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私と笑いと阿佐ヶ谷姉妹:阿佐ヶ谷姉妹『阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし』

ファンというほどではないが、阿佐ヶ谷姉妹が密かに好きだ。追いかけている訳ではないけれど、テレビに出ているとなんとなくほっこりしてつい見てしまう。

ついでに言うと、中学生くらいの頃、お笑い芸人になりたいと思ったことがある。

当時、NHKでやっていた「爆笑オンエアバトル」が大好きで、同じようにハマっていた友人と面白かったネタをマネしてはげらげら笑ったり、果ては「お笑いすごい、ってかお笑い芸人すごくね?なりたい、なりたいかも!」なんていう思いが頭をかすめたりした。

ただ、私はそんなピュアな動機と勢いだけで人生を決められるような大胆さのない人間だ。そうならば、といざ女性芸人に注目してテレビを見てみると、「芸人になりたいぜ」なんていう気持ちはみるみるしぼんで跡形もなく溶けて消えた。

その頃の女性芸人といえば、最近でいうところの、バービーのようにおしゃれだったり、ゆりやんレトリィバァみたいに知的だったりといったバリエーションが少なく、どちらかと言えば「ブス」「モテない」「結婚できない」みたいなイジりや自虐を求められているような印象だった。特に「ガキ使」に出ていたモリマンについてはかなりショックが強く、今でも名前を聞くと少し動揺してしまうし、「ガキ使」も積極的に見ることができないでいる。

「ああ、これは私には無理だ」と当時すでにメンタルの弱さを自覚していた私は、一瞬で「笑う側」に回ることに決め、そして今に至る。

あれから10年以上経っているのに、テレビは映像がキレイになっていくばかりで、流れてくる価値観については牛歩としか言い様のない進み具合だ。でも、それでもうれしいこともある。「おばさん」だけど自虐はせず(少なくとも私にはそう見える)、「美醜」や「モテ」にはあまり触れず、めちゃくちゃ上手い歌を聴かせて笑いまでとる阿佐ヶ谷姉妹が出ていることだ(しかも私の大好きなシティボーイズと同じ事務所だ)。

そんな阿佐ヶ谷姉妹のエッセイ。一つの部屋での二人の生活がそれぞれの視点で交互に書かれている。お互いにそれぞれ不満はあるけれど、それでもやっぱり仲良しで、みほビックリやエリコミステイクもあるけれど、読んでいて思わずニコニコしてしまうのは、二人の人柄や雰囲気が出ているからなのだろう。

今まで、どちらかというと姉のエリコさんの方が目立っている印象だったけれど、読んでいると、妹のみほさんのキャラもとってもいい。知らない人は知りたくなる、知っていてももっと知りたくなる。なんだか阿佐ヶ谷のいい匂い(中華とか)のしそうな素敵な生活エッセイだ。


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