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ドラマ「正直不動産」第8話を、不動産業界の中の人が見た実際のところ

NHKのドラマ正直不動産、第8話は地面師について。
それでは今回も業界人として正直に語ってみましょう。
まいど私、嘘がつけませんので。

地面師

不動産所有者になりすまし、不動産業者やデベロッパー(開発業者)を騙して不正に金を稼ぐ詐欺師のことです。
通常は一人ではなく、主犯格を中心に数名のグループで活動しています。
所有者の身分証を偽造してなりすますのは当たり前。
その家族や関係者にもなりすまして集団で襲い掛かってきます。

基本的には実在する所有者とその関係者になりすました上で、所有者のふりをしてその土地を売却します。
もちろん実際には所有者本人ではないので所有権移転はなされないのですが、取引の相手方は所有者もどきを信用して土地代金の支払いをしてしまいます。
その土地代金をまんまと受け取り、直後から行方をくらますというのが地面師の常套手段です。

地面師事件として有名なのは2017年の積水ハウス事件ですね。
ウィキペディアにもなっています。

都心部の一等地の売却話。
そんなオイシイ話は、他のデベロッパーに出し抜かれたくないというのが心情というもの。
他のデベロッパーより早く契約をしてしまいたいという焦りを上手に誘発し、地面師側の不審点をごまかしやすくするというのも手口の一つです。

上記の積水ハウスはなんと約55億円を騙し取られました。
他にもアパホテルなんかも12億ほど騙し取られています。
大手企業なんて一見するとしっかりしてそうな感じがしちゃうと思うのですが、中の人はみな同じ人間です。
同業他社と競い合う中での儲け話は是が非でも自社で取りたいと思ってしまうものです。
歩合制の人なら尚更ですよね。
冷静な状態なら簡単に見抜けそうな事案でも、焦りがあると誰しも抜けや見落とし、勢いで進めてしまうなど普段ならやらないミスを犯してしまいがちです。

地面師の具体的な犯行手口が知りたい方はこちらの書籍がオススメ。

積水ハウス地面をはじめ、国内の大型地面師詐欺事件の全貌を追ったレポートです。
犯罪ですが、いったいどうやったのかなどその手口や背景に好奇心が刺激されて一気に読んでしまう魔力がありますよ。
オススメです。

実際、不動産取引の現場では、信じられないくらい短期間で契約することがよくあります。
個人間売買でもあっという間に契約してあっという間に数千万円の支払い、といったことがよくある業界です。
私はこのスピード感があまり好きではないのですが・・・。
あまりに契約や決済を急ぐこの風潮、なんとかなりませんかね。
こういうスピード感がトラブルを生んでいる面もあると思います。

正直言って、不動産取引は扱う金額のわりにチェック体制が甘いと思います。
騙そうと思えば騙せてしまうのが現状ですし、騙されやすいというのも間違いない事実です。
だからこそ不動産業者には高い遵法性・道徳感が求められますし、誰のために、何のために仕事をしているのかを常々考えて行動しないと簡単に騙されたり、あるいは自分がダークサイドに堕ちることにもなりかねません。

私の地元は都心部ではないので、地面師が暗躍するような事件に遭遇したことはありませんが、詐欺まではいかずとも狡い取引を提案されることは時々あります。

皆さん、欲に流されず、冷静な視点を忘れずに過ごしましょうね。

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