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いいデザインは、いい音がする

クリエイションのスパイス

人の印象形成の3要素「視覚(ビジュアル)」「聴覚(ボーカル)」「言語(バーバル)」を意識してコミュニケーションについて考えてみるシリーズ。第1弾は「色」、第2弾は「言葉」をテーマにお話してきました。

そして最後のテーマ、第3弾の「声・音」です。聴覚情報(ボーカル)に関するお話。

伝わる印象形成の割合「メラビアンの法則」では38%と、視覚情報(55%)に続いて二番目に影響力を持つ要素について、クリエイティブの視点から考えていきます。

すなわち、「音のデザイン」。

「曲を作ろう」というお話ではありません。日常における心地よく豊かなモノゴトを分析してみると、そこには「音」にまで意識が及んでいることが多い。例えば、テーマパークのエリア設計においても、BGMや効果音は空間演出として重要に扱われています。クリエイションのスパイス、それが「音」なのではないか、音声メディアは今後より一層、価値が高まるのではないか、と感じています。

ノックしてみる

プロダクトデザインの場合、素材の手触りと同じぐらい「操作の音」や「素材の反響音」も大事な設計要素になる。

例えば、iPhoneの背中を「コンコン」と叩いた時の音。側面のアルミ部分をツンツンと叩いた時の音。その音から「中身が詰まっている」印象を受けませんか?これがカン高い音だと「安っぽいく弱々しい」印象を与えてしまいます。焼き物の器のように、中身を割って確認することができないから、音で想像する。

もう一つ、自動車のドアを「ぼん!」と閉めた時の音も身近な例。車の印象を左右する大事な音。これが軽い音の場合、ボディ剛性への不安を感じますよね。この「ボムっ!」って音が「肉厚でしっかりと包んでいますから安心してください」という印象を与え、ブランドのメッセージにも通じる。最近は技術革新で設計精度も全社格段に上がりましたから、昔ほど車体差もなく、ドアの締り音がペラペラしたものはありませんが、それでも細部まで意識している高級車と大衆車では違いが生まれる。

さらに、これがデジタルなプロダクトであれば、物理的な操作を模した音はUI(ユーザーインターフェース)の操作フィードバックそのもの。ホイールを回したら「カリカリ」と音がしたり、イヤホンを接続したら「ドゥルン↑」、解除したら「ドゥルン↓」といった音が状態を教えてくれる。「音」はとても大事な設計要素です。

すなわち、この例に挙げたスマホや自動車もアプリケーションも、「モノ」をデザインしているのではなく「体験」をデザインしているのであり、優れたプロダクト・優れたブランドは、結果論ではなく、ありたい姿として音まで意識して形状設計されている。
音がいかに、クリエイションの重要な要素かという時代感はこの説明から実感いただけるでしょう。

音は価値に近い

CMなどで耳にする企業のサウンドロゴも、TVに限らず、幅広いメディアで露出量もアップしてきましたから、ブランドは音への気遣いが必須です。

もちろん、ラジオも。

特にラジオは「ながら聞き」で楽しんでいる人も多いわけですから、振り向かせるための音について、しっかり考える必要があります。楽しいお知らせだけじゃありません。危険をお知らせする「注意の音」についてもラジオ局としての考えるべき責任があります。心地よさの逆手で「不快な音」のデザインです。地震発生の警報音や危機時のJアラートなども、この「不快な音」としてデザインされています。できれば聞きたくない音ですが、使う時には効果させなきゃいけない音。

特にラジオは「ながら聞き」で楽しんでいる人も多いわけですから、いざ、振り向かせる時、何が良いか、ラジオ局が考えるべき防災アクションとして、しっかり向き合い、考えていかなければいけない課題です。

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