和食居酒屋『酒井商会』が、noteをはじめた理由
はじめまして。和食居酒屋を2店舗営んでいる酒井英彰といいます。
簡単に私の自己紹介をすると、ワーキング・ホリデー先のオーストラリアで、料理人としてのキャリアをはじめました。
帰国後、湘南のフレンチレストランで経験を積んだあと、様々な飲食店を展開するzettonで料理長をつとめながら経営を学び、『並木橋なかむら』で3年ほど和食を学んだのちに独立しました。
2018年に渋谷で『酒井商会』。2020年に恵比寿で『創和堂』を開店。
また、このふたつの店を経営する会社として、株式会社酒井商会を立ち上げました。
私たちは、旬の食材を用いた和食の美味しさ、自然派ワインや作り手の顔が見える日本酒や焼酎、心からくつろげる和やかなひと時を、お客さまにもたらしいと思っています。
また、そのひと時を彩る会話の楽しみや、そこに生まれる人の輪も、食が生むかけがえのない豊かさです。
和を仕立て、
話を添え、
輪を生むような、
そんな存在でありたい。
そんな想いで、私たちはお客さまをお迎えしています。
一緒に働くみんなに、酒井商会の”根っこ”を伝えていく。
さて、そんな酒井商会がnoteをはじめました。
その理由とは、酒井商会で働くみんなに「自分の考えをしっかりと伝えたい」と思ったからです。
いま、酒井商会では一緒に働く仲間が増えています。
ここで働きたいと思った理由を聞くと、「いつかは料理人として独立して、酒井商会のような店を自分でやりたい」と答えるメンバーが多くいます。私はそういう想いをもつ人は大歓迎で、酒井商会が彼らの夢を実現するための成長の場になれたら嬉しいと思っています。
また、純粋に酒井商会のあり方に惹かれて、ここで働きたいと思ってくれたメンバーもいます。私は、そういう思いをもつメンバーたちと一緒に、酒井商会と創和堂を末長く愛される店に育てていきたいと思っています。
酒井商会で働くみんなは、私がいかに細かいかを知っていると思います。
おしぼりを出すタイミングひとつとっても、お茶の出し方ひとつをとっても、かなり細かく繰り返し伝えています。その言葉の裏にある意図は何なのか?
また、酒井商会では、料理やお酒はもちろん、器などの食器、お店の内装や外装に至るまで、全てのことに意図が込められています。
普段一緒に働くなかで口頭で共有できることもあるけれども、忙しい営業時間のなかでは、伝えるのが難しいこともあります。また、文章として丁寧に自分の考えをまとめていきたいとも思いました。
酒井商会で働くそれぞれが、自分のやりたいことに近づくために。
このnoteでは、私の言葉の裏にある酒井商会の”根っこ”を、文章で伝えていきたいと思います。
飲食店で働く人たちに、何か”気づき”を与えられたら。
また、そのための場所として、noteを選んだのには理由があります。
それは、飲食店で働く人たち。特に、「いつか自分の店を持ちたい」と思っている若い料理人の方たちに、何かしらの気づきのきっかけになれたらと思ったからです。
酒井商会も創和堂も、他の飲食店で働く若い方たちがよく訪れてくれます。
私は、同じ飲食人として、そういう方々を仲間のような気持ちで接しています。
私も独立する前は、料理人として働きながら、休みの日は勉強のためにいろんなお店に足を運んでいました。そこで学んだことが、確実にいまの自分の礎になっているので、自分も若い料理人の方たちに何かを還元してあげられたらという想いがあります。
ただ、同業者で来店してくれる方たちの多くは、「どれが看板料理なのか?」「このお酒は、どこのものか?」「この器は?」といった表面的なことが主に気になるようです。
本当に知るべきは、そのお店の根っこにある考えだと、私は思います。
料理もお酒も器も、お店を形づくるひとつのピースです。それだけをマネしても、同じような価値をお客さまに提供することはできません。
どういう考えで、それぞれのピースを編んでいくのか。その真ん中にあるものを掴むことが最も大切だと、私は考えます。
とはいえ、はじめて訪れたお店で、根本にある考えを根掘り葉掘りと聞くのは難しいですよね。だから、noteで公開してしまおうと思いました。
基本的に、このnoteは酒井商会で働くみんなを読者と想定して書いていきますが、酒井商会に興味を持ってくれている人たちにとって、私たちの考えに触れることのできる場に育てられたらと考えています。
料理人は、お客さまに寄り添う”サービスマン”であれ。
最後に、私のお店づくりにおける基本的な考えを書いて、初回となる今回の記事を締めたいと思います。
私たちは、料理やお酒はとことんこだわってますし、おいしくて驚きのあるものをお出しするために日々研鑽を重ねています。
ですが、それ以上に大切に考えているものがあります。
それは、お客さまが心からくつろげて楽しめる時間です。
いつも仕事で数万円の会食を食べにいくような人たちが、気の置ける友人や家族とゆったりと食事やお酒を楽しめる。肩肘張らずに、豊かな時間を味わえる。そんな空間をつくりたいと思いました。
居心地がいい店。
何度でも通いたくなる店。
大切なひとを連れてきたくなる店。
そういう風に、酒井商会を語ってくださるのが、私は一番嬉しいんです。
そのためには、料理やお酒だけでなく、お店の空間づくりや、私たち料理人やスタッフのひとつひとつの振る舞いがものすごく大切になってきます。
"料理人はただ美味しいものをつくればいいのではなく、常にサービスマンであれ"
私は、酒井商会で働くみんなには、いつもこう伝えています。
これから、酒井商会のnoteでは、私の考えを詳しく語っていきます。
いま一緒に働いている仲間たちにも、これから出会う仲間たちにとっても、酒井商会の根っこにあるものに立ち返る場所として、このnoteを育てていきます。
<編集協力:井手桂司>