゃん漬が売ってるお店だった。

最終目的地は国民宿舎鷹巣荘だ。東尋坊からは案外近い。
ここは宿泊もできる所だが私たちは今日はお風呂に入りに来ている。どんなお風呂か楽しみだ。海を見ながら入れるお風呂らしい。
駐車場に入ると誘導のおじさんが声を掛けてくれた。福井の人は本当に人懐っこい。玄関を入り、タオルを借りて速攻お風呂場に。
海を見ながらと言っても海が見える場所にあるだけで海を見ながら浸かれるわけではないだろうと思っていた。浴場に入ると浴槽がありガラス張りだといっても普通はそこまで。だが、ここは違っていた。浴槽の向こうに扉がある。浴槽の隣にではなく浴槽に浸かるとその先に扉があり、ガラガラとそこを開けると向こうに更にもう1つ浴槽が見えていた。

その浴槽の向こうは本当に外だった。木造の小屋のようなお風呂。海側の雨戸のような木の戸が開いていてその向こうには180度の海と水平線、釣りをしている人たち、走る船、ボート、すべてが目の前に在る。窓ガラスも無いので海沿いの道に座って見ている景色と一緒だがそこはお風呂なのだ。温かいお湯の中で一面の海の様子を私たちは見ている。海までの距離は30メートルくらいかな、でもすごく近くにあるように感じる。こんなお風呂に入ったのは初めてだった。

Aさんと話しながら20分くらいはぼーっと景色を見ていた。茹っていた。
茹っているのも気づかないくらい絶景だった。室内の湯船の温度よりかなり低いのは長湯をする人が多いからだろう。曇っていたので海の色は緑色をしていた。晴れていたらもっと真っ青になっていたのかもしれない。太陽さんさんと輝く海の景色もまた見に来たいなと思った。福井には楽しませてくれるスポットが沢山ある。「おもてなし」の言葉が似合う地だなと思った。
お風呂上りにフルーツ牛乳があった。最高だった。お風呂屋さんには牛乳が必要。フルーツ牛乳とコーヒー牛乳も必要。飲んでも飲まなくっても必要。
入湯料@510 バスタオルレンタル@100 タオル@150 牛乳@100円台

朝の自転車から数えると5つの楽しみを終え、車はまた福井駅へと向かう。
Aさんとのお別れの時間が近づく。年を取ると本当の友達が見つけにくいと良く聞くが有難いことに私は50過ぎて東京に出てきた割りには沢山の新しい友人に恵まれている。Aさんもその1人で友人になってもらえてとても嬉しい。2日間も私にお付き合いしてくれて本当に感謝している。楽し過ぎる時間をありがとう。午後7時、Aさんはいいというのにホテルの正面まで車で送ってくれておうちに帰って行った。用事がなければもう1日居たいくらいとも言ってくれた。げに、ありがたや。ほんとに、ありがたや。

<5>いよいよ旅紀行 人との出逢い 3日目

忘れない間にと思って一気に書いているが思い返すという作業は案外負荷が大きいのか、指先と頭が疲れてくる。昨日の事なのに油断すると出てこなくなる。

ライブの前日は緊張、ライブの日は感動で夜はあまり眠れてなかった。
2時間ごとに目を覚まし熟睡できてなかった気がする。2日合わせて7時間か8時間くらい。シニアの入り口には辛い。と思っていたがこの夜は良く眠れた。健康な生活には睡眠と栄養と運動、元気の基である。だからたっぷり眠れて元気になれた。心も晴れ晴れ。

今日の観光の前にもう一度駅前の恐竜に。朝食の時には雨がぽつりと落ちていたが、雨はあがり明るくなっていた。どうやら今日の天気は曇りらしい。
恐竜の道向うにある交番には大きな文字が。
「おれおれと 言う人きっと 赤の他人」聞いたこと無いこのフレーズ。
福井の人が考えたのかなー。恐竜も元気に吠えている。
駅前の広場ではチアダンスのグループが軽快に踊っていた。案内のチラシをくれようとしたが勿体無いのでお断りした。貰っても多分行ける時間が無いのでそのチラシは他に生かしてほしい。恋ダンスを踊っていた彼女はキレキレダンスで可愛かった。私のいちばん近くで踊ってくれてたので印象に残っている。

今日は福井駅にあるウエルカムセンターに10時に行くことになっている。ネットで見つけたのだが、ネットクチコミでもお勧め度の高いこの体験を予約していた。専門の観光案内の人が一緒に町を歩いて説明をしてくれる。私は1人で申し込んだので女性を希望しておいた。10時に行くと今日案内してくれるBさんが待ってくれていた。コンベンションセンターで幸‐FULL TICKET という3枚つづりのピンクの可愛いチケットを貰いBさんと一緒に外に出た。
雨が降った時の為に傘も貸してくれた。ホテルでは自転車を無料で借りた。おもてなしサービスはここでも続いている。
コンベンションセンター 案内+チケット@1500円 
幸‐FULL TICKETのみ@1,000円

