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築地で食べるフォーシーズンのスパゲッチ

築地で食べるもの。…、といえば寿司とか刺身とか焼き魚とか、魚にちなんだ料理って相場が決まっていそうなものだけど、スパゲッティもおいしかったりする。
たしかに築地のムードをたのしみにくる人たちは寿司とか焼いた魚だとけれど築地の人たちが毎日魚ばかり食べているかというと決してそんあことはなく、だからカレーであったりスパゲティーであったりがおいしいお店がいくつもある。
例えば、フォーシーズンという喫茶店。

朝早くから営業していて、けれどスパゲッティを注文できるのは9時半から。それを狙って来た人たちがそろそろ一巡。食事を終えるタイミング。

氷の入ったお冷のグラスとサラダがまずはやっってくる。パリパリレタスにほどよく甘くほどよく酸っぱい昔トマトにゆで卵。千切りにしたニンジンが彩り添えてドレッシングもやさしい味わい。

和風スパゲッティが人気です。
ほとんどの人がそれを目当てにやってきて、ボクもそれ。
厨房の方からジャジャッジャジャッと麺や具材を炒める音がやってくる。
炒め仕事がそろそろ佳境にはいったのか、ひときわ大きな音と一緒にカシャカシャクワンと鍋が擦れる音がする。
そして到着。

スパゲッティの麺をすっかり覆い尽くすほどにたっぷりの刻んだ大葉に海苔。湯気が上がってレンズが曇る。
麺を持ち上げひっくり返すとまたおびただしい湯気が出てくる。細めの麺にしいたけ、玉ねぎ、ピーマンそれからソーセージと具材がゴロゴロ転がりだしてお皿の上をにぎやかにする。

アルデンテではないのだけれど噛みごたえのある麺は甘めのしょうゆ味。具材も麺も軽く焦げてて風味がよくて、こんなスパゲッティって日本にしかないだろうなぁ…、って思う。

途中でタバスコをバシャバシャ、これでもかってかけると酸味と辛味で味がひきしまる。
それにしても大葉がモサモサ、唾液をねだる。みずみずしい料理が溢れる日本にあって珍しいほど乾いた食感で、飲み込む前にひたすら顎を使って味わうことになるんだけれどその食感がこのスパゲッティ一番の特徴。そしてその特徴がボクは好き。

ちなみに日本人は欧米人に比べて、唾液の分泌量が少ない。
だから日本の料理はみずみずしい。
欧米の人たちの感覚では、みずみずしさを通り越して水っぽくさえ感じるともいう。パンの違いが象徴的で、日本のパンは口どけ勝負。けれどバゲットにしてもフォカッチャにしてもそっけないほどに痩せてて乾いて、唾液を一切合切奪ってく。
唾液分泌の少ない理由は、キスの習慣があるやなあしか…、なんだともいう。そして何故だか、ボクは唾液の分泌が還暦の今にあってもたっぷりです(笑)。

麺と大葉と具材をしっかりからめて食べたつもりなのになぜだか具材がたっぷり残る。アイスティーをお供にパクリ。朝のお腹ができあがる。

それにしてもひさしぶりの築地場外。市場のメインは豊洲に移ってしまったけれど、あいかわらず築地はにぎやか。
そもそも観光地としての築地のにぎわいは場外が作っていたようなものだから、お役所さまが市場は向こうと号令かけても人は集まる。オモシロイ。


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