経済対策の目的と意味 ~ 中長期ビジョン実現のための第一歩 ~
政府が経済対策を発表しました。
一般会計、特別会計を合わせて、「真水」と呼ばれる総額が29.6兆円の規模になりました。
今回の経済対策は、コロナ感染症の負の影響が残るなかで、ロシアによるウクライナ侵略と円安を背景とした国際的な原材料価格の上昇に伴うエネルギー・食品等の価格上昇に対応することが主要な目的の一つです。
■ 物価高騰への対策
モノの値段が上がっていくという状態を30年以上も体験したことがない日本で、久しぶりのインフレとなっています。
しかもその変化が早く大きくなっているので、日本経済のためにも対策を打つことが求められます。これが目の前の対策です。
例えば、すでに行われているガソリン料金への補填や来月1月から始まる電気・ガス料金などへの補填などが、この政策にあたるものと言えます。
また、「ゼロゼロ融資」と俗に言われる無利子無担保融資の借り換えなどの政策もその一つと言えると思います。来年から返済が本格的にスタートするので、それによる倒産などが心配されています。
わかりやすいので、テレビ・新聞などで報道されているのは物価高への対応に関する部分が多いですが、実は、今回の経済対策は中長期ビジョン実現のための第一歩という意味もあるのです。
■ 中長期ビジョンの目的
新技術と成長分野で開発し、国際競争力をつけることにより、日本経済を復活させようというものです。そのために今回の対策では、研究開発・イノベーションにはしっかり予算をつけています。
分野にしても、量子、AI、情報通信、半導体、バイオ、エネルギー、マテリアル、健康・医療、創薬基盤整備、宇宙開発、海洋開発など幅広くなっています。
そしてこれらの分野に人的資源も導入して、日本を引っ張っていく産業に育てようと考えています。
■ リスキリングと給与アップ
そこで今回は、この雇用・労働移動の分野にも踏み込んでいます。
AIやロボットなどの活躍で人手が要らなくなる業界がある一方、成長分野では人不足が顕著です。とはいえ、全く異なる分野の仕事をすぐに担える人というのはわずかです。
そのため、成長分野で職を得ようとする意思のある人たちに能力をつけてもらい、転職を促進する支援を行います。リスキリング(再びスキルを身に着ける)と言われている施策です。
また転職した後には、以前より給与が上がるという図式をつくっていきたいと考えています。
日常の復活を目指し、雇用調整助成金の政策も徐々に割合を減らしていき、労働移動が起きやすい環境をつくっていきます。
このように、中長期的には技術開発を中心とした経済をつくってこうという大きな狙いを秘めている対策ということです。具体的には、この対策は大きく4つの柱からできています。
■経済対策4つの柱
1)物価高騰への対応と賃上げの加速
直接的には国費を投入し国民負担を抑えるとともに、最終的には海外依存度を引き下げ、エネルギー・食料危機に強い経済構造への転換を図っていきます。
そしてあらゆる手段を活用して、賃上げを進めていきます。中小企業向けの補助金などで賃金アップのインセンティブを強化するとともに、価格転嫁が行われる取引慣行の定着に向け、監視を強化します。
2)円安を活かした地域の『稼ぐ力』の回復・強化
円安・円高というのは、それ自体はどちらもマイナスとプラスを抱えるもので、善しあしの議論はできないものと一般的に言われます。
しかし今回のように、1ドル110円前後で回していた体制のなかで、急激に150円の円安になると、体制が円安についていけず、困ることがかなり顕著に出てきます。この急な変化はどちらへ振れても経済には良いものではないのです。
とはいっても、為替は毎日動いています。ここまで円安になっているのなら、円安でプラスを生じる分野に頑張ってもらい、地域にも元気になってもらおうということです。ここでは、観光、文化・芸術・スポーツの振興、農林水産物の輸出拡大などが挙げられます。
3)新しい資本主義の加速
人への支援パッケージを5年間で1兆円に拡大し、成長分野への人の移動を促し、経済に勢いをつけます。スタートアップ、DX、GXといった取り組みも支援します。
そして子ども・子育て世代への支援の拡充、女性活躍、孤独・孤立対策など、包摂社会の実現も目指していきます。
4)国民の安全・安心の確保
コロナ、自然災害、外交・安全保障、経済安保、食料安保、インフラなどの各分野で安全・安心を高めるための施策に取り組んでいきます。
総理いわく、「国難」である今、国民にも今回の対策の意図を共有・協力していただいて、未来へ向けて日本が競争に勝ち抜ける国になるよう、国難を乗り越えていかねばなりません。
今国会でこの対策を進めていく補正予算を成立することが、政府与党の最も大きな課題と認識して国会運営を進めていきます。
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