私たちは北方向に歩き始めた。
まず連れて行ってもらったのが「北の庄城址・柴田公園」。
柴田勝家が築造した北ノ庄の遺構の上にあり、徳川期に結城秀康がその遺構を大胆に改変し福井城を造営したと言われている。
結城秀康は徳川家康の二男として生まれ秀吉の所に養子に行った為、秀吉の秀、家康の康を取って秀康と名付けられ、その後結城家の婿養子に入り結城秀康となったそうだ。
元となる勝家は船橋という小舟を横にして繋いで向こう岸に行ける橋にしたり、橋を木造と石造(笏谷石)に真ん中で分けて造り敵が攻めてきたら敵方の木造の部分を燃やす策者だった。
北の庄公園は勝家の子孫にあたる画家の平山郁夫さんが揮毫した記念碑がある。柴田公園には朝井三姉妹、茶々、初、江の三人が建った碑もある。

次に向かったのが「福井城址」で、ここは今は福井県庁となってはいるが存在した城と今の町並みを重ね昔の城の存在を感じられるように上手にいろんな工夫をしてくれている。今の町並みに透明の昔の城の図を重ねるシートがあったり、アプリを取り込んでその場に立てばスマホをかざした辺りの昔の景色が見られるサイトなどアイデア満載だ。

笏谷石は近くの町で昔取れていた石で城のいたるところに使われている。
その石がうっすら緑色で水に濡れると濃緑になることも知った。城の石垣も同じ大きさで同じような四角い石が上手に組み上がっていて技術と律義さを感じた。もっともそれら1つ1つが案内のBさんから聞いたことであって、自分ひとりで町歩きをしていてもきっと気づかず綺麗な景色に見とれ通り過ぎていたに違いない。福井城に入る橋の左右に積まれた石の違いも言われないと気づかない。見ると一目瞭然、右側はきちんと削られ四角に整えられた石、左側は四角だが積むと隙間ができ右の石積みと見比べると明らかに違う。だがそれも横を見ずに進むと気づかないまま終わる。

お堀の水も定期的に抜くという。池の水を抜く番組の話をしたらBさんはこの堀の水はもっと昔から抜いて掃除をしているのだと教えてくれた。
真面目、律義、几帳面な福井の人々の性格なんだろうと思う。それを当たり前と思っているのもまた福井の人らしい。
県庁に行くと日本100名城スタンプを押してもらえる。城好きの人には有名なのか何人もスタンプに集まっていた。私も戴いて帰った。

福井城の上の方に上がると丸い井戸が有った。笏谷石で造られた丸井戸は昔のまま数年前に復元されたのだとか。井戸は福井の原点なのかも。福井の名の由来にもなっていて、「福の居」「福の井」今の「福井」になったのだと教わった。この井戸の隣で美味しいお茶もいただいた。

屋根の付いた橋とか、赤屋根だとか、真ん中で素材が変わる橋とか、石垣の積み方とか、今日はお堀の水が多いとか、1人で歩いていたのでは気づかないことを教えてもらえる。そして、この案内システムの素晴らしさは私たちが気軽に依頼できることなんだと思う。直接ネットでポチるだけで申し込み完了なのがありがたい。Bさんに尋ねると今日は私1人だったけど多い時には20人の団体を受け持つこともあるそうだ。それは大変だ。はぐれる人が居ないか考えるだけでも余計な気を遣う。全員が楽しんで帰ってくれるかも気に掛かる。

そんな私の単純な質問にも案内のBさんは嫌な顔もせず返事をくれ、世間話も織り交ぜながら福井の町を歩いた。
次に連れて行ってもらったのは「福井神社」だった。
Bさんに御朱印をいただける所があれば教えてほしいと最初にお願いしてあったので、今日は柴田神社、佐佳枝神社と御朱印をいただいてこの福井神社が3社目だ。福井神社には私が参った時には他の参拝者は誰も居なくてこの神社の方と落ち着いて向き合える時間があった。
御朱印の書者のことをいつも思うがどうしてこんなに綺麗な字が書けるんだろう、どうしてこんなに綺麗な筆扱いができるんだろうと感心する。私もあんな風に書けたらどんなに気持ちが良いだろう。

出しゃばりの自分の性格は時には良い方に転ぶ。この方と御朱印について少しお話ができた。この方は書の師範なのだそうだ。そうだろうな、そうじゃなきゃ神聖な神社に遠方から目的に来ていた人が私みたいな下手な字で書いてもらったらありがたみが全く無い。
戴いた御朱印は心のこもったありがたい字に読める。この方は毎月御朱印に神社の季節感を出すように4月は桜、5月はまた別の花を押し絵してくれるそうだ。そして平成最後の今日は日付が金色の筆だった。明日からは令和と書くが間違えないか心配と仰っていた。駅から少し離れているので人が気づきにくいが福井神社の御朱印は価値がある。他の神社の方もそれぞれ心がこもっているのだと思うけど、こうしてお話相手をしていただくことで伝わってくる。なので、並べて写真を撮らせていただいた、貴重な写真を貼ろう。

