弟子 夢日記2023.8.20

 古代の村。
 近頃、怪物が突然現れる事件が相次いで、村人の悩みの種になっている。怪物とは、人間の大人よりひと回り大きいくらいの、肉食爬虫類だった。
 硬いウロコに手こずるものの、集団でかかれば退治できる怪物だが、何しろ、前触れもなく湧いて出るのだ。闘える者が駆けつけるのが遅れれば、犠牲者も出てしまう。
 村で唯一のシャーマンのおじいさんが、あれは異世界から来るのだと言った。なぜ、そうだと言えるのかといえば、彼が異世界と行き来できる能力を持っているからだった。向こうで見たことがあるのだから間違いないと。村と異世界との境界が緩くなっていて、こちら側へぽっと出てきてしまうらしい。
 村民の大半は、説明されてもよく分かっていないようだった。
 老シャーマンは自分と一緒にであれば、怪物を異世界に連れていくことができた。退治することはできるとはいえ、息の根を止めるまでにはかなりの危険と労力が伴うので、ある程度弱らせたところでおじいさんが異世界へ送り返す、というのが基本の対処法になった。
 シャーマンのおじいさんは、本当は何歳なのかわからないほど高齢なので、村人の中から素質のありそうな者を選んで弟子として、存命のうちに技術を伝授しておくことになった。
 そうして選ばれたのが、僕だった。夢の中で僕はまだ子どもだった。

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