カクヨムで「藪の中賞」を募集した結果＆忌憚のない意見。

　カクヨムの自主企画で「藪の中賞」を開催してみた。

【募集要項】
「芥川龍之介の『藪の中』のような小説」を読みたくて探しています。
・「藪の中みたいな小説」とは。
関係者の言うことが食い違うなどして、真相がわからないこと。
「未解決事件」がイメージとして近い。
【条件】
ジャンルはホラーかミステリー（ジャンルが違う作品は削除します）
５万文字以内くらいで（こちらは目安なので長くても参加可とします）

　四日間募集して、長編は読み続けたいと思ったところまで、短編は全部読んだ。　　

◆ご参加いただいた作品（参加順/敬称略）

殺人戯曲《デス・プレイ》/岡　辰郎
https://kakuyomu.jp/works/16816700429441731078

渡る世間は悪ばかり/平中なごん
https://kakuyomu.jp/works/1177354054887693353

独り遊戯/紫 李鳥
https://kakuyomu.jp/works/1177354054889269668

招かざる系譜/そうざ
https://kakuyomu.jp/works/16817330650639986308

幽霊工場/史郎世界史
https://kakuyomu.jp/works/16817330658475940027

出立/犬屋小烏本部
https://kakuyomu.jp/works/16817330661696045399

チューベローズ/まさみ
https://kakuyomu.jp/works/16817139554464417652

お祖母ちゃんはどんな人？/惟風
https://kakuyomu.jp/works/16816927860098207068

藪の向こう/スキマ参魚
https://kakuyomu.jp/works/16817139558816961221

偽王子事件：高校生探偵タカオの初陣/紅藍
https://kakuyomu.jp/works/16817330661124291428

回廊〜嗤う死神、顔のない子を産む〜/桑鶴七緒
https://kakuyomu.jp/works/16817330656169998882

百合盗人/巳波馨
https://kakuyomu.jp/works/16817330661802397877

　好みはあれど、どの作品も面白いと思う人がきっといると思うので、気になった作品があればぜひ読んで欲しい。
　作者のかたも励みになると思うので。（自分だったら読んでもらうだけでも嬉しい）

　おこがましいとは思うが、せっかくの機会なので「藪の中賞」を選びたい。

◆「藪の中大賞」

独り遊戯（紫 李鳥） - カクヨム

　父親の都合で他家に預けられた少女・奈津。
　他家の女主人・千草に虐げられて辛い生活を送る奈津は、大学生の努と出会い恋をする。
　そんなある日、千草が庭で絞殺死体として発見される。

　十一歳にして既に女性として確立している奈津の魅力に支配されている話。文章も登場人物もストーリーも全部そのために機能していて、危うい色気（情念）のようなものが全編に漂っている。
　主人公・奈津の魅力をコアにして、独自の世界観が確立しているところがとてもよかった。

◆「藪の中副賞」

回廊〜嗤う死神、顔のない子を産む〜（桑鶴七緒） - カクヨム

　顔のない子ばかりが産まれる若夫婦の話。
　最初の「謎」にあたる部分の展開が、怖くてワクワクさせてくれる。
　落ちも「なるほど」と納得度が高い。
　ストーリーの造りや話の運びかた、語りかたが一番好みだった。

　どの作品もその作品ならではのいいところがあり、読んでいて楽しかった。
　ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。　

◆以下「忌憚のない意見」

　今回、賞を選んだ基準は「気になる箇所がより少ないもの」……加点方式ではなく減点方式の要素が強い。
「自分は物語を読む際、この要素があると読むのがしんどくなるんだな」と思う箇所が、選ばせていただいた二作にはなかったプラス自分が惹かれる要素があった、のが選考基準になった。（自分が参加した側だったら、選んだ基準を知りたいので書いた）

　以下その「読み手としての自分が気になる箇所」を書きたい。
「忌憚のない意見」は好まないかたは、読まないようご注意下さい。