福井神社は松平春嶽を祀った神社。Bさんは他は忘れても春嶽さんは覚えて帰ってと言っていた。それほど福井の町には大切な方だったらしい。
福井神社は1957年にコンクリート造で再建された一見美術館のような趣のある神社で良く見ると鳥居も石ではなくコンクリ造なのが珍しい。ネット検索してもあまり出てこない地味な神社ではあるが建造物としてもこの神社は一見の価値ありだと思う。建築を目指す若い人にぜひ目にしてほしい。そして御朱印もいただいてほしい。

最後に行ったのは「養浩館庭園」だった。
此処は殿さまの別邸で半分はおもてなしの間、半分は自分たちの間、という風に分かれていた。私たちは此処でお茶をいただくことにした。美味しかった。お懐紙に乗った和菓子(今日は鯉のぼりの焼き印)と、12年前の亥年に作られたちょっと三角に近づく両手にころんと納まる形の茶碗、久々に目にした袱紗を畳んでいる様とお棗を拭く様。景色は殿さまがご覧になっていた鯉が泳ぐ大きな池。優雅の一言に尽きる。

寂しいのはこのGWの最中、あまり人が居なかったこと。この庭園は海外の雑誌が選ぶ日本の公園ベスト10に毎年入る立派さなんだそうだ。行くとその立派さが本当に身に沁みて解る。この景色を味わう人が少ないのが勿体無いなと思う。今年は3月16日と17日にライトアップもあったそうだ。知らない人が多くこんなに見事な立派な庭園を管理している福井市が可哀そうになった。もっともっと積極アピールして沢山の人に観てほしいと初めて行った私でも感じた。多すぎても風情は無くなるけどGW中にあの人数はあまりにも寂しいし悔しい。それほど素敵なスポットだった。

ちなみに写真の割れた橋は実際は割れたのではなく、当時7対3で2つの石を組み合わせるのがお洒落だったらしい。池の周りの小道に並んだ置き石も種類の違う石を並べて色や石模様を見て歩く楽しさを考えたモノ。お殿さまの別邸は随所にこんな遊び心が見てとれた。
入園料@210円 お茶席(菓子共)@500円 

先に書いたがこの別邸も「おもてなしの為に豪華に飾られた半分」「自分用の質素な飾り気ない半分」とスペース分けされていて決して派手な生活を好むのではない殿さまの性格を現わしているように思う。
畳みに座りこの池を眺めその上に光る月を眺め、また月が映る池を眺め、そんな殿さまの姿、決して贅を尽くす暮らしではなく物より心を大切にする殿さまがここに座っていたのではないかと想像する。
ここにもっと座って居たい、そう思える場所に連れてきてもらえた。

福井の町は空襲や震災を重ねて被災しそこから立ち上がってきた町なのだそうで人々は秘めたる我慢強さや行動力があるのかもしれない。
私が行って感じた福井は穏やかで人懐っこくおもてなしや気遣いがさりげなくできる町だった。東京からだと新幹線で乗り換えて行くのがとても大変だというイメージがあった。でも良く考えると今回ひかりで米原まで2時間10分、しらさぎで1時間と3時間半あれば到着できた。物価も安いし、人は親切だし、福井サンドームは良い会場だったし、また誰かのライブがあれば行きたい気持ちは結構大きい。
今回行けなかった養浩館隣の郷土歴史博物館もお勧めだそうだし、火曜定休で食べられなかったヨーロッパ軒のソースかつ丼も総本店で食べたい。全然知識不足だった春嶽さんや秀康さんのことも少し学んだ後ならもっと興味深く見られるだろう。

福井は町並みがきちんと整備されていたり、建造物も忠実に昔を再現させていたり、交通に関してもJR、えちぜん鉄道、路面電車など町を歩いていても楽しかった。海の方にも足を伸ばせば楽しみが更に広がる。また行ってみたい、電車で来てもあちこち行ける楽しい町だった。
今回はサザンオールスターズのライブチケットがたまたま買えたから行った地だった。次はたまたまではなくサンドームを目的にその周りも含めて観光してみようと思う。

今回の旅も1人で出かけて現地で沢山の人と出会い話して一緒に行動してという楽しい旅になった。出逢った人に感謝、書いてないけど話した人々が実際は他にも沢山居る。それぞれが楽しいプチ思い出になっている。再会できた人にも感謝、最初の出逢いがありまた出逢う、互いが憶えていること、それこそご縁だと思う。何度すれ違っていてもご縁の無い人には気づかないし気づかれない。記憶にあることが嬉しい。思い出し懐かしく語れることが幸せだと思える。またまたそんなことを実感しに行った今回の福井への旅だった。

ライブ遠征は楽し。
たかがライブでそんな遠くまで?! と思う人も居るかも知れない。
でも、ライブをきっかけに今まで行こうと思ってなかった場所に行き、そこに行かなければ会えなかった人と出逢い、話したからこそ知ることがあり、
そう考えるとライブ遠征も捨てたものではありません!!
元をただせば、サザン! そこから広がる旅の思い出。運、ご縁、幸せ。
皆さまにありがとう。感謝です。(すぎもと)



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