見出し画像

契約自由の原則と前提となる能力 宅建試験40点を目指す講義NO.2 

1.契約自由の原則の前提となる能力

(1)契約自由の原則

基本的に、我々は、契約をするかどうか、誰と契約をするか、あるいは契約の内容を自由に決めることができます(民法第521条第1項)。これを契約自由の原則と言います。
契約自由の原則は、改正前民法には規定がありませんでしたが、改正民法において明文化されました。

第521条「何人も、法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決定することができる。
2 契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定することができる。」

契約を締結した当事者は、契約を守る義務が発生します。
ただ、この契約自由の原則の前提には、一定の能力があることが必要です。能力がない者に法的な責任を求めるのは過酷だからです。
そして、民法上、自然人の能力には、3つの種類があり、①権利能力、②意思能力、③行為能力の3種類の概念に区分しています。

(2)契約自由の原則の前提となる能力


①権利能力

権利能力とは、権利や義務の主体になり得る資格を言います。
この権利能力は、人であれば、生まれてから亡くなるまで、この資格を有するということになります。

民法第3条第1項「私権の享有は、出生に始まる。」と規定されています。
私権というのは、民法上のさまざまな権利のことを指します。

出生前の胎児については、注意が必要です。
出生前の胎児は、原則として権利能力を有しないこととされています。
しかし、相続・遺贈・損害賠償については、出生前の胎児であっても権利能力を持ちます。
要するに、民法では、胎児の権利能力について例外を設けており、不法行為に基づく損害賠償請求(法721条条)、相続(法886条)、遺贈(965条)の各場合においては、胎児は生まれたものとみなされます。
このような規定が定められているのは、胎児が出生した時に不利益を受けないようにするためです。

民法第721条「胎児は、損害賠償の請求権については、既に生まれたものとみなす。」

ここから先は

3,264字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?