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サカキシンイチロウのおいしい手帖

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おいしいお店。おいしい料理。 愛着があってずっとこのままでいてほしいなぁ…、と心から思える宝物みたいなお店や料理を紹介します。
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2019年7月の記事一覧

四谷八竹の茶巾寿司

四谷三丁目から家に帰る途中にある大阪鮨の老舗の八竹。 朝、通勤時にお店の前を通ると、かんぴょうや椎茸を炊くおいしい匂いが通りにまでも漂ってきて、お腹を鳴かすお店でもある。 中に入ると奥へ奥へと厨房が広がるお店で、職人さんがいつも5、6人ほども働いている。 手前の方にはテーブル4つ。 そこで食事もできるのだけど、ほとんどがお土産ものとしてテイクアウトされていく。電話で予約する人たちも多くて、お彼岸どきなんて折り詰めが入った紙袋が引き取られるのを待ってズラリと並ぶ景色が壮観だ

築地で食べるフォーシーズンのスパゲッチ

築地で食べるもの。…、といえば寿司とか刺身とか焼き魚とか、魚にちなんだ料理って相場が決まっていそうなものだけど、スパゲッティもおいしかったりする。 たしかに築地のムードをたのしみにくる人たちは寿司とか焼いた魚だとけれど築地の人たちが毎日魚ばかり食べているかというと決してそんあことはなく、だからカレーであったりスパゲティーであったりがおいしいお店がいくつもある。 例えば、フォーシーズンという喫茶店。 朝早くから営業していて、けれどスパゲッティを注文できるのは9時半から。それを

出会えてよかった…、としみじみ思う原宿の「眞」、サヨウナラ

好きな店が閉店してしまう。 さみしいコトです。 理由はいろいろ。人気をなくして閉店を余儀なくされたというのでなく、お店をやってる人たちの高齢化とか健康上の理由とかでお店をしめるという例が、最近増えてる。 飲食店が大量に生まれたのが1970年から80年にかけてのことで、それからすでに40年から50年。 創業した人たちはかなり高齢。 その後を引き継いた人たちにしてもそろそろ引退準備をはじめて当然という、今はそういう時期なのですネ。 ボクのお気に入りの店のひとつがまもなく閉店。

日本一ユニークなバフェレストラン、スカイ

ニューオータニホテル本館の最上階の「スカイ」で夕食。 日本は言うに及ばず世界的にみてもユニークなバフェレストラン。 広い空間に独立したオープンキッチンが3つ作られ、調理人が作ったばかりの料理が並ぶ。一番小さなキッチンは寿司カウンター。鉄板焼きのキッチンがあり、一番大きな厨房では天ぷらや中国料理、洋食なんかが作られる。バフェというより、専門店をはしごしているような気持ちになるレストラン。 それ以外にも前菜やサラダ、スープが置かれたカウンター。デザートバーがしつらえられてて、そ

炎で焼かれるスパルタステーキ、素敵庵

おいしいステーキの解釈にはいろいろある。 直火の遠火でじっくり時間をかけて焼き上げ、外はカリッと芯はロゼ色。 断面をみるとまだ芯は生のようにみえて、けれどしっかり熱が入ってあたたかい。 それを素手で持つのがためらわれるほど熱々にしたお皿にのせる。 ずっと肉の温かい状態は守られる。 けれど必要以上に熱が入りすぎないで、シェフが企んだおいしい状態をたのしみ続けることができるステーキもある。 その佇まいは静かで端正。 肉のおいしさをしみじみ味わう、お行儀の良い料理でもある。 一

雨の日のファーストゲストになってみる…。

雨の日の季節です。 どんな有名店でも、どんな人気の店でも雨の日は緊張するもの。 雨の中を果たして店までワザワザやってきてくれるだろうか…、とドキドキハラハラ。 一方、オフィスビルの中に入った飲食店の人たちは、今日は忙しいに違いないと逆の意味で緊張します。 雨の日には、ファーストゲストになってあげようとランチ休みを繰り上げて、オキニイリのお店の開店と同時にドアをあけようとそわそわします。 それもなるべく元気でノリのいいお店。 今日も雨の日。 「スモークハウスというアメリカ」

ソーセージが甘やかされてるホットドッグ

ホットドッグとはソーセージをおいしく食べる工夫の料理。 ドッグロールやドッグブレッドがでしゃばることなく、ソーセージの引き立て役に徹することが必要で、ただそのためには主役のソーセージが本当においしいものでなくてはならないんだ…、ということをしみじみ思い知ることができるホットドッグの話をしましょう。 新宿に「ベルク」という店がある。 セルフサービスで荒っぽい言い方をすればビールが飲めるドトールコーヒーみたいな場所。けれどこの店ほど新宿らしい場所はほかにないんじゃないかと思う