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ときめきの気持ちの在り処

なんだかとても惹かれてしまう人。
そういうのが恋なのだろうと、若き日の私はやんわりと考えていた。

だけど、心の中を整理していくと、
そういう人が必ずしも男性とは限らない。
そして、恋という感情としてなにか相手に対して特別な期待を抱いているわけでもない。
そうわかってからは、恋を憧れという言葉に置き換えることにした。

まぁ、ちょっとくらい「スペシャル」な人って誰にでもいるよね。そんなもんだよね、という具合に、心の中のときめき帳はいつもてきとうな所に置いてあった。大人になってからも、数年に一度くらい新しい人に出会うと、ラッキーと思いながらこそこそ加えてゆく。

そんなふうに、特に注視したことのなかったときめきの気持ちの出どころが、ふとした拍子に解ってしまった。人生も30年を過ぎたところで、これまで集めてきた点が線になった。

私の憧れと思っていたその人達は、私がこれまで読んできた小説の中で、イメージを膨らませてきた人たちによくみると似ている。

だから、なんとなく出会った早々から親近感を覚えてしまったり、よく知らないはずなのに、なんだかとても深い経験を共有したかのような一方的な温度を感じていたのかと気がついて、長年の謎が解けた。

私が映画より小説を好んでいる理由のひとつはビジュアルイメージとして想像する余白がたくさん残っているからです。私の頭の中で、小説の世界に登場する人たちは、必ずオリジナルの(それでいて、全員に似通った何かを含む)人達。

だからいつも世界中に実在する誰かで、そしてラッキーなことに、私はそんな人たちと時々出会えていたなんて。

このときめきの気持ちはもっと大切に扱っていこう、と思った金曜日の夜でした。

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