見出し画像

221222 ひとり旅、白川郷にて


いつも街を歩くときは、大抵好きな音楽や好きな話を聴いています。


きょう白川郷を歩くときには、その澄んだ空気にできる限り触れたくて、私にしては珍しくイヤホンを外しました。

木の枝に乗った雪が風に揺れてぱらぱらと落ちる音、
人々が雪を踏み締める音、
軒にできた氷柱が地面で割れる音。

この冬はじめて目にする真っ白なそれはとても冷たいのに、なんだかとてもワクワクしました。

色々な音が、ここに来たのだということの実感をもっと大きく濃くしてくれました。周りに日本人が全くいなくて耳にしたことのないような言語ばかりだったのも、日常から離れていることを教えてくれて良かった。



釘を使わない合掌造りの建物には、先人の知恵が詰まっています。

敵うはずのない圧倒的な自然を前にしてその中で生きていくために尽くした知恵が、建物という目に見える形になって残っている。


自分たちで開発した新しい素材で新しいものを生み出し続ける私たちは、ふと気付けば自然を掌握した気になっているような気がする。
天気予報が外れればがっかりして、地震がくればSNSに飛びついて。


白川の建物には、雪に押さえつけられて根元が曲がった木を活用するチョンナバリという方法がある。重みに耐えて育った丈夫な木だから、屋根に積もった重い雪にも耐えられるのだそう。
川に沿って吹く風が中を通るよう同じ南北方向に並んだ家々を見ていると、感動と反省と期待とが身体の中を巡るのを感じました。



写真では決して伝わりきることはないと分かっていながら、シャッターを切るのをやめられない。

自分の目で見ることができた喜びと、
この光景を写真に撮って記録に残し、人に共有したいという気持ち。

どちらも大事にするところから、自然との、一方ではデジタルとの、上手な付き合い方が始まるような気がしました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?